IF 第5節 「鎮火」
何になる。
この報復が何になるというのだ。
また森と街を隔てる溝が大きくなるだけだ。
復讐の先を望んじゃいない。
事実、善良な人間もいる。
果たすべきは共存だ。
森焼の前夜。
二人と一人は山にやってきた。
そして彼らは私たちにそうやって説いた。
森に危機が迫っているというのに。
生死を問うこの状況に。
集まった仲間の大多数が納得できなかった。
人間如きが。
一度灯った私たちの怒りの炎はもう誰にも消すことは出来なかった。
出来なかったんだ。
だから私の息子が泣きながら必死に彼らの息子をかばう頃に
やっと自我を取り戻した。
我々は大切な仲間を手にかけてしまっていた。
彼らは身を挺して私たちの炎を鎮火した。
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