IF 第2節 「蜂と峰とヒトと」


私のふるさとも山奥だ。

私はここで育ち、
あの男の子を守ってきた。

お腹を出して寝ていたら、ワラをそっと被せてあげた。
彼の擦り傷には、あの薬をそっと塗ってあげた。

私はヒトが大好きだ。

私はヒトじゃないけれど、
私はヒトが好きなんだ。

ここのみんなが彼を愛してる。

彼がヒトである限り、
私はヒトを嫌えない。


彼の母親は、彼をここで産んだあと、
彼を残し静かに街へと消えた。

 「君の両親は死んだのよ。」



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もこはん
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