見出し画像

今年に入って6月までに読んだ、文化や人の生活を探る書籍を紹介するよ。百冊挑戦!ルポルタージュ編

ー 濃密な取材に基づいて書かれているノンフィクション小説やルポルタージュが好きだ。文化人類学的な書籍も。自分が好んで手に取る書籍はほとんどこの部類に属する。

ー 文章でのアウトプットがものすごく苦手だが、このnoteは百冊挑戦の仲間にこんないい本あるよ!って一生懸命書いていた。なんなら4人のためだけに書いていたと言っても過言ではない。しかし、前回のイベントで衝撃の事実を知った。なんと!私の紹介する書籍はみんなから全然共感を得ていないらしい。え?まじですか?自分が一番みんなに広く受け入れられる書籍を紹介しているつもりだったのに。自己認識とのギャップに驚いた。

でも、まあたまにはちょっぴり気が合うこともあるよ。

気を取り直して、今日は好きなジャンルの書籍についてだけ書く。

画像1

ノマド 漂流する高齢労働者たち ジェシカ・ブルーダー著

著者が実際にノマドとしての生活を送り、ノマドに仲間として入り込んで入念に取材した内容に基づいて書かれたもの。アカデミー賞を受賞したノマドランドの原作。でもこれの映画版だと思ってノマドランドを観ると本筋を見誤るから要注意。これはこれ、映画は映画。と思って観ることをお勧めします。

この本と、「ファンタジーランド:狂気と幻想のアメリカ500年史」と、「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」の三冊を読むと、これまでアメリカはこれだと信じてきたのと全く違うアメリカが見えてくる。なぜトランプが大統領だったのか、貧富の差がどんなに酷いのか、そしてどれだけ分断が起こっているのか。

あなたが知っているアメリカは本当のアメリカじゃない。アメリカ万歳!

本を読むってことは多角的なものの見方ができるようになるってことでもあるな。

画像2

聞書き 遊郭成駒屋 神崎宣武著

名古屋駅の裏、遊郭があった中村地区で、まさに取り壊されようとしていた元遊郭「成駒屋」の建物に残された家財道具を見つける。それをきっかけに実際に遊郭を営んでいた人々、元遊郭で働いていた人々、遊郭に働く人たちを診た医師たちに丁寧に取材をして書かれた書籍。

「聞書き」という文字に惹かれて読んだ。著者は研究者で、人への取材のみならず大量の文献も調べ長い時間をかけて書いている。一方で大変読みやすく平易で、著者の感情が垣間見える文章を書く。なぜ娼妓になるのか、一度娼妓になると抜け出せなくなる仕組み、どのようにビジネスとして成立していたか、彼女たちがどのような思いでその職についていたのか。周りの人たちはどんな思いで接していたのか。読み進むうちにその内容に引き込まれていき、読後には娼妓への共感を覚えるまでになる。

以前読んだ飛田新地について書かれたルポルタージュ「さいごの色街 飛田」の著者、井上理津子さんが後書きを書いているのも味わい深い。

画像3

転がる香港に苔は生えない 星野博美著

昔、この本を読んで星野博美さんの大ファンになった。返還の時期の香港に移り住んでそこに住む様々な人生を抱えた人たちと交流し、その生活を綴る。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。とにかくいつも取材量が半端ない。そして滑るように読めるがとても濃い文章を書く。この頃の香港は今とは全く違う。今はどんどん香港じゃなくなっていく香港を星野さんはどんな思いで見ているのだろう。私からの一冊目の推薦図書。

画像4

チョンキンマンションのボスは知っている 小川さやか著

【再掲】香港にいるタンザニア人の生活やビジネスのやり方について、実際にそこで暮らした著者の目を通して語られる。もともと、ドキュメンタリー好き、人類学系の読み物好き、アングラ経済の実態に惹かれる。私の大好物が三つ揃った一冊。こちらも大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

パチンコ

パチンコ ミン・ジン・リー著

圧倒的な取材に基づいて書かれた小説。とにかく物語が面白い。日本での発行までに時間がかかったのは何か理由があるのか?林千晶ちゃんのおすすめで手に取った本。

Amazonでモノを買うときにレビュー星5と星1を全部読む。この書籍は読後に興味を持ちレビューを読んだ。レビューからも得られる情報が多い本だった。

画像7

フェルマーの最終定理 サイモン・シン著

嶋田さんの推薦図書。フェルマーの最終定理が何なのか、それが数学界でどのような意味を持つのか。そもそも数学界ってなんなのか。数学ってどこから始まったのか。長い長い歴史を辿る、壮大なノンフィクション。そもそも高校に入ってからは数学が嫌いになり、テストも17点(100点満点)とか取っていた。なので、自分では絶対に手に取らない本。ものすごく面白かった。やっぱみんなで百冊挑戦するのってなかなかいいね。

画像6

超加速経済アフリカ LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図 椿進著

アフリカのファクトフルネス。13億人の巨大市場。15分以内に血液を運ぶドローン。銀行口座は持ってない人が多いけどみんなモバイルで決済。オンラインAI診療で本当に病院にいく人は全体の17%だけ。ルワンダの大虐殺ツチ族とフツ族で危険地帯と思っているだろうけど、今は大変平和な国。アフリカは50年前の日本。全然知らなかったワクワクする事実が書かれている必読書。

あなたが知っているアフリカは本当のアフリカじゃない。インドの次はアフリカ行きたい!

さて。

6ヶ月で50冊読めたのかちょっと確認ができてない。多分読めていない気もするし、あまりにも仕事のためだけに読んだ面白くない本も何冊かあったから数を数える気持ちが少し薄れてきたのも事実。でも1年後には百冊読み切ろう。そして百冊ちゃんと数えよう。

前回も書いたが再掲。

何で書籍の写真、もうちょっとマシなの使えないのか?とかAmazonのリンク貼ってよ!とか思っている方もいらっしゃると思いますが、書籍は本屋さんで買うと、知らない本との思わぬ出会いがありますよ。というわけでAmazonのリンクは貼りません。(写真がひどいことの言い訳にはなってない)追記:せめて読む前に写真を撮ればもう少し綺麗かもな。

百冊挑戦!はBOOK LAB TOKYOと無用の用という書店で運営サポートしています。二店舗とも百冊挑戦の棚を置いてますので、ぜひリアルかオンラインで買ってね。

そして毎月、百冊挑戦のイベントやってます。

無用の用はこちら

BOOK LAB TOKYOはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?