あにまるワールド(仮)
「お前はどっちの味方なんだよ?!」
上司に怒鳴られる。
「それは~その~、もちろん、こちらの会社の...。」
「じゃあなんで、その会社の要求を飲んだんだよ?!」
ひぇっ!とネズミが小さく悲鳴をあげる。
「そ、それは...。」
脳裏にライバル会社の鋭い目つきが映る。
『私ならいつでも、あなたを潰すことができるのですよ...。』
「きっと、脅されたんだろ?!」
心臓がビクッとした。息が詰まる。図星であった。ネズミは冷や汗をたらたらと流す。
「一体、お前は何がしたいんだよ?!」
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「はぁ〜。」
ネズミは とぼとぼと、重い足をひきずる。空はとても情熱的に赤く染まっているのに、ネズミの心の中は正反対だ。
頭の中で、上司の言葉がガンガン響き荒れる。
『一体、お前は何がしたいんだよ?!』
って言われても...。
...一体、ボクは何がしたいんだ?
心のわだかまりが重く広がってくる。答えを手繰り寄せようとするが、淀みの中を引っ掻き回せば回すほど、さらに濁りたち、見えなくなる。だって、誰にも嫌われたくないじゃないか。怒られたくもない。無難に生きるだけで、精一杯なんだよ。
不意に地面がなくなった。
?!
ん?!
考える間も無く、ネズミは真っ逆さまに堕ちていく......。
ヒュオオォォォ......。
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ぼんやりと光と影をとらえる。
...ここは...どこだ...?
何で倒れてるんだっけ?
あ、そうだ、
急に地面がなくなって...
落っこちたんだった。
ん?
目の前に...何かいる。
丸の上に...
三角が...二つ...
(ネコだ‼︎)
とっさに身構える。
(あっ...!)
視線が合ってしまった。
ネコはジロリとこちらを見ている。
足がすくんで、動かない。
(もう、ダメだ...。)
思わず目をつぶる...。
だが、何も起きない。
恐る恐る目を開ける。
ネコはいっこうに襲ってこない。
ん?
ほんとにこいつ、生きてるのか?
作り物か?
ボクは、目をゴシゴシこする。
よく見ると...イヤホンをしてる。
イヤホンの先は...
ゲーム機?
カチャカチャカチャ...
あ、この音、ゲーム機だったのか。
「よっしゃ!クリアー!!」
びっくりして、ボクは飛び退く。
ネコは、ガッツポーズをしてる。
『あのー。』
ボクは恐る恐る、声をかけてみる。
「ん?」
『ボクを襲わないんですか?』
ってボクが聞くのも、おかしいけど。
「あ、僕、狩するの面倒くさくなって、やめたの。カップラーメンなら、簡単に3分でできるしね。」
え?!
ネコはズズーっと、カップラーメンをすする。
そんなネコって、いるの?!
ボクは衝撃で、次の言葉が出ない。
「ん、何?信じられない?ほら、僕の爪。もう長年研いでいないから、ガタガタ。」
確かに、でこぼこしてる。
「もう狩は、ゲーム機の中でしかやらないのさ、ははは。さーて、次の敵は...。」
『あのー、ここはどこか、知ってますか?』
「知らない。」
即答だ。
「まぁ僕は、カップラーメンとゲーム機があれば生きていけるから、ここがどこだって構わない。」
なんだ、その思い切りのよさは。
ふと、視線を落とすと、
ネコの手の甲に何か書いてある。
(ゲームネコ?)
『あのー、手の甲に何か書いてありますけど...。』
「君のにも、書いてあるじゃん。」
え?と思い、自分の手の甲を見る。
(ビクネズミ?)
「こっち来てから、ずっと手の甲に書いてあるんだよね。洗っても落ちないし。まぁ、どうでもいいけど。」
何だこれは?!
もう、訳がわからない。
この場所といい、このネコといい。
第一何で、こんなところに落っこちてきたんだ、ボクは。
辺りを見回す。ネコが座っているのは、古びた木製のベンチ。そして、少し離れた所に小さな家がある。そういえば、さっき、もうすぐ日が暮れそうだったのに、ここはまだ明るい。...変だ。あぁ、早く家に帰りたい。
かすかに水の音がする。川か?
『あのー、他にここに住んでいる人はいますか?』
「君、さっきから、あのーばっかりだね。」
ゲームネコが笑う。ゲームをピコピコやりながらだけど。
「僕は君のほか、誰も見かけていない。と言っても、僕、ずっとここに居るからかもだけど。」
すごい。よくゲームをしながら、会話ができるなー。慣れればできるものなのか?
『いつからここに、居るのですか?」
「3ヶ月前ぐらいからかな。」
え?3ヶ月も前から?!
『ここから、出ようとは思わないのですか?』
「なーんかそれって、面倒くさそうだし、ゲームもできるしいいかなって。」
ダメだ。このネコは、帰る気がさらさらない。もしかして、野良ネコだったとか?ま、いい。自分で、帰る方法を探さねば。
「あぁぁ!負けちゃった!」
やっぱり、会話しながらだと、無理だったか?
「ちょっと疲れちゃったし、寝ようかな。」
寝るんかい!
全く何なのだ、ここは。とりあえず、水の音がする方へ、行ってみるか。
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(こんな、訳ありなキャラクターたちが出てくる物語が、前々から頭の中で膨らんでて、作ってみたかったのですが、先々の展開とどう収束させていくのかが、未定で、続きを作るかわかりません笑🙇🏻)
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