あにまるワールド(仮)

「お前はどっちの味方なんだよ?!」
上司に怒鳴られる。

「それは~その~、もちろん、こちらの会社の...。」
「じゃあなんで、その会社の要求を飲んだんだよ?!」

ひぇっ!とネズミが小さく悲鳴をあげる。
「そ、それは...。」

脳裏にライバル会社の鋭い目つきが映る。
『私ならいつでも、あなたを潰すことができるのですよ...。』


「きっと、脅されたんだろ?!」

心臓がビクッとした。息が詰まる。図星であった。ネズミは冷や汗をたらたらと流す。

「一体、お前は何がしたいんだよ?!」


✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°

「はぁ〜。」

ネズミは とぼとぼと、重い足をひきずる。空はとても情熱的に赤く染まっているのに、ネズミの心の中は正反対だ。

頭の中で、上司の言葉がガンガン響き荒れる。

『一体、お前は何がしたいんだよ?!』

って言われても...。

...一体、ボクは何がしたいんだ?

心のわだかまりが重く広がってくる。答えを手繰り寄せようとするが、淀みの中を引っ掻き回せば回すほど、さらに濁りたち、見えなくなる。だって、誰にも嫌われたくないじゃないか。怒られたくもない。無難に生きるだけで、精一杯なんだよ。

不意に地面がなくなった。

?!
ん?!

考える間も無く、ネズミは真っ逆さまに堕ちていく......。

ヒュオオォォォ......。

✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°


ぼんやりと光と影をとらえる。

...ここは...どこだ...?


何で倒れてるんだっけ?


あ、そうだ、
急に地面がなくなって...

落っこちたんだった。



ん?

目の前に...何かいる。


丸の上に...

三角が...二つ...





(ネコだ‼︎)

とっさに身構える。

(あっ...!)
視線が合ってしまった。

ネコはジロリとこちらを見ている。


足がすくんで、動かない。

(もう、ダメだ...。)

思わず目をつぶる...。






だが、何も起きない。


恐る恐る目を開ける。

ネコはいっこうに襲ってこない。


ん?
ほんとにこいつ、生きてるのか?
作り物か?


ボクは、目をゴシゴシこする。


よく見ると...イヤホンをしてる。

イヤホンの先は...






ゲーム機?

カチャカチャカチャ...

あ、この音、ゲーム機だったのか。



「よっしゃ!クリアー!!」
びっくりして、ボクは飛び退く。

ネコは、ガッツポーズをしてる。


『あのー。』
ボクは恐る恐る、声をかけてみる。

「ん?」

『ボクを襲わないんですか?』
ってボクが聞くのも、おかしいけど。

「あ、僕、狩するの面倒くさくなって、やめたの。カップラーメンなら、簡単に3分でできるしね。」

え?!

ネコはズズーっと、カップラーメンをすする。


そんなネコって、いるの?!
ボクは衝撃で、次の言葉が出ない。


「ん、何?信じられない?ほら、僕の爪。もう長年研いでいないから、ガタガタ。」

確かに、でこぼこしてる。


「もう狩は、ゲーム機の中でしかやらないのさ、ははは。さーて、次の敵は...。」

『あのー、ここはどこか、知ってますか?』
「知らない。」
即答だ。

「まぁ僕は、カップラーメンとゲーム機があれば生きていけるから、ここがどこだって構わない。」

なんだ、その思い切りのよさは。


ふと、視線を落とすと、
ネコの手の甲に何か書いてある。

(ゲームネコ?)

『あのー、手の甲に何か書いてありますけど...。』
「君のにも、書いてあるじゃん。」

え?と思い、自分の手の甲を見る。

(ビクネズミ?)


「こっち来てから、ずっと手の甲に書いてあるんだよね。洗っても落ちないし。まぁ、どうでもいいけど。」

何だこれは?!

もう、訳がわからない。
この場所といい、このネコといい。

第一何で、こんなところに落っこちてきたんだ、ボクは。
辺りを見回す。ネコが座っているのは、古びた木製のベンチ。そして、少し離れた所に小さな家がある。そういえば、さっき、もうすぐ日が暮れそうだったのに、ここはまだ明るい。...変だ。あぁ、早く家に帰りたい。

かすかに水の音がする。川か?

『あのー、他にここに住んでいる人はいますか?』
「君、さっきから、あのーばっかりだね。」
ゲームネコが笑う。ゲームをピコピコやりながらだけど。

「僕は君のほか、誰も見かけていない。と言っても、僕、ずっとここに居るからかもだけど。」

すごい。よくゲームをしながら、会話ができるなー。慣れればできるものなのか?

『いつからここに、居るのですか?」
「3ヶ月前ぐらいからかな。」

え?3ヶ月も前から?!
『ここから、出ようとは思わないのですか?』

「なーんかそれって、面倒くさそうだし、ゲームもできるしいいかなって。」

ダメだ。このネコは、帰る気がさらさらない。もしかして、野良ネコだったとか?ま、いい。自分で、帰る方法を探さねば。

「あぁぁ!負けちゃった!」

やっぱり、会話しながらだと、無理だったか?

「ちょっと疲れちゃったし、寝ようかな。」


寝るんかい!

全く何なのだ、ここは。とりあえず、水の音がする方へ、行ってみるか。


✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°✧˖°


※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※

(こんな、訳ありなキャラクターたちが出てくる物語が、前々から頭の中で膨らんでて、作ってみたかったのですが、先々の展開とどう収束させていくのかが、未定で、続きを作るかわかりません笑🙇🏻)

※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※*※


#小説 , #動物 , #訳ありキャラ , #続き未定 , #ファンタジー , #優柔不断 , #ゲーム , #ねこ , #ネコ , #猫 , #ねずみ , #ネズミ , #擬人化 , #出会い , #あにまるワールド (仮)

いいなと思ったら応援しよう!