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読書日記・それらがなかったとしたら

2月7日(金)

献立を考えるのが面倒だったら、金曜日はカレーの日にしてしまえばいいんじゃない?と言い出したのは夫だった。その夫が「金曜日のカレーに飽きた」と言い出す。どないやねん。カレー以外に何が食べたいのかと聞いたら、何でもいいと言われる。異議を申し出るなら、打開案も提出してもらわないと困りますねぇ(と言ってカレーを出した)。


ここのところ『私の家政夫ナギサさん』を見ている。ドラマは2020年に放送していたらしい。知らなかった。

主人公のメイは、小さいころからお母さんに「やればできる」と言われ続け仕事をバリバリとこなすんだけど、しかし家事は大の苦手で部屋は大荒れだし料理もダメ。それでも結婚したら、家事も仕事もしなければならないからと奮闘するメイを見ながら、「やればできる」という言葉が持つ呪いについて考えていた。

「やればできる」というのは、やらないからできないんでしょう?に聞こえるんだけど、しかし、頑張ってもできない場合ももちろんあるんですよ。でもできなかったら、それは努力が足りないとか、もっと頑張ればできるとか、何とかしてできるようになりなさいよ、という流れになるし、できない自分が悪いみたいになるから嫌な言葉だ。

鈴木大介さんの『貧困と脳』を読んだ時も思ったけれど、当たり前にできる人と、頑張ってもできない人がいるという事実を、私もすぐに忘れそうになる。自分が当たり前にしていることを、子どもたちができなかった時に「どうしてできないの?」と思ってしまう。できることには個人差があるということが、いつも頭から抜け落ちてしまう。本当にできないことや、頑張ったところでどうにもならないことがあるんだってことを、頭に叩き込んでおこう。



「できない人=なまけている」と考えが危険なんだよね。でもそうやって、できない人を責める社会であり続けていたから「やればできる」だなんて、都合のいい言葉が生まれたんだろうな。なーんて、本当のところは何にも知らんけどさ。あはは。

話がそれたけど、ドラマは大変面白いです。以上。




2月8日(土)

古賀及子さんの『好きな食べ物がみつからない』を読む。正直なところ、好きな食べものなんて何でもええやないか、と思いながら手に取った本だった。しかしこれが、好きな食べものがみつからない話なのに、好きな食べものがみつからない話でもなくて、何を言ってるのか分からない感じになっているけれども、古賀及子節(?)がさえわたる、とても素敵な世界が広がっていた本だったのです。

とにかく古賀さんの表現力がすばらしい。古賀さんが「好きな食べ物」で連想していく過程で色々な食べ物が登場するんだけど、登場する食べ物たちへの愛があふれているらしく、ただ文章としてそこに書かれているだけの食べ物たちが、現実の食べ物以上に美味しさが増しているのだった。

今すぐに食べたい!!と思わされるものが目白押しで、夜中にお腹をグースカなかせながら読み進めた。なのに!!仙台のおはぎとか、今すぐには食べられない物が登場してしまい、私にとっては一生口にすることはない可能性のほうが高い仙台のスーパーのおはぎを、これほど美味しそうに紹介されてしまったら私はこれから先、どんなおはぎで満足すればいいのだろうか。教えて、おじいさん。





2月9日(日)

「今日は肉の日だね」と娘に言われ、え?何で??と思ってカレンダーを見て納得。言われるまで気づかなった。毎月29日だけが肉の日かと思ってた。今日も肉の日だね、じゃあ今日は肉を食べようか、と娘に声をかけたら「パンがいい」と言われた。そっかあ。夫は「牡蠣が食べたい」と言い、息子は「スモアが食べたい」と言い出した。そっかあ、そっかあ。じゃあ今日は肉にしようね(有無を言わせず決定)。


藤岡みなみさんの『ふやすミニマリスト』を読む。何もない部屋に、一日一つずつ物を増やしていくという試み。生活していくうえで本当に必要なものだけを部屋に迎えていくんだけど、今の生活で当たり前に存在しているものたちを(たとえばスマホとか冷蔵庫とか)藤岡さんがなかなか選ばずにいたりするので、自分が現状で使っている道具たちは本当に必要なのだろうか、と考えるきっかけにもなってすごくよかった。

こういうの自分だったらどうするんだろうな、と考えるのも面白い。藤岡さんは初日に敷布団が欲しいと思っているけれど、私だったら何を欲するだろう。

自分の人生に必要不可欠だと思っているスマホとか、家電製品とか、現状ではそれらに依存しきって生活しているわけだけど、それらが無かったとしたら私は生活できないんだろうか。そんなことを考え始めてしまい、これは稲垣えみ子さんの家電を手放す話に通じるものがある!!!と思い、稲垣さんの本をもう一回読み直したくなった。

あるもので生活していく、あるものを工夫して生活していく、そんなスタイルに憧れもするけれど、文明の利器も満喫して生きていきたい。相反する思いを抱えて生きる今日も私は平和だ。



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