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営業から、マーケターになる

もともと営業職だった人間が、職種転換試験を受けてマーケになるまでの思い出とインスピレーションのメモです。会社によって制度とかプロセスは違うと思うけど、なんか参考になったらいいな!

思い立ち

営業職になりたくて、営業になった。海外駐在にいくのが早そうだったからと、父も営業だったからと、あと単純に配属された。

いつか海外駐在に行きたくて、行きたくて周りにずっと言っていたけれど、社会人3年目の春だかに衝撃の一言を先輩から言われる。

「駐在に選ばれるのは、営業のエースなんだぞ。」

会社のちかくのランチでお手頃にたべれるしゃぶしゃぶやで食べているときで、いまでも覚えてるんだけどマジで背筋がさっと冷えたのを覚えている。

私はまったくエースではないし、エースになれる見込みもない。こんな社会人たったの3年で何をいうかと思うかもしれないけど、この時点で鬼残業し、たぶん通常の社会人の1・5年分+で働いていたようにおもうし、自分なりにすべての仕事に好き嫌い言わず全力で情熱を注ぎこんで働いていたけれどまったく芽が出なかった。謙遜とかじゃなくて、本当に芽が出ていなかった。一言添えておくと、これは先輩が私の心を折るためにいったのではなくてあくまでフラットに情報として教えてくれたことです。でもそのときの時点の私で、これはこのままじゃ無理だ。私は何にだったらエースになれるのか?それを考えないと、海外には到底いけないと思った。

そこで、自分の得意な仕事と、苦手な仕事。それぞれを書き起こしてみた。実はその紙はいまも手元に、海外に持ってきている。なぜなら衝撃的な内容だったからだ。

どんな仕事もすべて成長させてくれたし、本当に学びの多い環境だったけど、全力を尽くしてやっても自分のやっている多くの仕事が私にとっては苦手な仕事で、得意な仕事はとっても残念だけれど本当に少なかった。周りの先輩が輝いていたからこそその光がまぶしくて、自分の手のひらがどす黒く、醜く見えていた。学生時代の数学や、統計学のように、努力をすれば克服できるのでは?って思っていたけれど、全力を尽くした結果わかったことだけれど、そうではなさそうだった。

そのとき私が書き起こしていた得意なことは下記の通り。

  • 調べ物をすること

  • トレンドを把握して紹介すること

こんなんどの職種でも役に立たないやん!と思いつつ、この2つは本当に他の人にはあまり負けない強みなんじゃないかということはわかっていた(そしてこれがこのあと今の本業に繋がっている)。ので、もう少し考えてみることにした。

そんな中ある日、憧れのマーケターの先輩に出会う。先輩はマーケティングの力で、ぐいぐいとプラニングをリードしていて、それが半端なくかっこよくて、わたしもこんな仕事がしたいとおもった。たまに企画書のお手伝いをおこぼれでさせてもらったり。企画書を読むだけでワクワクするし、ああこんなことを考えたり議論できるようになりたい!と思った。この時点で私は3年目の夏を迎えていたのに営業として自分の意見を持つことさえもできない、とんでもない未熟っぷりだった・・・。

勇気をだして一般のマーケティング講座のセミナーを、13万くらい出して通った日々もあった。講師の一人はうちのグループ会社のマーケターで、懇親会の時に勇気を出して、私もマーケターになりたいとアピールしてみた。君には悪いけど、マーケターには向いていないと思うよ、ハハっと笑われる。あの日たべたロコモコの味は今でも忘れられない。

行動

こののち、友人に、夏の浴衣シャンパン祭り☆みたいなイベントに誘ってもらう。古い洋館でシャンパンとおいしいバイキングにあずかれるイベントで非常にうきうきルンルンだった。その友人が、あるロジカルシンキングの塾に通い出したという。ワンオンワンで先生がロジカルシンキングを指導してくれて、コンサルにキャリアチェンジしたいひとが通う塾。かねてからロジカルさの欠落に悩んでいた私には、まるでぴったりな塾。職種転換試験を1年後に控えた私にはぴったりな塾だった。

それもけしてお値段がやすい塾ではなかったけど(でも払う価値がとってもある!)、勇気を出して飛び込んでみた。本当にワンオンワンで、一から、丁寧に、論理というものを教えてもらう。原理・原則から、フレームワークまで教えてもらうことで、どう物事を論理だてて考えるかと教えてもらえた。

通っていた塾はこちら。


これは副次的な作用なんだけれど、営業の仕事でも少しずつ成長がみられるように(自分なりに)なった。お客さんからのフィードバックの根本的なポイントがわかるようになったから、行動が変わる。ロジカルの力ってまじすげぇしほんとなんか小学校とかで習えないもんなのかとマジで思った。アメリカとかだと義務教育にはいってるんだよね?ありゃほんとにすんごい大事だと思うぞ。

根本からがらりと、自分が変わっていくことを実感。もうこの頃には、グサグサときた「君はマーケターにむいていない」なんて言葉は気にならなくなった。あれからもいろんなまわりの人に言われたし、「きっとなれるよ」といってくれたひともいるけど、一部のひとにはその語尾に「(笑)」がついていたのは一生わすれない。マジで。

身に着けた論理的思考。営業の経験。もともと得意な調べ物とトレンドの力。あとはレアな英語スキル。このすべてを組み合わせてアピールしていくんじゃ!!と、決めた。けれど不安症なのでずっと不安で、だめだろな。でも大丈夫かもしれない、をいったり来たりしながら、でも欲しいものは欲しがらなければ手に入らない。ので、欲しい!ということにした。

会社の試験に向けて、「企画書の読み方」の本を読み始めたのもこの頃。でも正直、本とかよりも、マーケターの先輩や部署の先輩たちの企画書のほうが何倍も参考になった。

私の部署の先輩たちは、ほんとうに企画書が上手だった。「伝わる企画書」「議論を促す企画書」になっていて、その構成の組み方から資料の体裁までいまだに私はその型をとってもとっても大切にしている。もちろん提案は内容が大事だけど、What to say同様にHow to sayも大事だと思っている。

挑戦

そして私は試験に挑戦した。ご担当させて頂いていたお客さんの会社のお引越しに際し、なんと運命的にその時期に何日か私の部署もお休みをいただけることになった。そこに上司の計らいでお休みをつけて頂けて試験に集中することができた。これはもう何度思い返しても感謝しきれない。どんな試験かはここに書き記せないけど、とにかく夜なべをして準備した。

課題を提出したあとのすっきりした気持ちは忘れられない。プランAとBを用意して、マーケになれたとき、なれなかったときのキャリアを考えた。どっちでもきっとうまくいくよう頑張ろうぞ、と思った。

そこから数週間。マーケ職に受かったこと、そしてずっとやりたかった海外業務が担当できることを聞いたのは、友人たちと旅行にいく前日だった。その旅行の行先はなんと偶然、いま住んでいるタイのバンコク。きっとまた出張でこれるかな?とワクワクして向かったけれど、その国、あなた、3年後に住みます。

なってから、とそのあと

不思議なもので、異動したからといって私のラベルが変わっただけで中身はてんでいままでのわたしのままだった(そりゃそうだ)。ということで、トレーナーの先輩たちがついてくれ、私を半年間ビシバシとトレーニングしてくれることとなった。

マーケの世界は非常に面白く、日々の仕事しぐさ(?)から会話の内容から、頻出する単語まで違った。

エクセルの細かい動作や、死ぬほど細かいフォント周りの指摘(細かすぎるだろ誰がこんなん気にするねんって当時は思ってたけど、いまとなってはめっちゃ気になるからこれは職業病なのだろうか)。定量+定性+WSという土台が出来て、次にプラニングを極められるのじゃ、海外はそこからだ!と偉い人に言われ、とにかく定量をたくさんやったら、定性。そこもたくさんやったらWSと、足りてない部分をとにかく補うように仕事を受けた。

海外業務も入ってみたけれど、4年以上使っていない英語で、しかもビジネス(海外留学といえど私の専門は比較宗教学、とくに原始キリスト教とヒンズー教まわりだったので古い英語と偶像崇拝周りの単語に明るいが、マーケティングがサッパリだった。汝、悔悛せよ。とかはパパっと訳せるんだけけど。)。もう、他人の企画書やメールをみて「ほうほうこれを真似っこじゃ」でなんとか身に着けてきた。たぶんいろんな人の英語や海外ビジネスしぐさをごちゃまぜに体得している。こんなんで大丈夫かなと不安になるけど、だからといってどうすることもできないのでとにかく目の前のお仕事を頑張った。

こと海外業務には思いが強く。その時は上司や先輩がいて、教えてもらったこともあれば、えーーー私だったらこうするのになーーーまじかーーーもあった。そのどちらも今の血肉になって自分のアウトプットするプラニングになっているから感謝・感謝である。思いを持つことで、学びや共感、そして別のアイデアが生まれてくる。

初任からマーケだった同期との比較、職転同期との比較と、いろいろ比べることが多かった。なんかこう自分にきらり光る強みが見つけられず。論理思考をあるていど身につけたとて、数字が苦手だったり、飲料業界以外の経験が浅いなかで、どんなマーケになっていくのか?は常に悩みだった。それはぶっちゃけ今も悩みで、というか少しずつみえてきたけどほんとうにそれでいいのか?とか食ってけるのか?とかいろいろ悩むけど!

調べものが得意、とトレンド探しが得意だったあの頃より、得意や好きが増えてきた。(苦手も増えたけど・・・)またみつけた得意のその先に、もっと頑張れる未来が、あるといいな~


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