佐橋慶彦著 バラバラな教室につながりを創り出す「学級経営 戦略図鑑」
この時期は教師にとって色々な児童のあの時の顔や、あの時の言葉を思い浮かべながら一年の学級経営を振り返り、新しい年度に向けて思いを新たにする時期です。そんな時に是非、手に取って欲しい本を御本人の許可を得て御紹介します。教育の関係者でない方にも記事を読んで頂ければと思います。
「先生の本棚」というオープンチャットのオンライン読書会では、著者を招いて下さるので直接、お話をお聞きしたり、質問をすることができます。
そこで、Amazonの本の概要欄と、お伺いしたお話からネタバレにならないように抜粋して御紹介させて頂きます。
詳しくは、本をお求め頂けたらと思います。
【第1章から抜粋して御紹介】
分析02.「コミュ力」を重視したキャラ付けが教室に与える影響
まずこのページの「静かな戦いの始まり」という言葉に実感が湧きました。
要約させて頂くと、「場の空気をよめて、笑いが取れる人気者」を中心に学級経営を進めてしまうと、利己的な「コミュ力」が重視されてしまう状況になってしまいます。そこで担任はコミュ力偏重主義との静かな戦いが始まるのです。
とあります。たしかに始業式当日から、静かに子供たちとの押し引きが始まる実感が自分にもあります。
戦略04.みんなのために行動してくれる人に光りを当てる
分析02に対する戦略です。
最初に清掃を始めた子、最後まで当番活動に取り組んでくれる子。そんなみんなのために行動してくれる人を価値付けていく。とあります。
「みんなのために働く子達に光を当てる」という言葉に共感しました。
教育は学力を育てるだけでなく、子供たちの表れに「光を当て」人間性や社会性を育むことだと自分も考えています。そして仲間づくりをしていくことが教室を安全・安心な場所にしていくことなのだと思います。
上記の項目から文章を引用して御紹介させて頂きます。
第4章 シェアのつながり戦略 つながりを教室全体に広げる
見るだけでつかむ!「シェアのつながり戦略」
分析04 学級全体に「つながり」をつくることはできるのか
(前略)
臨床心理学者の東畑(2022)はこの曖昧なつながりを社会学の共同性と親密性の考えをもとに「ナイショのつながり」と「シェアのつながり」の2つに区分しました。
「ナイショのつながり」とは、家族や、恋人、一部の親友などに見られる親密なつながりを指します。本当に自分のことを大切にしているかどうか、そんな深入りした関係を求めます。
対して、「シェアのつながり」は「みんな」と時間や場所、問題やミッションを共有しているうちに生まれるつながりです。苦労や、愚痴もシェアし合うこのつながりには、相手が傷つかないようにする配慮が見られます。(後略)
この章を拝読して、自分が学級経営で目指してきたものは将にこれだったんだと「見事に言語化」されたものを見たように思いすっきりしました。
日頃の学級づくりにおいて「このクラスにいる全ての人が仲間だよ。だから友達でも友達でなくても、仲間だからできることがあるよね」という方向から子供たちに自分たちの言動を自ら考えて行動するように関わってきました。
でもこうしたことを、職員全員で共通認識して進めることは、教師個人のタイプによるもので難しいのではないかと思っていたのですが、この本を頼りに進めていくと、どんなタイプの、どんな年齢の教師でも足並みを揃えて取り組むことができそうだという感触を掴みました。戦略25で分かりやすく図解がされていたからです。ちなみに、この本のイラストも全て佐橋慶彦さんが描かれたものなのだそうです。
戦略51より「仲間のその子らしさを喜べる学級」になったら、きっとどの子にとっても安心で楽しい学校生活を送ることができると感じます。
来年度の、自校の研修に役立てたいと思いました。
戦略25 「つながり」のイメージチェンジを図る