③柿の種のひみつ

ねえ、ぽち聞いてよ
父さんは僕達が寝た後に
何かおいしいものを食べてるらしいんだ

野球の試合を見ながら
ビールも飲んでるらしい！

昨日の夜、こっそり覗いてみたら
オレンジ色のほそながーいお菓子を
ほおばってた

「ねえ、父さん、そのオレンジ色のお菓子ひとつちょうだい」
「うーんっ。あげてもいいんだけどね、きっと後悔するよ」
「どうして？」
「いやね、とっても、辛い大人のお菓子なんだよ」
「えっ？」
「食べたらきっと火を噴くよ」
父さんは最後に恐い顔になった。
その時、僕はきっとおいしいに違いないって思ったんだ。

だから、今日はぽちと一緒に
そのオレンジ色のお菓子をこっそり
食べちゃおうと思うんだ。
「せーの！」

僕とぽちは顔を見合わせて
「ひーーーっ！！！」って
叫んだんだ！

父さんの知らないところで
ほんとに「ひーっ」をふいたのは
ないしょだよ･･･

湯山昭先生のピアノ曲集「お菓子の世界」
第３曲柿の種
に着想した物語です。

日々ひみつさんの素敵なイラストを使わせて頂きありがとうございます。