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初恋

「ねぇ、そこどいてくれる?」
「えっ? 邪魔してるかな?」
 せっかく受験勉強をしに日曜日の図書館へ来たというのに、春翔が少しずつ席を移動して座席を近づけてきた。今は斜め前の席に座ってこちらを伺いながら、話し掛ける機会を探っている。何かと理由を付けて質問をして、答えを引きだすことで喋ろうとする。「うざっ」っと小さく呟いた。「子供食堂」の職業体験以来、ほとんど喋ったことはなかった。

【小説】「コールドムーン」第2話より

初恋

林 凛香

初めは関係のない人だと思っていた
勉強の邪魔をするあなたを避けた

あの日
図書館からの帰り道 
2人で見た満月は
あなたとの距離を近づけた



いつの間にかあなたと話すと
安心する私がいた



わかって欲しいような
わかって欲しくないような
そんな気持ちもあるのです



だけど
あなたのことが好きです


12月15日(日)コールドムーンの日に、
「第8話」最終話投稿となります。
お読みくださってありがとうございます💗
途中読み用のあらすじ付きです。✨


さっとんさんの素敵な写真をありがとうございます。
Kenji Nさんの素敵な演奏をリンクさせて頂きありがとうございます。
ポンセ:エストレリータ作曲「小さな星」