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小説 本好きゆめの冒険譚 第二十頁

 目が冷めた。と言うよりも、ここはどこ?

 草原に横たわっている。
 起きて、辺りを見渡すと、昨日見た家があった。

 その家に近づこうとすると、「場面転換」。
 ゼウス「達」がいるはずの空間に変わった。

 しかしそこには、「1人」しかおらず、他の2人はいないようだ。

「良く来たの〜どうじゃ、儂の本来の姿は?」

 その男は、筋骨隆々と言う言葉がピッタリの大柄な体格・・・は、昨日まで見ていた「ゼウス達のひとり」と見た目は同じだけど、大きさが桁違い。凄く大きな人へと変わっていた。

「あなたが「ゼウス」さん?」
「そうじゃとも。」
「他の2人は?」
「あれも「儂」じゃ。」


 ?・・・言っている意味が解らなかった。


「それよりも、じゃ。」
「聖剣エクスカリバーはないじゃろうて?」

「どういうこと?」

 ゼウスは、笑いながら1本の槍を取り出して

「これが、儂の槍「ケラウノス」じゃ!このケラウノスにかかれば、エクスカリバーなんぞ、足元にも及ばんよ。」

「そんなに強いの?」

「強いぞ、見せてやる。」

 すると、私とゼウスを囲む全ての空間が、「宇宙」に変わり、眩い星々の光が見えた。

「ん。あれでいいじゃろう。」
 ひとつの星を指差しながら、槍を一振り。稲妻が宇宙を走り、星が1つ消えた…。

「どーじゃ、凄かろう?」
 自慢げに槍を回しながら、声を高らかに笑った。

 すると、どこからか
「貴方!何やってるんですか!」
 と、怒鳴り声と共に「美しい」女性が現れた。

 その「美しい女性」はスラリとした身体に長い手足、少し長めの金髪ブロンドの髪と青い瞳、そして豊かな胸はやらしさではなく慈愛を感じさせる。怒鳴ってはいるものの、その声も優しく美しい…。

「す、すまん、この子にケラウノスの威力を見せたかっただけなんじゃ!」
 まぁまぁという感じで両手を出すゼウス。

「だからと言って、星1つ消さなくてもいいでしょうに!後で創造神さんに謝って下さいよ!私はもう、代わりに謝りには行きませんからね!」

「す、スマン。」
 ゼウスがしょんぼりしている。

 そんな2人の姿を見ていると

「あれ?この子だ〜れ?」
 私を指差す。

「あっ、この子が儂を助けてくれたんじゃよ!」
「とか言って、また女の子を口説いてるんじゃないでしょーね!それで、マァーッ、今度はこんな小さな子!あなた、ロリコン?ロリコンになったの!?」
「そ、そんな訳、ないじゃろ!儂を誰と思っている!」
「只のエロジジイです!」
「酷い!」


 ポカンと口を開けて見ている私に、その「美しい」女性が近づいてきて


「あなた、お名前は?」
「ゆめです。」
「そう、ゆめちゃんね。私の名前はヘーラー。このエロジジイの姉でもあり、妻でもあるの。よろしくね。」
 そう「美しい人」は優しく微笑んでくれた。

「ホラッ、エロジジイ!この子を早く返してあげなさい!」

 ヘーラーの言葉にビクついたゼウスが、
「明日の昼にまた、会おうぞ。今度は、お前の父、母の問に答えよう。」
「こんなちっちゃな女の子に向かって、「お前」とは何ですか!あなた、それでも、神なんですか!大体、あなたって人はいつもいつも・・・」

 暗闇に吸い込まれるにあわせてヘーラーさんの説教の声も小さくなっていった…。

 目が覚めると、ベッドの上。ではあるのだか…
 まだ夜中だった…。

「そう言えば、明日の昼に会おうって、言ってた…。」
 このまま、寝ないようにしよ。


・・・気がつけば朝で、いつものようにママが笑顔で起こしてくれた。


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