北の伏魔殿 ケースⅠ-⑪

○財政支出のルールも知らず、報復の嵐

 現地事務所の所長が単なる出張ではなく、団体派遣から県に戻るための帰任旅費を支給することになった。その金額を積算していると、旅費規定の額とは合っていない。旅費規定は、団体も県の規定を準用しているが、私は庶務の経験はあるものの、海外旅費の積算は初めてであり、間違えたくないので、積算根拠となる規定や事務所設立当時の金額算定の資料をB主査に送付してもらうように何度かやりとりした。

 すると、やり取りが面倒になったのか、自分の仕事が多忙でキャパオーバーしたのか、電話でのやり取りの最中、突然大声で「(帰任旅費は)ださなくてはなりませんから!」と言うとともに「前の通りやれ」と怒鳴られ、要求した事務所設立当時の金額算定の資料は送付してこなかった。

 そのため、私は、積算ができず、B主査の言うとおり根拠不明な前のとおり積算して支出することとした。しかし、賢明な公務員である読者の皆様ならお気づきだと思うが、旅費を構成する日当、宿泊料、移転料、交通費などは、その時々の情勢によって改訂されているもので、当然、「前の通りやれ」    

で積算すると、間違った計算となる可能性が大である。恐らく、事務所設立当時より、金額がアップしているはずなので、前のとおりだと所長が損をするし、県の団体監査で指摘されることとなるが、そこは、B主査の指示であると私は答えようと思うが、また責任転嫁することは見えている。
 このケースの前後の事例でも、当県職員の多くが、所管事務を含め、書類を読まず、根拠を調べない職員がいることに驚いたが、ここ数年、それらが原因の事務のミスが多発しているのは、そういうことを教える上司が少なくなったせいだろう。
 さらに、M係長は、電話でのやり取りを聞いて、私が不在時に積算した帰任旅費の資料を団体職員に指示して、コピーを送付させたが、それほど私のことが信用できないなら、本庁課で全ての事務をやればいいのではないかと思った。

○団体と県とは法人格が違うことを理解しているの?

  基礎的なことなのだけど、団体と県とは法人格が違うことは常識である。
 なぜ、これまで、県直営ではなく、団体経由で職員を派遣して、現地事務所を運営してきたのかも彼らは、理解していないのだろうなと思った。

 B主査から、「県の事務所になる1月以降の新聞代を団体本部が支払え」と言われた。補正要求で新聞代を積算するのを忘れていたのだろう。あまりにも馬鹿げた要求なのできっぱりと断ると、「現地事務所精算で余剰額があるので、それで支払うように事務所に指示する」という。自分で責任を取るのであれば勝手にやればいいだろうと、私は関与しないこととした。

 続いて、M係長の部下の女性担当者から事務所に「物品を送付したいが、課の役務費がないから、事務所経費で送れ」と言われた。これも当初はきっぱりと断ったが、あまりにもしつこく「課の予算が不足して、事務所が要望している物品が送れず、事務所の運営に支障をきたす。」と言われた。
 当時、団体本部から事務所あてに大量の物品を送付することもあって、「事務所の運営に支障をきたす。」と言われては、事務所の支援が業務の私としては、やむを得ず、承諾してしまった。こちらが協力したにもかかわらず、その女性担当者は、県が送付する物品について、私に「取りに来い」と要求してきたので、本来、そちらから「ありがとうございます」と持ってくるのが筋ではないか。B主査を通じて、「こちらも大量の物品を送付するのでそんな余裕はない」と断った。翌年、課の決算を見ると、役務費は不足するどころか600万円も余していた。結局、全て私への報復でやっていることだが、上司が馬鹿だと部下も何も考えずにその上司の真似をし、同調行動をとっている。M係長は、人事課にいたわりには、上司として人材育成どころか、部下にそんなことをさせ、自分たちの不法行為に巻き込む最低の人間だということがよくわかった。歓送迎会の時の、総務部出身であることのプライドと他人の話を理解できていないことから私が見抜いたとおりの危ない人間だった。


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