マガジン

最近の記事

地方自治体職員の故意、重過失案件に対する損害賠償請求について考えた

プール水流出事故での住民訴訟が教員個人への請求のきっかけ ・近年、プールの水“大量流出”について、自治体によっては、教員らへ損害賠償請求がされ、そのような事例が増加してきている。 ・今回、川崎市立の小学校で大量のプールの水を流出させた件で、損害の半額計約95万円の賠償を請求した同市の対応に批判の声があがり、市民から撤回の署名も提出されている。 ・これは、平成7年5月に発生した小金井市におけるプール水流失事故に関する損害賠償請求にかかる住民訴訟において、施設管理員に対する損害

    • 北の伏魔殿 ケースⅢ 作為と不作為 -⑤

      ○不作為によって生じる結果の重大性を恐れるべき  私が、悪質業者を許認可で不認可にし、訴訟で勝ったことは業者間ですぐに知れ渡った。それを上手く利用し、県が悪質業者には一歩も引かず、安全性の基準を満たさない場合は、訴訟になることも辞さず、不認可にするという姿勢であるということが周知された。  そんな中、ある事業者の工事で、周囲に幼稚園があり、長期計画の中で徐々に工事現場が近づいていき、最終的には5mほどの近さになるというものであった。私は、「幼稚園と一定の距離を取れるまでは認

      • 北の伏魔殿 ケースⅢ 作為と不作為 -④

        不作為の結果を恐れろ  作為の結果がどうなるかというのは、前回指摘したところであるが、一方、不作為も重大な結果を招くことが多い。熱海市の不法土砂堆積により、大勢の命が失われたことは、記憶に新しい。現在、第三者委員会で県や市の対応が検証されているところであり、詳細は不明だが、新聞報道によれば、何も対応していないということはなかったものの、県や市の事業者対応が事故が生じた原因のひとつとも考えられている。  また、全国各地で起きた児童虐待死事件では、住民や関係機関から児童相談所

        • 北の伏魔殿 ケースⅢ 作為と不作為 -③

          ○作為する人間をどう見抜くか~それが上司の責務 S主事について ➀私が赴任直後に、事業者ともめて課内で大声で怒鳴り合っていた。 ②彼の起案文書の内容を私が確認したところ、自分が答えられないことを聞いた係長が悪いと考えていた。 ③自然災害であるにもかかわらず、自分の思惑で事業者を行政処分しようとして、組織を訴訟に巻き込むところだった。 のは、ケースⅢ作為と不作為-②で記述したが、それ以外にも ④事業者が法令違反していると私に報告しながら、私と特別非常勤職員が現場に向かう際

        地方自治体職員の故意、重過失案件に対する損害賠償請求について考えた

        マガジン

        • 北の伏魔殿
          0本

        記事

          北の伏魔殿 ケースⅢ 作為と不作為 -②

          ○動機は不作為、行為は作為~補助金不正で自治体に損害を与える職員  屋久島町では、国から補助を受けた水道工事の完了日を偽り補助金適正化法違反により、国の補助金1667万7000円を返還したことについて、「町に損害」を与えたとして、町民が課長と職員、関連予算の執行に関わった町長と副町長に弁済を求めて監査請求した。  北海道庁でも、同様に国の補助金制度を利用した事業について、期限まで完了が間に合わず、適正な遅延手続きをとることが面倒だからと、国への報告書を偽造したため、国の補

          北の伏魔殿 ケースⅢ 作為と不作為 -②

          北の伏魔殿 ケースⅢ 作為と不作為 -➀

          ○単純なミスを除けば、公務員の不祥事の原因は作為と不作為にある作為とは                              人の行為のうちの特定の行為に着目したとき、当該行為を行わないこと(消極的挙動)を不作為というのに対して、当該行為を行うこと(積極的挙動)[有斐閣 法律用語辞典 第4版] ​不作為とは                                           何もしないこと、又は一定の行為をしないこと。例、行政争訟における「不作為について

          北の伏魔殿 ケースⅢ 作為と不作為 -➀

          北の伏魔殿 ケースII-番外編⑥

          ○機構改革で本庁に戻るが再びN氏と同職場になる~そんになことって普通はないよね  機構改革により、配置されたポストが1年ほどでなくなることとなったので、今度は、本庁企業立地担当課で参事と担当主査の関係となったが、そんな異動は普通考えられない。前回、記載したように私を異動対象者名簿に登載させないことが目的で、私の人事評価者の立場を手に入れたいだけで、人事工作する粘着質な人間だった。詳細は、ケースⅡに記載したが、直接、パワハラをしていたのは、K主幹であるが、それを指示し、K主幹

          北の伏魔殿 ケースII-番外編⑥

          北の伏魔殿 ケースII-番外編⑤

          ○ケースⅠの場合 ~ 他人に責任転嫁し、それを信用した人事課経験者が人事で報復して背任  知り合いだった部の人事担当課長補佐の人事異動により、団体に出向し、海外事務所の支援業務を担当することとなった。そこで受けたパワハラについては、ケースⅠで記載した。  もう一度、簡単に説明すると、前年まで海外事務所に勤務していたB主査が年度区分を知らずに、前年度予算で翌年度分の支出を行い、その決算数字をもとに私が依頼された予算見込額を積算した。結果、厳しい通しになったが、私が言ってはいけ

          北の伏魔殿 ケースII-番外編⑤

          北の伏魔殿 ケースII-番外編④

          ○研修のススメ  私は、新たな業務や行政経験をしたかったということを書いたが、結局それは、好奇心である。だから、新たな知見を得ることができる研修は大好きで、2~3年に1回は、県の研修に行っており、部下にも国の専門研修や県の研修を受講するように勧めていた。実際、国の専門研修に行った職員は、国の担当官と知己になり、情報をもらったり、相談もできてその後の業務に役だったと言っていた。 ○国の研修受講を妨害する人事係長~それじゃ人材育成は無理だと思うよ  そんな中、国の半年ほどに

          北の伏魔殿 ケースII-番外編④

          北の伏魔殿 ケースII-番外編③

          ○部下職員のスケジュール管理は係長の役目~飯田市の事例から  新型コロナ支援金で不適切事務をしたとして、飯田市が担当職員を懲戒処分したことがSNSで主に担当者側から批判の声が上がっている。部下職員のスケジュール管理は、上司が行うべきで、要求していた臨時職員がつかなかったことや管理職が「担当者がSOSを、なぜ言ってもらえなかったのか」といった発言に批判が集まり、上司も懲戒処分を受けるべきとの論調が多い。私も、業務が間に合うかどうかの進捗状況は、上司が確認すべき事だと思うので、

          北の伏魔殿 ケースII-番外編③

          北の伏魔殿 ケースII-番外編②

          ○人事担当者は人事権を乱用する ~ だから人材育成ができない  私は、スペシャリスト的ゼネラリストを目指していたので、できるだけ多くの行政経験をしたかったということを前回記述した。しかし、人事を出世の手段としか考えない職員には、そういう考え方が理解できないようで、特に人事を担当する職員は建前上、人材育成を前面に出していながら、実態は適材適所なども考えていない。優先順位は、議員のコネ、幹部職員の子弟、学閥、自分に従順な職員などであり、どれだけ仕事をしようが、優秀であるかは、さ

          北の伏魔殿 ケースII-番外編②

          北の伏魔殿 ケースII-番外編➀

          ○人事異動の適正年数は? ~スペシャリストになりたい? それともゼネラリスト?  公務員の異動間隔は、自治体にもよるが、概ね3年程度で、現役公務員のSNSでは、あまりに短くて、スペシャリストが育ちづらいという声も多く聞こえる。しかし、役所の業務範囲は、個人の担当分野はあまりに狭く(県庁の場合。国も同様だと思う。ただし、基礎的自治体は範囲が広い。)、専門的すぎて、係内でも担当法令が異なっていれば、他の職員の仕事は知っていても、簡単に書類を処理できるものでもない。仮にあなたがスペ

          北の伏魔殿 ケースII-番外編➀

          北の伏魔殿 ケースII-⑨

          K主幹の言動が全て嘘だったことが暴露される~それでも学閥はかばい続ける  企業立地担当課で私を受け入れてくれたT主幹は、N総務課長とも親しく、私がパワハラを受け、そのために体調不良になたことをN総務課長に説明してくれたらしい。ただし、T主幹もK主幹による補助金不正がその原因だったとまでは知らなかった。私が、出先機関に異動した後、N総務課長と出くわしたときに、彼はその顔には申し訳なさそうな表情を浮かべていた。その後、N総務課長は、局長相当職を経て、定年で関連団体に天下りした。

          北の伏魔殿 ケースII-⑨

          北の伏魔殿 ケースII-⑧

          ○何回目の人事での報復か  公務員に人事評価制度が導入され、それなりに定着してきたが、実質的な運用はと見ると、そもそも、人事評価で面接せずに差別的扱いをする。自己申告書は改ざんする。人事を適正評価どころか、縁故、学閥人事が幅をきかせ、勤務時間中に株取引や公用PCを使用してヤフオク取引をする。補助金に自己資金が必要な程度の知識ももたず、人事評価調書を改ざんしたり、仕事をせずに、パワハラや他人を貶めるためのネガティブキャンペーンしかできない程度の人間を人事担当にさせるというところ

          北の伏魔殿 ケースII-⑧

          北の伏魔殿 ケースII-⑦

          ○部長から、総務課長から人事課まで巻き込む組織的体質  体調不良になる前、私が受けたこれまでのパワハラの事実を人事評価調書に記載した。もちろん、パワハラをしているS主幹、総務課に異動したK主幹らが担当する人事評価調書なのでなんらかのリアクションがあるであろうと思っていたが、その時点では、なんの動きも見えなかった。しかし、半年後、前回フロッピーで提出した人事評価調書はS主幹に改ざんされていた。パワハラについて記載した部分は、削除され、自己の評価も下げられていた。半年前に改ざん

          北の伏魔殿 ケースII-⑦

          北の伏魔殿 ケースII-⑥

          ○伯父の遺産相続に関する工作と錯誤による遺言無効確認訴訟  遺産相続訴訟では、単に遺留分請求だけではなく、併せて遺言無効確認も行った。公正証書遺言の付言には私に「生前相当の援助をしたので、相続財産はなしとする」と記載されていたが、これは、伯父とその子2人に全財産を相続させる理由の裏返しで記載したものだろう。しかし、私はこれを逆用し、「生前相当の援助をした」事実がなければ、本人が錯誤して遺言を作成したものであるから、遺言無効確認が提起できると考えた。    相続人は私1人で、

          北の伏魔殿 ケースII-⑥