北の伏魔殿 ケースII-③
○不作為はどうして起きる~仕事ができないからしない
全国の公務員職場での不祥事の多くは、不作為に基づくものがほとんであり、その原因は、知識や能力不足から仕事に消極的で、できるだけ仕事をしないようにしているということに尽きると、私は思っている。もちろん、全ての公務員ががそうだということではなく、地域のため、住民のためと日々努力さている公務員もいるのだろうが、少なくとも私の自治体では、仕事をしようとする職員のほうが少ない。作為、不作為についてはケースⅢで改めて説明していこうと思う。
補助金の交付手続きが終了したので、次に、私の事務とされていて、これまで整理のついていない案件について、修正案を作成した。私のラインであるO主幹と相談するとともに局次長の了解を得ながら、関係者と協議するための成案作りを進めた。
一方、K主幹は、前年度に局次長から指示されていたプロジェクトに全く手をつけておらず、私が局次長の了解を得ながら業務をすすめていることと比較されることを恐れた。
このため、それまでK主幹のラインで実施していた業務を私におしつけ、そのプロジェクトに手を付け始めたが、部下の主査に私のことを「出る杭だ」と言わせる始末だった。
私の自治体では、電子文書システムの利用率が30%に満たず、担当課が利用を呼びかけていたので、私はシステムを利用して、決裁文書を回付した。すると、K主幹は、システムの操作方法がわからず、プライドが高いため、それを私に聞くことができずに、システムを利用する私に八つ当たりをしてきた。
また、あるとき、労働関係の講演に出席したK主幹が周囲に「講演はおもしろかったが2:6:2というのが何か分からなかった。」と言うので、私は、労働関係が初めての業務でそこそこの知識はあったので「おそらく、2仕事する:6普通:2仕事しないの比率のことだと思いますよ。」と教えると、それも面白くない顔をしていた。私自身は、行政の守備範囲は広く自分にすべての知識があるわけでもないことは承知しているが、自分の知らないことを知っている人間に敵意を持つというのは不思議だなと思う。
一方、K主幹は、勤務時間中、ガラケーで証券会社に株取引の発注を頻繁にしており、また、公用のPCから部下を使ってヤフオク取引までしている。勤務時間中、席にいることは少なく、学閥の知友人間を回って、仕事以外の情報交換や噂を故意に流していた。
H主査は、プロジェクトの担当として、そのこと以外に業務を担当することができないほど(あくまでも本人基準だが)キャパオーバーとなったので、私が彼の業務を受け継いだのだが、それでも、さらに回らないということで、私のラインの別の主査もH主査の業務の手伝いをしていた。
ところが、キャパオーバーのためか、手伝いをしてくれている主査に対し、「(手伝ってもらっていることに)あんた暇だから」と暴言を吐いたので、それを聞いていた私が「そんな言い方はないんじゃないか」と窘めたが、相手に謝罪することもなかった。相手の主査も憤慨し、H主査の業務の手伝いはそのときから一切しなくなった。
補助金業務で自己資金が必要なことを知らなかった彼の立場を考え周囲に聞こえないように配慮したにもかかわらず、なんの対応もしなかったため、両主幹を交えての相談の際には「おれが間違えたというのか」(そのとおりなのだが)と感情的になる人間だった。
私に対するパワハラが始まる前にはK主幹からO主幹がパワハラを受けていたそうで、K主幹の指示でH主査はO主幹に対して「お前なんかやめちまえ」と言ったそうである。
画像:株式会社東洋電制製作所