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前科あります(6)
1.昼から
昼を食べると出廷や弁護士との面会がない場合、は昼寝ができます。
私は本を読んだり、日記を書いたりしてましたが、たいていの人は寝ていたみたい。
懲役さんたちは作業だったのかもしれませんが、房の方はシーンとしてました。
おかげで本が読めた読めた。私は手当たり次第というか、外では読まないような男性向けの小説なんかも、この際ということで読んでいました。
男性向けといってもエロではなく時代ものとかハードボイルドね、あまり読みたいと思わなかったので今まで避けてたけれど、読み始めたら結構面白かったです。
三時になったら、まず、ラジオ体操が流され、そのあと普通の民放が入っていました。
時期になると高校野球と、相撲は聞けるそうです。
私は年末に入っていたので、紅白歌合戦を聞くことができました。
年末年始についてはまた別に。
2.夜
夕方四時半ごろに晩飯。
最初は、ちょっと早いかなあとも思ったけど、慣れました。
早くしてあげないと懲役さんが大変なのかも。
食べ終わって片付けをしたら寝床を作って、ごろごろできます。
九時過ぎたら消灯。
考えてみれば一日寝てばっかり。
で、警察の留置場と違いちゃんと壁とドアがあるので外からは完全ではないけれど遮蔽されています。
留置場みたいに看視台があるわけでもなく、看守は定期的に回ってくるので、布団の中で何をしても自由。
少々声が漏れても大丈夫。
ということで、時々、一人で、してました。
だって暇なんだもん。
ボールペンとかもあったし道具には困らなかったりして、てへ。
ばれたらどうなるんだろ、ばれなかったからわかんない。
運動の時に、聞いてみたい気はしたけどやめました。
ただ、顔は毛布から出していないと注意されます。もしかしたらばれていたかも。
でも、私の立場はまだ被告人、つまり建前推定無罪なのであまり厳しいことは言われませんでした。
裁判が始まるまえから、誰もが懲役一半年、執行猶予三年の判決だろうと思っているから、なおさらです。
あほみたいにのんびりした日々、ただ、自由に外に出られないだけです。
私の場合は亮でこういう生活をしてきているので何の苦にもならないのですが、グダグダ文句たれている人もいました。
あ、消灯だ。
それでも目をつむると、これからのこととかいろいろ考えてしまいます。
付き合っていた彼とも別れたし、仕事は懲戒免職になったし。
この辞令を、わざわざ同期のやつが持ってきてくれました、泣かれてすごく悪い気がしてしまった。
出たらどうするかなあ、とりあえずどっかの店で働くか、なんか手に職つけるかなあ、などと考えていました。
考えても仕方がない、寝よっと。明日は初公判だ。
何を着て行こうかな。