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日本人プレイヤーと海外プレイヤー、強いのはどっち?【スプラトゥーン2】

Youtubeでスプラトゥーン2の動画を見ていると、ときどき「わ、海外勢だ(弱い)」というような話を聞くことがあります。また各所でも海外勢は弱いという話が多く聞かれます。前回の記事へのツイッターの引用RTなどで、実際に海外でプレイされている方にそのようなコメントをいただきました。

そこで、今回は「海外勢と日本勢で実力に差があるのか」ということをデータ分析を通して調査していきます。

データについて

今回も前回と同様に ikawidget2 に集積した私のプレイデータを用いることにします。データは2022年5月末までのデータになります。前回と同様、日本語名のプレイヤーを日本勢、それ以外を海外勢とすることにします。

分析するウデマエについて

少なくとも今回の私のデータに関しては、前回までの記事から以下のことが言えると思います。

  • S+とXのデータが比較的充実している。

  • S+0からS+9までの間はほとんど部屋パワーが変わらない

  • 全ルールでウデマエとXPの関係は大きく変わらない(ガチホコバトルだけやや例外的)

このことから、今回は、「S+0からS+9までをまとめたもの」と「ウデマエX」の2つの区分について分析することにします。一応ルールごとの分析もおこなってみましたが、日本人の数などで区分を増やすことによってデータ数が少なくなってしまいました。また、全体的な傾向は全ルールを合計した場合と変わらなかったので、ルールごとの分析については本文では割愛します(補遺参照)。

日本人プレイヤーの判定について

ikawidget2 のデータでは、一緒に試合をしたプレイヤーのリージョンを判定することはできないようです(おそらくそもそもAPIから取得されていない?)。今回は、日本人プレイヤーであるかどうかを判別する基準として、プレイヤー名に全角英数字もしくは全角かな(ひらがなとカタカナ)が1文字以上含まれているかを基準にしました(※1)。スプラトゥーン2では半角カナおよび漢字は使えませんので、この判定でかなりの部分はカバーされているのではないかと思います。

ただし、以下のようなケースで判定を間違えます。

  • 日本人プレイヤーだが、半角英数字や記号、顔文字などをプレイヤー名にもちいている

  • 外国人プレイヤーだが、ひらがなやカタカナをプレイヤー名にもちいている

また、たとえば、日本語プレイヤー名の日本人であっても、海外在住のケースもありますが、日本人の方は比較的Youtubeの解説動画などを見てさまざまな知識を取得している方が多いと思いますので、日本勢として差し支えないかと思います。また、その逆のケースについても同様です。

以上のように、かなりざっくりとはしていますが、ある程度の実態は反映しているという仮定をしつつ先に進みたいと思います。よりよい判定基準をご存知の方がいらっしゃいましたら、コメントいただければ幸いです。

日本人プレイヤーが多い部屋はパワーが高いのか?

最初に調べたのは、「日本人プレイヤーが多ければ部屋パワーも高いのか」ということです。日本人プレイヤーが強いのであれば、そして、レーティングが正常に機能しているのであれば、日本人プレイヤーが多くなるにつれて部屋パワーが上昇することが期待されます。

図1: わたし以外の日本人プレイヤーの人数と試合数の頻度分布(上側パネル)および8人の推定パワー分布(下側パネル)の関係。左がS+、右がウデマエXを示している。下側のパネルでは、白点が中央値、太い線が第1四分位数と第3四分位数、細い線がデータの最小値と最大値の範囲をそれぞれあらわしている。

図1は、S+とXそれぞれについて、わたし以外の日本人プレイヤーの人数と8人の推定パワー(部屋パワー)の関係を示したものです。この図から読み取れることは以下のような点になるかと思います。

  1. 図1の左上のパネルから、S+では、日本人プレイヤーの人数が0と6のところにピークがあります。したがって、(おそらく)ホストのリージョンによって編成が日本勢が多いか海外勢が多いか決まってくる傾向があるようです。一方、日本勢と海外勢が半々程度になるマッチングは多くないようです(これは今回の判定の不定性からくるバイアスなのかもしれませんね)。

  2. 図1の右上のパネルから、ウデマエXでは日本人プレイヤーが少ない方のピークが消えます。したがって、ウデマエXでは日本人のアクティブプレイヤーが多く、相対的に日本勢が多い部屋のマッチングが発生しやすいことがわかります。なんとなく、日本勢の方が集団としてつよいひとが多そうだな、という予感がしますね。

  3. 図1の左下のパネルから、S+では、日本人プレイヤーの人数によらず部屋パワーの分布がほとんど変化しないことがわかります。

  4. 図1の右下のパネルから、ウデマエXで日本人プレイヤーの数が増えてくると部屋パワーが少し下降するように見えます。そして、日本人プレイヤーの人数が4人を越える部屋あたりから部屋パワーが上昇に転じています。また、日本人プレイヤーの人数が多い部屋では、分布がダブルピークになっています。このあたりは考察しがいがありそうですね。なんとなく、海外勢と日本勢、完全に分けてマッチングした方が(マッチング時間のことを考えなければ)平和な感じで分相応な状況になるような気がします。

  5. 図1の下側の2つのパネルに共通して、日本人プレイヤーの人数が増えるにつれて、パワー分布の高い方の裾が大きくなることがわかります。つまり、日本人の方がパワーが高いプレイヤーが多く、それに引っ張られて平均パワーが高い部屋が実現しているのではないかと考えられます。

次に、同じような図ですが、今度は横軸に部屋パワー、縦軸に日本人プレイヤーの人数をとって、試合数を色で表した図を示します(図2)。

図2: わたし以外の日本人プレイヤーの人数と部屋パワーのそれぞれの組み合わせについて、試合数の分布を色付きであらわしたもの。左がS+、右がウデマエX。

図1に比べてさほど情報量が増えているわけではありませんが、S+では海外部屋(縦軸の値が0付近)と日本部屋(縦軸の値が6付近)でクッキリと分かれていることがわかります。一方、ウデマエXでは日本部屋がかなり多くなっており、また、日本部屋では部屋パワーが高い方まで分布が伸びていることがわかります(右下部分にデータがないことから)。

日本勢と海外勢、どっちがツヨいのよ?

さて、図1と図2から、S+では日本勢の人数に依らず部屋パワーは同程度であり、ウデマエXでは海外部屋でも部屋パワーが低くないことがわかりました。しかしながら、ウデマエXでは日本部屋がほとんどを占めているため、日本勢の方が強いということもいえそうです。

そこで、味方チームと敵チーム、それぞれについて日本人プレイヤーの人数をカウントして、組み合わせごとに勝率を計算してみました(図3)。

図3: 敵チームの日本人プレイヤーの人数(横軸)と勝率(縦軸)
の関係。異なる点種は、味方チームの日本人プレイヤーの人数を示している(凡例を参照)。また、左のパネルはS+、右のパネルはウデマエXについてのもの。

図3から読み取れることは以下のようなものになるとおもいます。

  1. ウデマエによらず、敵チームに日本人プレイヤーが多いと勝率が下がる。

  2. ウデマエによらず、敵チームに日本人プレイヤーが2人以上いると勝率が5割を切る傾向がある。逆に言えば、ほぼ完全な海外部屋のマッチングであれば、「勝率5割マッチング」が実現していると言える。

  3. 味方チームの日本人プレイヤーの人数については、誤差もあるが、「日本人プレイヤーが一人以上いれば」傾向が変わらない。

  4. ウデマエXで味方チームに日本人プレイヤーがいない場合の勝率は目立って低い(◯点)。逆もまたしかりで、ウデマエXで味方チームのわたし以外の3人が日本人プレイヤーの場合の勝率が、敵チームに日本人プレイヤーがいない場合に特に高い(△点)。

海外勢、やっぱり弱いみたいですね。そして、わたしはやっぱり「海外勢」の実力のようです。それにしても、日本人プレイヤーが味方に一人いるだけで勝率が変わってくるというのは驚きでした。

まとめ

ここまでの調査から、以下の2点が大局的な結論として言えると思います。

  • 部屋パワーの大局的な分布は日本人プレイヤーの人数とはほとんど関係しない

  • 敵チームに日本人プレイヤーが増えると、味方チームの勝率が顕著に下がる

この2点から、同じガチパワーでも、海外勢より日本勢の方が強い、ということがいえると思います。これは実際に試合をしていての実感に近いものがあります。おそらく立ちまわりやチームプレイに対する考え方の違いなのではないかと思いますが、このあたりは今回のデータの範囲からは分からないので、将来の課題にしたいと思います(※2)。

少し細かい点としては、以下のことが気になりました。

  • ウデマエXで日本人プレイヤーの人数が増えると部屋パワーが減るように見えるのはなぜなのか。

  • ウデマエXで日本人プレイヤーの人数が5人を越えたあたりから部屋パワーの分布がダブルピークになるのはどうしてなのか

特に後者は興味深いと思いますが、S+のレートがプレイヤー全体で見るとダブルピークになっているというような話もどこかで見かけたので、それを反映しているのかもしれません。たとえば、部屋パワーが低い方の分布にあるプレイヤーは、わたしのようにS+とXの行き来を繰り返している層とか。このあたりもなにか思いつくことがありましたらコメントしていただけるとうれしいです。


(※1)Python の unicodedata.east_asian_width() をもちいて、戻り値が F もしくは H の文字が含まれていることを条件としました。
(※2)海外勢と日本勢で5分あたりのデス数を比べると少しは立ちまわりの傾向がつかめるのかもなあ、という予測をしています。時間があるときに調べたいと思います。


補遺

今回の記事に使った図について、ルールごとにわけたものを載せておきます。


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