来るものは拒まず?
最近、弁護士は専門特化しているのが当然と考えている人が増えていて、「先生の専門はなんですか?」とか「〇〇専門の先生を知りませんか?」などと聞かれることも少なくありません。
私の場合は、家事、とりわけ離婚や親子問題を扱うことが多く、かつて東京家庭裁判所で家事調停官をしていたこともあり、「家事事件の専門」みたいな目で見られていることも少なくないように思います。
が、私は自分が家事事件の専門だと名乗ったことは一度もないし、家事事件専門の弁護士だと思ったこともありません。
最近は件数が以前に比べてかなり減っていますが、刑事事件だってやっています。
破産などの債務整理の仕事もしています。
会社の顧問の仕事もいくらかしています。
個人的には、基本何でも屋で、たまたまその中で家事事件の割合が多いだけと思っています。
弁護士に限らずですが、自分は〇〇をやりたい、そちらに特化していますと標榜して、自分の道を決めていくという人も少なくないと思います。
ですが、私の考え方はちょっと違っています。
仕事を自分が選ぶのではなくて、仕事が自分を選んでやってくると思っています。
私に何をさせるかは、私に相談したり事件を依頼する人が決めること。
自分が歩んできた道やこの先に続いていく道は、その集積でしかありません。
家事事件が今現在かなり多くなっているのは、私の今までの依頼者の皆さんが、そういう事件を数多く依頼してきたその結果でしかないと思うのです。
人の人生や仕事って、そういうふうにして決まっていくものなのではないかと。
自分の欲求だけでは決められない。そう思います。
この先、私に対する社会のニーズは変わるかもしれない。
そして自分はそういう変化に対応していける人間でありたいと思っています。
家事事件専門と名乗ることは、そういう未来を狭めることになるようにも思います。
なので、自分はなんらかの専門家とは名乗らないことにしています。