
PLAUBEL MAKINA 670をお迎えして1年たった感想
国産中判フィルムカメラ「PLAUBEL MAKINA 670」をお迎えしてから、早くも1年が経ちました。このカメラとの出会いは、美容師の雨宮さんから致死率の高い“国産中判カメラ病”をうつされたことがきっかけでした。そして、国産中判カメラを物色しているとPLAUBEL MAKINA 670を見つけ、その流れるような美しいストリームラインを彷彿とさせるデザインに一目惚れし、購入を決意した次第です。

PLAUBEL MAKINA 670を使って改めて実感したのは、愛着が持てる機材を手にすることが、単なる道具を超え、大きな体験価値をもたらしてくれるということです。その理由は、PLAUBEL MAKINA 670に限らず、LEICAのような普遍的なデザインを持つ機材も同様に、使うたびに「特別なものを手にしている」という感覚を呼び起こしてくれるからです。見た目の美しさだけでなく、手に持ったときの感触や質感、操作感も特別なものとして感じられます。機材が持つ美しさや手触り、それを通じて得られる体験こそが、愛着の原点であり、長く愛される理由なのだと改めて感じています。購入時は正直なところ値が張りましたが、今では「買って損のない最高の買い物だった」と胸を張って言えます。

もう一つ、私にとって大きなポイントは、蛇腹構造による折りたたみレンズがもたらすスリムな形状です。このおかげで、中判カメラとは思えないほどのコンパクトさを実現しており、カメラバッグにすっぽりと収まります。普段M型ライカを愛用している私にとって、同じようにコンパクトなカメラは運用面で大きなメリットがあります。一方で、PLAUBEL MAKINA 670は固定式レンズのため、レンズ交換ができません。しかし、これには意外なメリットもあります。それは「レンズ沼」に陥らないことです。限られた選択肢の中で撮影に集中できるため、この仕様をむしろ前向きに捉えています。


この1年間で撮影したフィルムは25本にのぼります。多いのか少ないのか分かりませんが、月に約2本のペースは、私にとってはちょうど良いペースとなっています。内訳は、モノクロームフィルム(KODAK Tri-X / ILFORD HP5+)が8本、カラーフィルム(CineStill 400D)が4本、ポジフィルム(KODAK EKTACHROME E100)が13本、さらにパノラマ写真用にモノクロームの135フィルムが1本です。


本数から分かるように、特にブローニーポジフィルムの魅力にすっかり取り憑かれてしまいました。その理由は何と言っても、ライトテーブルの上に大きなポジフィルムを置き、ルーペ越しに鑑賞したときの感動にあります。この瞬間の美しさと迫力は、言葉にできないほどです。ブローニーポジフィルムは高価ですが、これからも楽しんでいきたいです。