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「透明を満たす」って何を読まされてるのかしら

こちらの本が大変な売れ行きのようで。

普段テレビを見ない私。「中居君の女性問題でフジテレビのスポンサーが降りまくっているらしい。」と聞き、ほうほう、へえへえ。と気の抜けた返事をしていた。

こちらの本はその被害者とされる女性のフォトエッセイ。私の住む田舎の本屋では売れすぎて在庫がなくなっているような状況だ。

そんな中、義父が「色々走り回ってやっと一冊あったわ!読む?メルカリとかでも早速高額転売されてるよ。」と勧めてくれた。もうなんというか下世話としか言いようのない紹介。やめてくれよと言いたくなる。


「悲しい気持ちになりますかね?」と聞いてみると
義理の両親は揃って「暴露本では無いね。強い人だなあと思わされるよ。」とのこと。ならば、と思い読んでみるが

ほんと これ なんなの?
何を読まされているの?

強い人だなの一言に収めた義両親の性質にも相変わらず驚く。本屋に殺到する大勢の人達に彼女の何がどれだけ伝わったんだろうか。

これは彼女の文章力でついうっかり読まされてしまうが、本当に言いたい事は読者の想像力に任せられるような一冊。タイトルひとつをとってもそのように私は受け取った。


フジテレビの事件とは

今回の事件がなぜ起こったのか
何故こんなにも大きく広がったのか
この本は誰が何のために書いたのか
渡辺渚という人はどういう人なのか
そもそも、この事件はなんなんだ、と
湧き上がる疑問符を抑える事ができなかった。

彼女の書く文章と
途中挟まれる日記

グラビア写真を挟む意味や
彼女が語る今とこれからの話

この本が講談社から出版され
フジテレビの不祥事として記者会見が行われる

そして
それに踊らされる世間

このニュースについて納得できる事がひとつもないように思ったのは恐らく私だけじゃないだろう。


だからこそ話題になるし、色んな解説サイトや週刊誌のニュースがたくさん出てきている。広告まみれのサイトを掻い潜り色々調べてはみたが、どれも状況を羅列しただけで納得のできる説明は見当たらなかった。

そんな中で1つの納得感を得られたのが、ホリエモンのYouTubeだ。この件について元フジテレビアナウンサーの長谷川さんと話されている。


この動画が言うには
どうやらフジテレビ内で上層部を引き摺り下ろそうとしてリークした結果会社や社会全体の問題になってしまったのではないか
という事、らしい。

フジテレビという会社の歪みと表に出ない色んな人の思惑について大変わかりやすく説明されている。


この本が令和の時代に現れた
賢きジャンヌダルクが一矢報いる
そんな英雄譚ならばまだ良かったのに。

蜘蛛の糸を掴む1人を引き摺り下ろそうとしたら
糸が切れて全員地獄に堕ちちゃったらしい。

だとすれば
本当に救いようのない話だ。

令和における芸能界

何かの対談で大御所達が話していた。芸能界って界って付くくらいあれは、こちらの世界とは違うものだ。

テレビの無い時代から色は芸の肥やしにしてきたような世界。落ち目の女優さんが一晩何十万円で営業したり、今回の事件のような事を逆に利用しこの世界を生き抜いてきた人もたくさんいるのだろう。

しかし、どうやら今はその文化が許されないらしい。
なんでもオープンに、平等に、みんな同じ価値観を求め、考え方の違いも認めましょう。そして、私が可哀想だと感じるものは見せないでくださいね。そんな時代だ。

令和はまだ7歳のくせに世の中をどんどん変えてゆく。優しくも厳しい。変化が大好き。常にバランスをとりながら乱して行くようなひどく矛盾した時代だ。親の顔が見てみたい。もっと情緒の安定した愛ある世界にして欲しい。

この「令和だから、時代だから」という神風を利用してやろうと目論んだ人間達が居る。どの時代にも新しい風で名を上げようとする人はいるらしい。それが昨今の芸能界のニュースになっているようだ。

ジャニーズもハリウッドも
芸能人のアテンドに関しても

彼も、彼女も
被害者と加害者でありながら同時に
利用された人達であると言えるのだろう。


どうか彼女が満たされますように

今回の本の話に戻ると
渡辺渚という筆者がとても強く聡明でバイタリティに溢れる方というのがよくわかった。一方で、彼女はまだまだ言いたいことがたくさんあるし、今回の本は上手い立ち回りをしたんだろうなと思う。

そして、何より1人の読者として。今回この一冊を書いたことがただの賢い立ち回りではなく彼女の治療に繋がったらいいなと思う。

本人も含め、どう隠したって色んな人の思惑で完成された一冊だ。回復したと言うには早すぎるこの段階で一冊にまとめた事実は、彼女の優秀さと強さに他ならない。

でも、もしかすると先の長い彼女の場合いつかこうして書いたことを後悔してしまう日が来るかもしれない。それくらい本人にとっても世の中にとっても大きな影響力のある一冊だ。

そんな時、自分のために書いた一冊だと胸を張れたらいいなと願う。同じような状況の誰かのためになっただとか、単にお金のために書いたと割り切ってしまうのではなく、自分の為の一冊だったと胸を張って言えたらいいな。


きっと今はそういう思いでいらっしゃるだろう。治療の一環にもなっただろうし、言論の自由も主張した。
この輝きを未来のあなたにも、未来の友人達にも思って欲しい。胸を張って一冊の本にしたことを誇って欲しい。業界に無関心なのに偶然読者になってしまった私ですが、1人の人間として切に願う。

あなたがこの一冊を世に出したこと
後悔しない人生になったらいいな。と。

幼虫でもサナギでも

人は病んだ時、大きく沈んだ後
何故か大きく羽ばたこうとする。

今までに大袈裟に感謝したり
未来に大きく期待したりする。

サナギから蝶が羽ばたく事に例え
一旦体を目に見えないところでドロドロにして
鮮やかで劇的な変化を求めることがある。

でも、心を病む事に関して言えば
大きな野望を抱いてる時は
まだ渦中と言えるのではないだろうか。

過去は過去、今は今だ。
生まれながらに素晴らしいあなたに
本来大きな変化なんて必要ない。

大きな感謝も向上心さえ無くなり、波がおさまるように静かにいられる状態になる。それは縁側で魚と砂肝を焼いた気持ちが当たり前にそばにあるような状態とも言えるかもしれない。

蝶が葉の上でゆったりと休むように。
サナギが葉の上にいるのと同じように見えるけど、本人にとっては全くと言っていいほど似て非なるものなんだろうね。


羽ばたく事さえやめ葉の上で休む
そうした時にやっと本当の意味で元気になったと言える。私はこれまでの経験としてそう考えている。

幼虫でもサナギでも
あなたが蝶なとこに変わりはない

そう励ましてくれたのは本だったか
何かのインタビューだったか。


改めて読書感想文


自分と同じ人達を救いたいだとか
ベットの上で笑って見せたりだとか
透明性の高い社会を望んだりだとか
穏やかな口調に反してこの本は大変好戦的だ。

彼女が本当の意味で満たされて
周りの人達に感謝して共に喜びあって
どんな自分でもいいよと言える
そんな未来になる事を切に願う。


強い彼女が自分の繊細さを守るために
これからも強くいられたらいいな。

その時にはまたその繊細な心を
秀逸なエッセイとして読みたいな。


そう思いました。


自分へのインタビューみたいな記事も
すごい文章力だなと思ったけどさ

この本で1番読み応えがあったのは
あなたの日記だったよ。



さーてと
義両親に何て感想言おうかしらねえ。



▼余談ですが

ふと気になりお昼にテレビをつけると、フジテレビ系列の地方局でGacktが出ていた。地方局でお昼の生放送に突如現れるGackt様。普段見ない私でもわかる。雑コラかと疑うような違和感があった。

やはり普段はあり得ない豪華ゲストのようで、司会アナウンサーの緊張は4Kテレビがまざまざと伝えてくれた。ワンセグで見れば良かったかなと思うほど。多分それでも胸がギュッてなったと思う。

YouTubeで言われていた話によると、スポンサーが降りて地方局によっては一年持つか分からないような大変厳しい状況らしい。

今回の出演も
きっと
そういうことなんだろうね。

業界を変えて私欲を得ようとする人もあれば
業界で生きる人のために動く人も居るのだなあと。


粋よねぇ。

まあ、知らんけどさ。


けど、あのGackt様が考えも無く
気まぐれに出たとは考えにくいですよね。

まあ、知らんけどさ?




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ガルヤマ
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