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夢のまにまに

夜眠りにつくとき、このまま死ぬまで眠り続けることができればいいのに、と思うときがあります。それは決して苦痛から逃れたい、死にたいといった感情からくるものではありません。

永遠に私が望む夢を見続けて生きれるようになるからです。
確かにそれは現実とは程遠い、自らが作り出した空想の世界なのかもしれません。

しかし、もし永遠に眠り続けることができるのなら、夢での私が現実を生きる私といってもいいのではないのでしょうか。
夢の中で永遠に存在することができるのであれば、実在なんて些細な問題は考えるにも値しないものではないのでしょうか。

そんなことを思いながら今日も眠ります。半径85㎝以内に貴方がいない朝を起きることをこの上なく嫌ってしまいます。いっそ貴方が存在していなければいいのにと思うときもあります。

もし貴方がこの世から存在することを辞めてしまったら、私は永遠に眠り続けるでしょう。いつか貴方が死んだときには夢で逢いましょう。
そして空気や水のように、あるがまま、ただ流れるがままに一緒に生きていきましょう。

夢の中の貴方はまた目を合わせてくれるでしょうか。
自傷気味な私に対してただ笑いかけてくれるのでしょうか。
何一つとして存在理由がなかった私にまた生きる理由を感じさせてくれるのでしょうか。
どれも独善的な願いですが、生死を問わず、どんなときでも貴方が貴方であることを望みます。

また朝が来ると目が覚めるのでしょうか。
私が実在する理由は、呼吸を続けている限り、貴方を確認できる可能性がほんの僅かにあるからです。
それだけが私が呼吸をして生命活動を続けている理由です。
あなたが生きている限り、私は夢の中ではなく、現実の中を生きることを続けます。

そうして私は呼吸を続けます。


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