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解雇規制緩和と日本人の労働、海外駐在員の現状


 先日「日本での解雇規制緩和に関する一考察」を公開しました。日本と海外での企業と労働者の関係性やパワハラ問題など、様々なことを考えました。今回はその際に感じたことや思い出したことを海外駐在員の働き方とあわせてご紹介します。

日本と海外の働き方の違い

 日本と海外の雇用契約の違いについて、海外で働いたことがある人はよく分かると思います。日本ほど従業員が会社の命令を何でも聞かないといけない国はないでしょう。

海外駐在員の実態

 日本企業に勤めていて海外に駐在したことがあるという人は結構いると思いますが、そういう人たちが海外でどのように働いているかと言うと、私の知り合いでは日本よりも長時間労働をしている人が意外と多いです。
 これは日本型の働き方が染みついているというのもあると思いますが、日本人駐在員は日本での雇用契約がありますから、上司から命令されると何でもやらなければいけないためです。
 また、海外ではサービスが悪いので、いろいろなことが予定通りに進まなくなったりしますが、それをなんとかカバーしよう、うまく回るようにしようとするために、深夜まで働いたり、休日も出勤したりして対応している人が今でも多いと聞きます。 

丸亀製麺の話

 この海外で働く日本人駐在員が大変だと感じたのは、丸亀製麺に行った時のことです。海外の丸亀製麺も日本の丸亀と同様のスタイルで、お客さんがトレイを持って並び、まずうどんを注文し、天ぷらやサイドメニューを自分で取って会計に行くという流れになっています。
 店員さんはうどんを温めたりするうどん担当、天ぷらを揚げる担当、レジの担当などに分かれています。その他にもサイドメニューを作る人、うどんを茹でる人など、色々な担当がいます。海外でもこうした流れは同じですが、担当分けが非常に細かくなっていることに気がつきます。

イギリスのスタッフの働き方

 うどん担当、ご飯物担当、トッピング担当、カレーのカツを切る担当、カレーをかける担当、天ぷらを揚げる担当という風に細かく分かれています。カツカレーライスばかりオーダーが入る時もありますが、そういう時、日本だと隣にいるうどん担当の人やトッピング担当の人が手伝うことでしょう。
 しかし、イギリスのスタッフは全くそれをやらないのです。最初に決められた役割しかやらないのです。気づいていないというのもあると思いますが、自分の決まった役割しかやらないのです。カレー担当だけが忙しくて、他の店員は暇そうにしている。そしてお客さんは待たされていて、20人ぐらい並んでいることもあります。

丸亀製麺の海外展開と資金調達(転換社債)

日本人スタッフのサポート

 丸亀製麺の場合、日本人のスタッフが数名いて、その日本人のスタッフが常に周りを見ながら自分の仕事も進め、大変になっているところをサポートしています。
 イギリスの丸亀製麺に行くと、イギリスの店員さんが全然使えないなと思いながら、日本人の店員さんはさすがだなと思いつつ仕事をしているのを見ています。日本の店舗よりもたくさんのスタッフを配置していて、うどんをオーダーしてからレジに行くまでに10人ぐらいいる時もあります。
 丸亀製麺の話はあくまで私が見て思ったことを話しているだけなので、ロンドン以外の店舗ではもっと違う状況があるかもしれません。

丸亀製麺への応援

 丸亀製麺のイギリスの店員さんのことをちょっと悪く言ってしまいましたが、日本の店員さんと比べてどうかという話をしただけで、決して丸亀製麺を非難しているわけではありません。
 私は丸亀製麺を応援しています。

モハPチャンネルは丸亀製麺を応援しています。

丸亀製麺の海外展開と資金調達(転換社債)

日本人の働き方の考察

 どうして日本人はこんなに気が効くんだろう、どうしてこんなにいつも全体のことを考えて全部うまくいくように考えながらやっているんだろう、そして、うまくいかなかったりすると深夜までサービス残業までしてやろうとするんだろうかと考えることもあります。
 もちろん理由は人それぞれで、会社を良くしていこうという気持ちを持ってやっている人もいるでしょう。ただし、一つ考えられる理由としては、企業と労働者の関係性において企業が強いというのが大きいのではないでしょうか。

恐怖

 仕事がうまくいかなかったらもっと大変な仕事を命令されるかもしれない、行きたくないところに転勤させられるかもしれない、その恐怖があるからやらざるを得なくなるわけです。
 今は昔に比べればサービス残業は減ったと聞きますが、それでも海外に比べるとありえないほどのサービス残業をしていることでしょう。

海外駐在員の実態

 日本の金融機関に勤めている海外駐在員も、サービス残業をしているという話をよく聞きます。結局、丸亀製麺の話ではないですが、現地スタッフが与えられた範囲のことしかやらないので、突発的に対応しなければいけないことは全部日本人が引き受けることになるのです。

パワハラの問題

 なぜ日本人のサラリーマンは自殺するほどにまで追い込まれるのでしょうか。海外でもセクハラやパワハラはありますが、それが理由で自殺をするということはまずないでしょう。
 仕事なんかどうでもいいというか、人生の中での優先度が低いと考えている人が多いので、仕事でひどい扱いを受けたとしても、それで人生を終わらせようとかそのようなことを考える人は非常に稀だと思います。

イギリスなどでは子育て世代の人と一緒に仕事をすると、急にミーティングの時間が変わったり、その人が欠席になったりするということがありますが、周りの人も全く気にしませんし、本人も全く気にしていません。

フランスの少子化対策と日本への教訓

 なんでこういうことが多いのか、なんで逃げられないのか。転職が容易ではないというのが逃げられない一つの要因ではないかと思っています。

採用において中途採用を増やした企業に優遇措置を与えるというような施策が良いのではないかと個人的には思っています。

日本での解雇規制緩和に関する一考察

労働者の立場

 こうした経験もあり、日本で働く人たちの幸福度をもう少し上げていくことはできないのかと常々思います。労働者の権利を主張して労働者を守ろうということではなく、雇用の流動化が進む健全な社会が生まれていく方向性には同意しています。
 金銭解雇しても大多数の人たちが困らないように、日本の社会がむしろ活気づくように、労働者の立場を強くし、労働者が挽回できる仕組みを作るのが先だと思っています。このあたり、国内でももっと議論が盛り上がっていってほしいところです。


ご参考

イギリスだと、9時に集合と言われると、皆さん9時頃に集まります。しかし、日本人だけが5分前や10分前に来て遅れないようにしようと考えます。そのため、最初に集まるのはいつも日本人です。

家族で海外で生活するということ

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