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株価急落時の機関投資家の投資行動


 2024年8月5日、日経平均株価が4,000円以上下落し、市場はパニック状態に陥りました。これまでの最大の下げ幅は、1987年10月の米国市場の大暴落「ブラックマンデー」翌日に付けた3,836円でした。
 この記事ではパニック相場における機関投資家の行動について解説します。

機関投資家の種類と役割

 機関投資家は個人投資家にとって得体の知れない存在であり、市場を裏で操っているのではないかと疑われることもあります。しかし、実際には様々なタイプの機関投資家が存在します。今回は、日本でも馴染みのある機関投資家について解説したいと思います。

アクティブファンドの対応

 まず、株式に投資する投資信託、いわゆるアクティブファンドについてです。アクティブファンドは、TOPIXやS&P500といったベンチマークを上回ることを目指すファンドです。
 暴落相場の中でアクティブファンドは基本的に様子見をします。ファンドマネージャーは大きく動く相場の中で忙しく取引しているイメージがありますが、実際には様子見が多いです。

暴落相場の影響と対応

 今回の暴落相場では、日銀の追加利上げがきっかけで日本株が大きく下がりました。その後、アメリカの景気後退懸念や中東情勢の緊迫化など、様々な要素で市場全体が下げています。
 
このような場合、基本的に様子見になることが多いです。個別企業の不祥事などで一部だけ下げる要因が出た場合は早く動くこともありますが、全体で下落している場合は前提条件がどう変わるのか見極めてから動くことが多いです。

セクター・アロケーションと個別銘柄の影響

 今後の為替相場の見通し次第では、インバウンドで儲かってきた小売業などのセクター(業種)の保有を減らすかどうか、製造業をどうするかなど、セクター・アロケーション(業種・配分)も考えなければなりません。
 個別銘柄への影響も考慮する必要がありますが、それも相場やインフレ、経済成長見通しなどの前提条件次第です。前提条件が定まらない中で下手に動けば、余計に取引コストがかかるだけですので、慌てて動くことは非常に少ないです。

ファンドマネージャーの見解

 私の知り合いの日本株のファンドマネージャーに話を聞いたところ、やはりひとまず様子見だと言っていました。
 日銀の利上げをきっかけに株価下落が始まりましたが、その後金利は急低下し、銀行株も急落しています。円高を受けて製造業やインバウンド関連も軒並み下落していますが、金利の見通しや為替相場の動向を見極めてからでないと動けないという感じでした。

投資信託の対応

 投資信託の場合、このような対応が多いと思います。個人投資家の方は、じっくりと考える投資家が機関投資家の中に一定数いることを知っておくと良いでしょう。ポジションの調整に時間がかかるため、大きく下落したセクターや銘柄をどうするか、相場が落ち着いたタイミングで時間をかけて考えることになります。投げ売りや押し目買いもある程度の時間継続することになります。

銀行や保険会社の対応

 次に、銀行や保険会社などの機関投資家についてです。彼らは損益が決算に与える影響を非常に気にしています。株を売却すると売却損益が発生し、会社の業績に影響を与えます。計画に盛り込んだ売却益を出さないと、計画が大きく崩れることになります。そのため、計画に盛り込んだものは何が何でも利益を出さなければなりません。
 今回のように株価が急落すると、持ち株をまだ売っていない状態で株価が下がると予定していた売却益が取れなくなるため、先物を売ることで持ち株が下がった時の売却益をカバーしようとします。これが急落に繋がりやすいと言えます。

保険会社と銀行の取引の違い

 保険会社と銀行の取引の違いについても解説します。
 保険会社は簿価が低い傾向があります。特に生命保険会社は高度成長期から株をたくさん買っており、大株主になることで営業を仕掛ける戦略を取ってきました。株が売りにくい傾向にあります。そのため、昔から持っている株が多く、簿価が低いです。

 高度成長期から、顧客から預かるお金が増えていく中で、その資金で企業の株を購入し、株の値上がり益を取りに行くのと同時に、企業に生保レディーを送り込み、保険の販売を拡大していくという戦略を取ってきました。

金融危機時の機関投資家の投資戦略の振り返り

保険会社と銀行の市場への影響

 日本の生命保険会社で最も株を持っている日本生命の場合、持株が日経平均と連動して動くと仮定した場合、持株の含み益が0になる日経平均株価の水準は2024年3月末時点で11,900円だとしています。含み益が0になる株価水準は決算時に公表されています。
 生命保険会社の場合、株価が下がっても含み益の状態なので、あまり心配ありません。銀行の方が株価には敏感に反応するかもしれませんが、保有する株の量がそれほど多くないため、市場に与える影響は限定的です。

まとめと今後

 この記事では、機関投資家のうち投資信託と銀行、保険会社が急落相場の中で何をしているのかについて解説しました。外国人投資家やヘッジファンドについて興味があるかもしれませんが、それぞれ動きは異なります。また別の機会に解説したいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


ご参考

機関投資家の投資戦略を具体的な事例を含めて解説したいと思います。個人投資家の方々にも、参考になると思います。

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