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ロシアの戦時経済の現状と利上げの要因
追記(2024/10/27)
下記のとおり、実際は21%の利上げでした。記事はそのまま残しておきます。今後ともよろしくお願いいたします(TeamモハP)。
先日作った動画で、ロシアが20%まで利上げするかも、と話しましたが、実際は21%になりました。https://t.co/ljakiglBrC
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) October 26, 2024
ロシア経済の現状についてアップデートしたいと思います。ウクライナがロシア領土に攻撃をしたり、北朝鮮が軍隊をウクライナに派遣したりと様々な情報があり、ウクライナ戦争は新たな局面を迎えています。
そうした状況の中、ロシア経済は現在どうなっているのでしょうか。実態の把握が難しいと感じている方も多いでしょう。
メディアとインフルエンサーの見解
メディアでは「ロシア経済は苦しい」との報道があるものの、インフルエンサーがモスクワを訪れた際には「ロシア経済は悪化していない」との意見もありました。どちらが本当か、混乱している人も多いでしょう。
そうした状況の中、2024年10月25日にロシア中央銀行が利上げを実施し、政策金利を20%に引き上げる見込みとなっています。
ロシアのデータの信頼性
今回解説する内容は主に、ロシアの統計局が発表している経済データ、中央銀行の政策、中央銀行が政策金利を決定する時に発表する生命文や中央銀行総裁の発言が中心です。
これでロシア経済の全てが分かると言うつもりはありません。そもそもロシアの統計局が出している数値が怪しいなど色々な考えがあると思います。中央銀行の総裁の発言が信用できるのかという意見もあるでしょう。全てを網羅できている情報が存在しないため、多角的に見ていくしかないです。
例えば、中央銀行総裁がロシア経済の悪い部分について言及していたら、少なくとも実際はそれ以上悪いのだろうと考えるなど、こうした情報を見ることも無意味なことではないでしょう。あくまで一つの側面として考えていただければと思います。
私たちは公表されているデータをもとに戦う必要があります。
データが実態を表しているかどうかの検討に加え、データが実態をどれだけ表しているのか、どうすれば補正できるのか、何のデータで補正するべきか常に判断する必要があるでしょう。
ロシア中央銀行の利上げの背景
ロシア中央銀行は9月にも2%の利上げを行い、今後複数回の利上げを示唆しました。そのため、10月25日の利上げも予想されています。
ウクライナ戦争が始まった直後、ロシア中央銀行は政策金利を9.5%から一時的に20%まで引き上げました。これは通貨防衛の目的もあったと見られています。
2022年4月以降は段階的に引き下げ、2022年後半には7.5%まで引き下げました。しかし、2023年に入ってインフレが進行し、2023年夏以降再び段階的な利上げが行われています。
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戦時経済の影響と生産増加
ロシアの経済データや中央銀行の発表を見ると、やや加熱感が出ていることがわかります。直近のGDP成長率を見ると、インフレを除いた実質ベースで2024年第1四半期が前年同期比で+5.4%、第2四半期が+4.1%と高水準を維持しています。また、インフレ率は直近9月の消費者物価指数で前年同期比+8.6%と高い値を示しています。
これらは戦争による物資の大量消耗と、それを補うための生産増加によるものです。
戦時経済とクラウディングアウト
戦争や自然災害により、一時的に生産活動が活発化することで、GDPが一時的に押し上げられる現象はよく見られます。
しかし、これは一時的なものであり、長期的には金利上昇やインフレを通じて悪影響が及びます。この現象は「クラウディングアウト」と呼ばれます。ロシア中央銀行は、この一時的な景気加熱を抑制し、インフレの広がりを防ぐために動いているようです。
労働市場のデータとインフレの影響
ロシアの労働市場のデータを見ると、直近の失業率は2.4%で1994年の統計開始以来最低となっています。
賃金の上昇率はインフレを除いた実質ベースで前年同期比+8.1%です。今年3月には実質ベースで+12.9%、インフレを含んだ名目ベースで+21.6%に達しましたが、現在は徐々に落ち着いています。
まとめと今後の展望
中央銀行は10月25日に政策金利を20%に引き上げた後、しばらく様子を見る可能性が高いとされています。
ロシア経済のデータや中央銀行の発表内容を見ると、やや加熱感が出ており、中央銀行はこれを抑制しようとしているようです。労働力不足や賃金上昇がインフレに波及することを懸念していると考えられます。
インフルエンサーの報告と実際の経済状況
最近もインフルエンサーがロシアを訪れ、「モスクワは戦争しているような雰囲気はない」と報告しています。これにより、ロシア経済が好調であるように見えるかもしれませんが、これは戦時経済の一面に過ぎません。
現時点での好調が長期的に良いとは限らず、統計や中央銀行の政策からもその懸念が読み取れます。
ロシアの実際の経済状況は、経済データや中央銀行の政策を通じて、現状を多角的に見ていくしかないです。今回お伝えした情報もあくまで一つの側面として考えていただければと思います。
引き続き情報のアップデートがあればお伝えしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
ご参考
政府の景気刺激策
インフレを加速させたもう一つの要因は、政府による景気刺激策です。ウクライナ戦争が始まってから、住宅ローン優遇策を拡大し、政策金利が18%となる中でも非常に低い金利でローンを組めるような状況になっています。
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