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丸亀製麺の海外展開と資金調達(転換社債)


 うどんの専門店である丸亀製麺の資金調達の解説をします。イギリスでも、うどんといえば丸亀製麺というほど、海外展開を積極的に進めています。丸亀製麺については、私自身も大変お世話になってきました。

丸亀製麺の資金調達

 丸亀製麺を運営するトリドールという会社が転換社債を発行することになり、それが話題になっています。
 去年あたりから日本でも転換社債を発行する企業が増えてきていますが、転換社債という金融商品に馴染みがない人も多いと思います。そこで、なぜ転換社債を発行する企業が増えてきているのか、その理由についても解説します。

丸亀製麺の歴史

 丸亀製麺はうどんの専門店です。さぬきうどんで有名な香川県の会社だと思われている人も多いですが、元々は兵庫県加古川市が発祥で、香川県とは関係ないと言われています。東京の渋谷に本社を構えています。
 現在は株式会社丸亀製麺という会社が運営していますが、以前はその親会社のトリドールホールディングスが直営していました。2016年に分社化されました。

トリドールホールディングスとは

 親会社のトリドールホールディングスという会社は、焼き鳥のトリドールなどの飲食店を展開する企業で、グループ全体で世界に1,000以上の店舗を展開しています。
 丸亀製麺についても、国内に257店舗と海外にも店舗を展開しています。

転換社債の発行

 丸亀製麺の親会社であるトリドールホールディングスは、2024年6月4日に転換社債を発行すると発表しました。転換社債は個人投資家でも購入可能なものもありますが、発行残高はそれほど多くなく、大多数の人にとっては馴染みのない金融商品だと思います。

転換社債の特徴

 転換社債は、満期がある債券ですが、株に転換する権利が付いているという特徴があります。

トリドールの転換社債
 
満期:2031年
 利率:ゼロ
 転換価格:4,360円
 株価(2024/6/4終値):3,695円

 トリドールの例で説明します。転換社債を220億円発行しました。債券ですが、利率は0%です。
 例えば、100万円分を購入した投資家がいるとして、満期を迎える2031年まで株に換えられなかったら、利率は0%なので、投資家の利益はありません。満期に100万円が返ってくるだけということになります。
 では、どうなったら株に転換できるのでしょうか。このトリドールの転換社債は、転換価格が4,360円となっています。つまり、株価が4,360円で100万円分の株を買う権利が付いているのと同じということになります。そして、2024年6月4日の株価3,695円から上がって4,360円以上になって初めて、株に転換して利益が得られるということになります。
 例えば、株価が5,000円まで上がったとします。その場合、4,360円で100万円分の転換社債を株に転換して、それを市場で5,000円で売れば、その差額が利益となるという仕組みになっています。つまり、株価が上がらないと投資家は全く利益が出ないということになります。

投資家から見た転換社債の魅力

 投資家からすると、株を買うのと何が違うのかと言うと、株が下がった時のリスクが限定されているという特徴があります。株価がずっと上がらなくて3,000円や2,000円になってしまった場合、転換社債は株には転換されず、満期に全額が戻ります。
 
つまり、株価が上がった場合は値上がり益が期待できる一方、株価が下がった場合は損失が限定されるという特徴があります。

機関投資家と転換社債

 転換社債を専門に扱うファンドもいます。また、転換社債アービトラージという戦略もあります。転換社債は、債券に株を買うオプションがついているのと同じ経済効果になります。実際の債券と株のオプションを足し合わせたものの価格と、この転換社債の価格がどちらが安いかを計算して、安いものを買って高い方を空売りするという戦略です。

企業が転換社債を発行するメリット

 では、転換社債を発行する企業の方は、どんなメリットがあって、この転換社債を発行するのでしょうか。
 普通の債券と違って、株に転換する権利を付与している分、利率が低くても投資家が購入するため、利払いの費用を抑えることができるというメリットがあります。

トリドールの転換社債

 今回のトリドールの転換社債は利率が0%ですので、全く利払いがなく、資金調達ができるというメリットがあります。2023年頃から日本でも長期金利が上がってきて、企業が債券を発行する際の利率も徐々に上がってきました。そのため、利払いの費用をなるべく抑えたいという企業も多く、そうしたことから2023年頃から日本でも転換社債の発行が増えてきました。2023年の発行額は9億円を超え、5年ぶりの高水準になったということです。

丸亀製麺の海外メニュー

 海外の丸亀製麺は、日本にはないメニューもたくさんあります。ロンドンの丸亀製麺のメニューを紹介しますと、まず「ポーク豚骨うどん」があります。豚骨スープが流行っている、珍しいということで好まれているようです。「ポーク豚骨」うどんはレギュラーサイズ2,500円ぐらいです。

https://marugame.co.uk/menu

 私のおすすめは「チキンカツうどん」です。カレーうどんにチキンカツが乗っていてます。レギュラーサイズは2,100円ぐらいです。
 日本円に換算すると高く感じますが、ロンドンの物価からするとものすごくリーズナブルです。

https://marugame.co.uk/menu

 以上が、丸亀製麺の親会社であるトリドールが転換社債を発行するという話題についての解説でした。モハPチャンネルは丸亀製麺を応援しています。今後ともよろしくお願いいたします。


ご参考

海外展開をしている日本のラーメン店は、高級路線とは言わないまでも、ラーメンをそこそこの値段で提供するレストランとして海外でビジネスをしているところが多いです。外国人にとってはラーメンが3,000円としても決して高くはないと思います。

ラーメン価格に見る日本の食文化の変化

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