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景気後退とデータ、サインと経験則について
2024年8月5日、日経平均株価は大暴落し、ブラックマンデーの時を超える大幅な下落となりました。この日の終値は31,458円でしたが、8月16日には38,000円台まで円に回復しました。売りをした人たちは非常に悔やまれる展開になっていると思います。
一昨日売らされた人の、今のむなしい気持ち、わかりますよ。何度も経験しました。
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) August 7, 2024
ブラックマンデーの教訓
ブラックマンデーの経験は、私たちに多くの教訓を与えてくれます。市場の変動に対する備えやリスク管理の重要性を再認識し、健全な市場の発展に向けて努力を続けることが必要です。
アメリカの景気後退懸念
8月2日にアメリカの雇用統計が発表された時点では、アメリカ景気後退かと騒がれていました。しかし、景気後退はどうなったのかと拍子抜けをしている人たちも多いのではないかと思います。
債券市場でも一時はイールドカーブの逆イールドが解消され、これは深刻な景気後退のサインだと騒がれていましたが、再び逆イールドに戻ってしまいました。
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イールドカーブについて
次に、イールドカーブについて説明します。逆イールドというのは、1年など期間の短い債券の利回りよりも10年など期間の長い債券の方が利回りが低い状態のことです。
どうして期間の長い債券の方が利回りが低くなるのでしょうか。これは、将来もっと景気が悪くなって中央銀行による利下げが行われるだろうということを市場が織り込んでいるということです。
一時的な反発局面
一方で、これは暴落の中の一時的な反発局面に過ぎないと考え、アメリカ経済は崩壊の方向に向かっていると考えている人もいることでしょう。今回は、アメリカの景気や債権市場で起こっていることなどについて、私が注目しているポイントについて解説したいと思います。
株価下落による損失
今回の大幅な株価下落で大きな損失を被ったという方は意外と多かったのではないかと思います。X(旧Twitter)では膨大な資産を失った方々のスクリーンショットをたくさん目にしました。しかし、その後に徐々にマーケットは落ち着いてきて、足元で利下げの見通しも後退してきています。
サームルールと逆イールド
世の中では「サームルール」と言い、失業率が一定以上悪化すると景気後退がほぼ間違いないといった過去の経験則や、イールドカーブの逆イールドが解消された後に景気後退がよく起こっているとか、そうした経験則やサインを見て、今回景気後退が過度に意識された面があったと思います。
これらのルールがまだ外れたとは言えないため、これからやっぱりルール通りになりましたねという可能性もないことはないですが、あまりにもそうしたルールが意識されすぎて、マーケットが先走ってしまったという面があったのではないかと私は見ています。
こうした誰かが編み出した独自モデルのようなもので、過去に高いパフォーマンスを示したというものは、多くの人が知りすぎると当たらなくなってしまうというのも、また過去の経験則としてあると思います。
金融当局の対応
これは金融当局も過去の失敗を繰り返さないようにするために、それを意識して早めに対応したりすることも関係しているかもしれません。そして、世の中も市場関係者も同じように身構えるというのもあるでしょう。そもそもみんなが身構えている中で破滅的なことはなかなか起こらないわけです。崩壊というのはみんなが警戒していない中で起こるものです。
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アメリカの景気の現状
アメリカの景気が悪くなってきているのは確かです。失業率は4.3%で、8月15日に発表された小売売上高は市場の予想を上回り、底堅いといった評価ですが、前月比での伸びはずっと低水準で横ばいという感じです。
雇用の悪化を受けて徐々に消費にも弱さが見られるようになってきてもおかしくはない、しかし、それがなかなか見えてこないというのが最近のアメリカの景気です。
イールドカーブの動向
イールドカーブに関して言いますと、8月5日に2年国債の利回りが10年国債の利回りよりも低くなり、2022年7月以来約2年ぶりに逆イールドが解消されました。ただし、これは持続せず、その後2年国債の利回りは再び上昇し、再度逆イールドになっています。
大統領選挙までの見通し
私はアメリカの大統領選挙までは今の水準で揉み合いになるのではないかと見ています。確かに景気は悪くなってきていますが、アメリカの大統領選挙の結果次第では減税などによって景気が持ち直す可能性も十分にあるでしょう。
しかし、経済への影響は減税だけで評価できるわけではありません。財源をどうするのか、金利上昇が大きくなってしまえば逆に経済にマイナスの影響を与えてしまう可能性もあります。
そうした大きな変化が起こる可能性がある中で、今の段階で決め打ちするのは難しいというのが私の見方です。同じように考えている市場参加者が今多くなっているのではないでしょうか。
FRBの対応
FRBも分かっているため、今早く利下げを始めようとしています。2019年の利下げの時も、景気が悪くなってくるのではないかという懸念が高まる中で、利下げを開始しており、結果としてコロナショックまで景気後退は免れています。
総括
どの方法も完璧ではないため、「サームルーム」やイールドカーブのデータを重視する見方を完全に否定するつもりはありませんが、私はイールドカーブの動きを見て判断するよりも、そうしたイールドカーブの変化の動きの要因を分析した方が良いと考えています。
ご参考
損切りの重要性
損切りの方法やタイミングで悩んでいる個人投資家の方が多いと思います。そうした悩みと弱みに付け込んで、「損切りの方法を教えますよ」や「損切りがうまくできれば投資で利益が得られますよ」と言い、有料のサービスに誘導するようなものもあります。しかし、私はこうしたサービスは決してお勧めできるものではないと思っています。