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海外で働くために必要なスキルと覚悟


 先日、イギリスのワーキングホリデー制度について取り上げましたが、X(旧Twitter)のダイレクトメッセージを通じて様々な意見や体験談をお寄せいただきました。実際にワーキングホリデーを利用されている方、過去に経験された方、海外で会社を経営されている方、さらにはワーキングホリデーで働く人材を採用する立場の方々からも貴重な情報をいただきました。
 今回は、寄せられたご意見を紹介しつつ、海外で働くためのスキルや英語力について、私自身が感じたこととともに説明したいと思います。

ワーキング・ホリデー制度とは、二国・地域間の取決め等に基づき、各々が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です。

外務省HP

海外の会社経営者の視点

 まず、海外で会社を経営されている方々からは、「日本人ワーキングホリデー参加者の中には、仕事を得ることを軽く考えすぎている」という意見が多く寄せられました。
 例えば、スペインで経営する方によると、日本人がアルバイトの面接に来るものの、スペイン語も英語も話せないことが多いと言います。質問すると「サッカーが好きだから来た」、「仕事をしながら言葉を覚えたい」といった返答が多いそうで、こうした状態では仕事にならないため、採用が難しいというのが実情のようです。
 また、ドイツで経営されている方からも「英語圏でない国では、特に言葉の問題が大きい」という意見がありました。こうした話を聞くと、ワーキングホリデーでの生活が現実的にどれほど厳しいかが見えてきます。

ワーキングホリデー経験者の視点

 一方、ワーキングホリデーで海外に滞在されている方々や、過去に経験がある方からは、「言葉が得意でなくても、仕事に就けたケースもある」という話も寄せられました。このような方々の多くは、調理師や美容師といった、言葉が通じなくても役立つ技術を持っている方が多いようです。
 私の知り合いでも、英語やドイツ語ができないままドイツに渡り、現在は日本食のデリバリー会社を経営している方がいます。こうした技術を持つことが、海外での生活を支える大きなアドバンテージとなるのです。

日本国内からの意見

 日本国内の方々からも「英語ができない状態で海外に行くのは無謀」、「せめて英語くらいは話せるようになってから行くべきだ」といった意見が多数寄せられました。中には「英語がペラペラでないと仕事にはならない」という厳しいご意見もあります。
 実際、私も海外で生活する中で、英語が苦手であるために苦労する場面が多々あります。日常的に英語で業務を行っているものの、子供から「お父さんの英語は何を言っているか分からなくて恥ずかしい」と言われることもあります。

言葉の壁

 日本で英語を学ぶ際に、テストのスコアを上げたり、ニュースを聞き取れるようになることは可能ですが、現地の雑談や日常会話には大きな壁があります。例えば、イギリスに留学した際、授業内容は理解できるものの、授業後のカジュアルな会話にはついていけないという経験をしました。
 
日本語にも、かしこまった「おはようございます」、砕けた「おはよう」、場面によっては「あざまーす」などの表現があるように、英語でもカジュアルな言い回しに慣れることは簡単ではありません。

リスニングの課題

 特に、店員や一般の人の話す「現地の発音」を聞き取るのは難しいことが多いです。
 例えばイギリスの店員は、毎回「Would you like a bag?(袋をお使いになりますか?)」と聞くわけですが、雑な言い方になると「bag」の部分は「ba」しか言いません。
 こうした会話の変化に慣れないと、簡単な言葉でも聞き取れず、何度も聞き返してしまうことがありました。また、canとcan’tの発音の違いも、日本の学校で学ぶものとは異なり、実際には否定形でも「can」と同じように発音されることがあるため、言い回しから意図を理解しなければならないのが現状です。

日本での英語教育と実践のギャップ

 日本の教育でも英語力は重視されていますが、テスト対策を超えた日常的な実践となると課題が多いように感じます。東京大学を卒業してハーバードに進学した友人も、最初は英語が全く伝わらず苦労したと話していました。国内には流暢な英語を話せるインフルエンサーやYouTuberも増えてきていますが、いざ実践となると違いが大きいのです。
 そう考えると、「完璧な英語を日本で身につける」ことは非常に難しく、ある程度の段階で思い切って海外に行く決断も必要かもしれません。

まとめ

 総合的に考えると、海外で働くには英語力とともに、特別なスキルや強みを持つことが重要だと感じます。英語が流暢でなくても他のスキルがあれば、海外での仕事を見つけることも可能です。しかし、そうしたスキルがなければ英語力が必須となり、特に欧米のジョブ型雇用では「人柄」ではなく「何ができるか」が重視されるため、海外でのチャンスも厳しい競争を伴います。そうした点を理解し、準備しておくことが大切でしょう。

挑戦する勇気を

 完璧な英語力を身につけてからでないと海外で通用しないと思うかもしれませんが、行動しなければいつまでも海外に出ることができません。もちろん、努力を怠らず準備することは必要ですが、最終的には「思い切って挑戦してみる」ことも大切ではないでしょうか。
 
ワーキングホリデーに関する視聴者からのご意見をもとに、海外で働くためのスキルや覚悟について説明しました。引き続き様々なテーマで皆様に情報をお届けします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


ご参考

 海外経済の厳しい解説をすることも多いですが、だからと言って内向き思考になって良いということではありません。日本人はもっと海外で戦って、もっと活躍できると私は思っています。

家族で海外で生活するということ

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