サウジアラビアの巨大箱物プロジェクト
作成の背景と視聴者様への感謝
以前から、サウジアラビアが進めている巨大な建築プロジェクトについて、その現実性に疑問を呈してきました。視聴者様から、サウジアラビアの計画が縮小されたという報道があったと情報をいただきました。私はこのニュースを見逃していたので、教えていただき、感謝しています。その方はチャンネル登録者が数千人程度だった頃から視聴してくださっており、常に丁寧なコメントを寄せてくださいます。いつも本当にありがとうございます。 このサウジアラビアの件について解説したいと思います。
サウジアラビアのNEOM計画
4月初めに、ブルームバーグなどが報じたところによれば、砂漠に建設中の未来都市「NEOM(ネオム)」について、サウジアラビアが計画を縮小する意向であると、内部の詳しい関係者が語ったとの記事が出ました。
このネオムのプロジェクトの中で最も注目されているのが、「The LINE(ザ・ライン)」というプロジェクトで、高さ500m、長さ170kmにも及ぶ巨大な建物を建設し、最終的には国民の約1億3900万人を住まわせる計画です。当初の計画では、2030年までに150万人を住まわせるとされ、既に建設が始まっています。
プロジェクトの縮小とその影響
しかし、今回の報道によれば、この「The LINE(ザ・ライン)」の計画が縮小され、建物の長さは170kmから24kmに縮小し、2030年に住む人の数は150万人から30万人以下に変更されるとのことです。これは非公開の情報で、匿名を条件に明らかにしたとブルームバーグは伝えています。この記事を受けて、私の第一印象は、「それはそうだよね」というものでした。皆様も同様に思われたのではないでしょうか。
サウジアラビアの情報統制と国際社会
一方で、少しポジティブに受け止めた部分もあります。この無謀とも言える計画が実現不可能であることは当然のことで、今回の報道に驚くことはありません。しかし、こうした情報がきちんと出てきたということは、サウジアラビアの社会が良くなってきていると感じました。
以前であれば、こうした情報が一切出てこない、何の情報もないまま、計画を中止するということを繰り返してきました。今回報道したのはブルームバーグで、欧米のメディアが報じたわけですが、プロジェクトには多くの欧米の民主主義国家が関わってきています。サウジアラビアがいくら情報統制をしようとしても、情報が漏れてしまうようになってきています。こうしたメディア報道が出てくるようになったということは、少なくとも一部の進歩があったと私は考えています。
サウジアラビアの未来と課題
王族の長い隠蔽体質の歴史を振り返ると、透明性を高めていくというのはなかなか難しいのではないかと見ています。今のままだと、お金は使うけど信頼はされないという、以前の中国みたいな立場になっていくのではないでしょうか。何の情報もなしに計画を勝手に縮小して、説明もなし、というようなところから仕事を受注できますか、という話です。今回の計画縮小で、ビジネスを受注していたイタリアの企業などが影響を受けているという話も聞かれています。
「NEOM(ネオム)」の建設などを進めていく上では、欧米のサポートが不可欠です。技術的にも経済的にも、中国のサポートだけでは難しいと見られています。
このような中で、イランとイスラエルが攻撃をし合う状況になってきました。サウジアラビアとしては、イランとは仲が悪いですが、イスラエルをサポートするのも国内世論的には批判が高まりやすいです。ただ、欧米との関係を考えると、距離を置くのも難しいという状況になっています。
私の考え
私はサウジアラビアに関しては、厳しいことをお伝えすることが多いですが、特に嫌いなわけではありません。この国の権威主義的な体制や隠蔽体質などは、日本人がビジネスを行う上ではリスクがあります。その意味を込めて、厳しめにお伝えしている面があります。
サウジアラビアに行ったことがありますが、元々この国の国民はイスラム教の教えを大切にしていて、とても礼儀正しい人たちが多いです。私の勝手なイメージで申し上げると、アメリカ人やイギリス人と比べても、サウジアラビアの人たちはお酒もタバコも、ましてや薬などはやらないので、真面目で信頼に値する人たちだと私は思っています。
どうしても、この国は手元の資金がたくさんあり、お金がある国としてちやほやされる傾向があります。そして、この中東の権威主義国家は、情報が少ないというのもありますので、あえて厳しめにお伝えしています。
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