英国のワーキングホリデー急増理由と厳しい現実
今年、イギリスでも日本人のワーキングホリデーが急増し、それに伴う問題が起こっているということを聞く機会が増えてきました。この記事ではイギリスでのワーキングホリデーが急増した理由と現地での厳しい現実を説明します。
オーストラリアのワーキングホリデー
日本人のワーキングホリデーと言えばオーストラリアのイメージが強い方も多いのではないでしょうか。オーストラリアは年間1万人以上の日本人がワーキングホリデーをしている、日本人に人気の滞在先の一つです。
日本のメディアでも、オーストラリアでワーキングホリデーの日本人が仕事につけなくなっている、食べるものにも困っていると報道されていました。
イギリスのワーキングホリデー
まず、イギリスでのワーキングホリデーが急増した理由から説明します。これは、2024年からイギリスが日本人に与えるワーキングホリデービザを、これまでの1,500人から4倍の6,000人に増やしたことが要因です。
日本ではイギリスのワーキングホリデーはもともと人気でした。しかし、毎年1万人から2万人が応募して1,500人しか当たらないため、宝くじのようだ言われていました。年に数回抽選が行われ、そのタイミングでしか応募できませんでした。
2024年からはどのタイミングでも応募でき、しかも年間6,000人も行けるようになったわけです。イギリスのワーキングホリデーが増えたのは、イギリス側が受け入れを増やしたというのが大きな要因です。
イギリスでの課題
上記のとおり、イギリスで日本人のワーキングホリデーが増えたのは今年になってからのことです。苦しい生活をしている、なかなか仕事につけない、求人に日本人のワーキングホリデーが殺到している、そのような話をちらほら聞くようになりました。
ワーキングホリデーで海外に訪れる人は、海外の大学に留学する人たちと違い、語学力がそこまで高くない場合もあります。現地でアルバイトと英語を勉強しつつ滞在を楽しもう、ワーキングホリデーはそうした位置付けであるため、必ずしも語学が堪能な人ばかりではありません。
日本人経営者のもとで働く選択肢
そのような状況でどのように仕事を見つけるのでしょうか。
一つは、日本人が経営しているお店で働く選択肢です。現地には飲食店だったり美容室だったり、色々なお店を経営している日本人がいます。そうしたところでは顧客も日本人である場合があるため、日本人のバイトを募集しているところがあります。顧客が日本人ではない場合でも、日本人経営者は日本人のバイトを採用したいというのもあるでしょう。そうした理由から日本人を採用したいというニーズは一定数あります。
多くのワーキングホリデーの人たちがそうしたところで働くことを一つの選択肢として考えています。しかし、4倍も応募が増えると当然そうしたところの仕事につけない人たちがでてきます。
現地経営者からの声
こうした話は現地に住んでいる経営者の方から聞きます。求人を出すと、日本人のワーキングホリデーの人たちからこれまでの何倍も応募がくるとのことです。
日本人であるアドバンテージの喪失
日本人の経営者のところで仕事につけない人たちは、日本人経営者ではない、それ以外の求人にも応募しなければならなくなるでしょう。そうすると、日本人であるというアドバンテージがなくなります。そのため、ただの英語のできない人として、他の国から来ている英語が話せない人と同じレベルの扱いになります。
その結果、なかなか仕事につけない、ブラックな職場、長時間の労働だったり休めない仕事だったり、そうした仕事につくケースがあると聞きます。
イギリスに住む日本人のパターン
イギリスに住んでいる日本人は、複数のパターンに分けられると思います。一番多いのは企業の駐在員として住んでいるパターンでしょう。
次に多いのがワーキングホリデーで来て、それから住んでいるという方。まずワーキングホリデーが終わるまでにビザを提供してくれる、ライセンスを持った企業に雇用される必要があります。そして、現地の企業の社員になります。そのためにはワーキングホリデーで滞在している間に、ビザのスポンサーになってくれる勤め先を見つける必要があります。
悪質な雇用主の存在
中には、ビザのスポンサーになってもいいということをちらつかせて、実はその気はなく、安いワーキングホリデーを雇いたいだけという悪質な雇用主も存在します。
また、実際にビザのスポンサーになってくれる企業を見つけて就職しても、今度はその会社を辞めた時点でビザがなくなってしまうため、辛い職場で嫌なことがあっても辞められないわけです。
情報不足と実態の不透明さ
そうしたケースも増えてきていると思います。イギリスを訪れる日本人が4倍になれば、当然うまくいかないケースも増えます。ワーキングホリデーをサポートする企業はワーキングホリデーに行ってもらわないとビジネスになりません。うまくいかないケースが情報として発信されるケースは少ないでしょう。
SNSの情報
実際にXを見ていると、「仕事のオファーをもらえた」、「ビザスポンサーになってもいいと言ってもらえた」、そのような喜ばしい投稿をしている人が多く、たくさんのいいねがついています。
しかし、実際はそうした人たちばかりではないでしょう。仕事が見つからない、ブラック企業で苦しんでいる、そのような情報は多くの人に伝わらないまま埋もれているのかもしれません。
厳しい現実
最近のイギリスの話を聞いていると、「頑張れ、いい経験ができる」だけではなく、もう少し厳しい現実を伝える機会があってもいいという気がしています。繰り返しになりますが、ワーキングホリデーをサポートする企業はたくさんありますが、彼らはワーキングホリデーに行ってもらわないとビジネスになりません。なるべくいい話をするでしょう。本当のワーキングホリデーの実態は非常に分かりづらいのが実情です。
行く人が増えている分、うまくいかないことも増えている可能性があるということを知っておく必要があるでしょう。
ご参考
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