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[ショートショート]ピクニック


 子供連れの四人家族がドライブをしていると綺麗な沢を見つけた。
「あなた、すごい綺麗なところよ。ちょっと寄っていきましょう」
「ん、どれどれ。確かに綺麗だな」
 ゴツゴツした岩肌だらけの沢の近くに降り立つと、空気が澄んでいて心地よい川の流れが聞こえてきた。
 子供達ははしゃいで、沢の近くに駆け寄る。
「おい、走り回ると危ないぞ」
二人の子供は父親が制止するのも聞かず、静かに流れる水に手を入れて「つめたい!」などと笑っている。
「せっかくだからここでご飯にしましょうか」
 母親は家から持ってきたランチボックスを取り出した。
 四人で母の手作り料理に舌鼓を打つ。
「母さんの料理もうまいが、こんな大自然の中で食べるとまた格別だなぁ」
食べ終えると、父親はまた運転席に乗り込みエンジンをかけた。最新式の反重力エネルギーはクリーンだし、エコだし、どのような惑星でも作動する。
 緑の肌を持った彼らは、綺麗に後始末をすると銀色の円盤に乗り込み立ち去っていった。
 ところが、その岩肌には子供の一人が食べこぼした有機物がひとかけら……。
 やがて雨が降り、川に流され、海に溶け込んだそれはいくつかの偶然の重なりによって、複雑な化学反応を引き起こし、原始的な生命を生み出した。
 のちにその星は原住民によって地球と呼ばれることになる。

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