多けりゃいいのか、多いからいいのか。 ~宣伝会議賞応募数のモンダイ~
さて、宣伝会議賞の応募期間が終わりまして、「0000本応募しました~!皆さんお疲れさまでした~」みたいな報告が上がるのも風物詩となっている。
「もっと書けた」「精一杯やった」とまあいろんな思いが込められてのものだと思うが、最近ちょっとだけこれに関して意見が飛び交っているのを見た。もともとが「広告業界の公募」というマイナーな話なのでまったく炎上とかしているわけではないが、まあいろいろ考えあるよなあと思った。
発端は以下のような意味合いのポストである。叩きたいわけではないので意味合いだけ抽出すると、こんな感じ。
「宣伝会議賞、何千本応募、とか書いてアピールするのに違和感がある」
「本気で考えぬいたらもっと絞れるはず」
「大して考え切ってないものも含めて大量応募してるだけじゃないか?」
と、こういう意見に対してもちろん反対意見もある。これまた意味合いのみ抽出。
「宣伝会議賞がなぜ実施されてるかの意味合いを考えたら応募数が多いことに否定的なことを言えるか?」
「審査員が誰かわからないプレゼンと考えると数が多くなるのも道理」
まあ、結論はない。どっちの言うことも理屈としてわかる。例えば、同じ課題で100本書いた!という人が「その中で後から見返しても絶対にいいと思うものだけ選んだら何本なの?」と言われたら100本全部とは言わないだろう。自分なんか応募したやつを見返してすでに「なんじゃこりゃあ」となってるのも結構ある。
とはいえ、応募数が多いことは宣伝会議にとっても企業にとってもありがたいことは事実である。「昨年は一企業あたり応募数が…」みたいな話の際に100本と10000本では協賛確率が全然違うであろう。「いや、練りに練られた100本ですよ」と言ったところで直感的に伝わると思えないし。
そして、数が多いことが考えてないこととイコールとは必ずしも言い切れない。なにせ、応募期間はひたすらコピーのことしか考えてない人もたくさんいるのだ。日記など書かず。もちろんより厳しい目で見たら削れないことはないだろうが、実際審査員がどんな人なのか分からないし、基準も見えてないわけだから、「うわー、消したやつに近いのが受賞してるやん!」となるのが怖いというのもあると思う。絶対の自信作ではないけどまあまあ気に入ってる、くらいのコピーもたくさんあるだろうし。
何より、多く応募する人は、別に少ない応募の人を駆逐してるわけではない。「え?お前50本しか応募してないの?ショボっ!俺1000本だし」みたいな謎マウントとってるならわかるけども。
「自分は絶対に絞り抜いた自信作でないコピーは応募しない」という考えも立派である。それで受賞するならなおのことよし。
「ひたすら考えられるだけのコピーを考えて、応募できるだけ応募する」という考えもまた立派である。責められるとしたら「適当に書いても受賞するかもしれないし語尾変えたようなのも大量に出しちまえ」みたいな人ではなかろうか。
まー、ただ「ちょっと応募してみようかな」くらいの興味を抱いた人が、「本気応募なら最低500本」みたいな雰囲気を感じてしまうとやりにくいのはやりにくいと思うので、気軽に応募できる雰囲気は大切であろう。自分が脱力チャレンジ日記なぞ書いていたのはそのへんに向けているところもある。まあ宣伝会議自体の領分かもしれんが…。
これを別のものに例えると…アイドルやスポーツの応援だとしよう。ファン投票をめちゃくちゃする人は本気だし、思いのこもったファンレターを一通だけしたためる人も本気である。お互い本気ならいいんじゃない?
まあ別に仲裁しようとしたわけでもなんでもないんだが。
〈追記〉
該当のポストを見返してみて、論争の根幹はもしかすると本数云々よりも、「コミュニティ感への反発」ではないか?とふと思った。
59回、61回のグランプリ獲得者がコピグラ参加者だったこともあるし、協賛企業賞などの受賞者にも多いことから、いわゆる「コピグラ勢」という言葉が応募者に知られてきた感があるのだが、そこにある「内輪の盛り上がり」みたいな雰囲気が受け入れられないのかもなぁ。
ま、自分も「宣伝会議コピーライター講座」に通ってないのでそこでのコミュニティ感にはちょっと距離を感じるものがあった。金の鉛筆なんて知らねー!負けるか!みたいな。
なので気分としてはわかるのだが、結局応募は一人ひとりのものなので、そこは気にしなくていいんじゃないかなぁ。「コピグラにあらずんば人にあらず」とかやってるわけではないし。
まあもちろん「自分は群れずにやりたい」というのも自由だが。ただ自分も別に考えてるときにコピグラの誰かに意見をもらってるわけではない。「考えるとき、人はひとり」なのである。
※格言の引用ぽく見せてなんでもない言葉
サポートいただけた場合、新しい刺激を得るため、様々なインプットに使用させていただきます。その後アウトプットに活かします、たぶん。