45歳定年制導入とサントリー
◉昔サントリーの佐治敬三社長でしたか、「仙台遷都など阿呆なことを考えてる人がおるそうやけど、(中略)東北は熊襲の産地。文化的程度も極めて低い」と、東北人だけでなく間違われた熊襲側の南九州の人間にも喧嘩を売るという、大舌禍事件を起こしましたが。九州はさほど騒ぎにもならなかったんですが、東北では不買運動が起こり、予備校時代の秋田出身の恩師(日本史担当)も、根に持っていましたね。しかし、これは地域に留まらない問題かと。
【45歳定年制導入を コロナ後の変革で―サントリー新浪氏】時事通信社
サントリーホールディングスの新浪剛史社長は9日、経済同友会の夏季セミナーにオンラインで出席し、ウィズコロナの時代に必要な経済社会変革について「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」と述べた。新浪氏は政府の経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)の民間議員を務めるなど論客として知られる。
政府は、社会保障の支え手拡大の観点から、企業に定年の引き上げなどを求めている。一方、新浪氏は社会経済を活性化し新たな成長につなげるには、従来型の雇用モデルから脱却した活発な人材流動が必要との考えを示した。
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■年功序列と終身雇用の意味■
例えば官僚にしても、人事院が決めますから、国の舵取りに関わり責任が重い激務の割には、給料は安いわけで。日本の終身雇用制度や年功序列は、若い頃のがんばりを、後半で埋め合わせる制度で、ある意味で勤め上げるための餌と言えます。逆に、外資系は定年制度もなければ退職金制度もないところが多く、容赦なくリストラされますが、その分給料が良いわけで。そんな給料は安く抑え、年功序列の賃金も上げないなら、サントリーに優秀な人材が集まるか?
発想がデフレで買い手市場のままなんですよね。むしろ、少子高齢化で定年延長が、今の流れなのに。そんな韓国のSamsung財閥のような過酷なことをやって、どれほどの人が残るのやら。45歳で定年なら、入社10年で一通りの技術を身に着けたら、30歳前半で自主退職し、より割の良い会社に転職するか、独立して自衛するかの選択をするでしょう。つまり、会社は人材を育てつつ、その果実を受け取れないことに。60歳まで面倒を見るから、30代40代位の働き盛りを、身を粉にして働くわけで。
■保身に走るサラリーマン■
だいたい、優秀な人間が自立・自営を求めずに、サラリーマンになるのは、安定を求めてですから。その安定を与えないなら、応募する人間は激減でしょう。うちは45歳で定年だけど給料は他所の1.5倍から2倍出すよ、ってんならともかく。そもそもサントリーのような会社だと、酒造りの職人の技術や秘伝みたいなものも、そりゃあ継承されませんよね。自分で独占して後輩に伝えず、転職が得。機械で全面管理、とは行かないでしょう。まぁ、獺祭のようなブランドもありますが。
ただ、自分もいちおう10年ちょっとサラリーマンを経験した身。無能な怠け者なのに、会社にしがみついて利益をもたらさない人間もまた、確かにいましたが。それはもう、実績や歩合で対処するしかないでしょうに。というか、使えない社員を切れないなら、どう適材適所で活かすか、そっちに舵を切ったほうが建設的だと思うのですが……。社長本人は外資の良いところと日本式経営の良いところを組み合わせたつもりでしょうけど、外資の悪い部分と日本式経営の悪い部分を混ぜてるだけかと。
出版業界でも、今は知りませんがある有名な出版社が、新卒は取るけれど30歳までは契約社員で、資質を見極めて社員契約という形式でした。その結果、能力がある編集者はとっとと独立し、あまり能力が良くない(でもけして悪くもない)無難な編集者ばかり残ってしまうという、困った状況がありましたが。そんなもんです。編集者も、才能の世界ですから。今は、個人で独立しやすい時代ですから。そこに思いを致すべきかと。
■市場流動性は高めるべきだが■
個人的には、外資系の良いところと日本式経営の良いところをミックスするなら、例えば3年分から5年分の給料を払えば、無能をリストラにできる制度は必要かと思います。22歳の新卒で採用して、無能だとわかっても大きな問題を起こさなければ60歳まで給料を払って、退職金までというのは、確かにきついですが。3年から5年分の給料が出るなら、その間に大学院に行くなり留学してMBAを取るなり手に職をつけるなり、いろんな方法論があるでしょうしね。
38年分の給料よりは5年分ならありでしょう。けっきょく、そこで雇用の流動性を生むことが、市場にとってもプラスでしょうし。この国はずっとマスコミが、クロヨンだのトーゴーサンピンだの自営業を貶めて、みんながみんな、サラリーマンになりたがり、起業家精神を失ってしまいました。で、中小企業が多すぎるとさらにまとめようとする。まさに韓国方式で、分厚い中小企業の層こそが、日本の強みなのに。もうちょっと、ここらへんを改善すべきでしょう。そりゃあ、AppleもMicrosoftもGoogleもAmazonも、この国からは生まれません。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ