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西田敏行さん急逝

残念です。
前日までお仕事をされていたそうなのですが、自宅で亡くなっていたとのこと。NHK大河ドラマでは『女太閤記』に『山河燃ゆ』、『翔ぶが如く』や『八代将軍吉宗』や『葵徳川三代』と、主役か準主役を演じてきた、まさに国民的俳優でした。大河ドラマだけでも十数本に出演されていますしね。

【俳優 西田敏行さん死去 76歳 北野武さんら悼む声相次ぐ】NHKニュース

映画「釣りバカ日誌」シリーズやNHKの大河ドラマ「翔ぶが如く」など、数々の映画やドラマで幅広い役柄を演じてきた俳優の西田敏行さんが17日、東京・世田谷区の自宅で倒れているのが見つかり、その場で死亡が確認されました。76歳でした。

西田さんは福島県郡山市出身で、1970年に劇団青年座に入団、その後、映画やテレビで人間味あふれる役から暴力的な悪役まで幅広く演じる俳優として活躍しました。

1993年に公開された山田洋次監督の映画「学校」では、夜間中学の生徒をまとめる教師を演じ、日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞に選ばれました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241017/k10014611861000.html

個人的には、主役ではないですがNHK時代劇『風の隼人』の益満休之助役や、『あめりか物語』の熊谷武平役も、主演ではないけれど主演に負けない存在感で、強烈なインパクトを残した作品でした。前者は、実在の薩摩藩の御庭番を描き、最期の死に様が格好良くて。後者は日系アメリカ移民の三世代を描いたスペシャルドラマで、移民はしたけれど日本人として死んだ一世の、生き様を演じておられて――。不時着した日本軍機と兵隊を、その遺言通りに機体と共に燃やし、子供たちに「おまえらはアメリカ人になれ! わしゃあ日本人じゃけぇ!」と叫んで、拳銃自決する。戦前の日本人を、見事に演じておられました。

大ヒットしたTVドラマ『池中玄太80キロ』や『サンキュー先生』は言うまでもなく、舞台でも映画でも活躍され。映画では『植村直己物語』や『敦煌』や『おろしや国酔夢譚』など、ハードな海外ロケ作品も多く、極地俳優と呼ばれました。後年は『釣りバカ日誌』で、ドル箱だった『男はつらいよ』のシリーズがなくなった松竹映画を、支えておられました。世間的には、こちらのイメージが強いでしょうけれど。

人情話から冷酷な反社会的勢力のボス役まで、なんでもこなせましたね。『女太閤記』では、流行語にもなった「おかか!」と連呼する愛妻家が、冷酷な政治家に変貌する様を、演じておられて。小学生にも、その凄みが伝わりました。NHKオンデマンドで数十年ぶりに見返したら、やっぱり凄みがあって、晩年の老耄した秀吉もまた、畢生の名演技。『アウトレイジ』での関西の大物組長役とか、もう貫禄が半端なく。コメディアンは悪役を演らせると、上手い人が多いんですよね。笑顔と怖い顔の、両方が演じられるので。これは、平成版の『白い巨塔』の財前又一役も、その意味では釣りバカ日誌世代には、インパクトが大きかったのでは?

映画に関しては、『悪魔が来りて笛を吹く』の金田一耕助役も、あんがい好きです。三谷幸喜作品で、重用されましたが。謳って踊れる演技はということで、三谷作品には欠かせない存在感でした。『ステキな金縛り』の落ち武者とか、西田さんでないと演じられない、そんな役でした。そういう意味では、宮藤官九郎脚本の『タイガー&ドラゴン』の林屋亭どん兵衛も、謳って踊れるだけでなく、名人役を演じられるのは西田さんぐらいかと。知り合いのプロの落語家が、「林屋亭どん兵衛として西田さんが寄席に出た時、観客動員や拍手で勝てる本業の落語家が、何人いるのか……」と語っていたのが、印象深いです。

個人的に好きな作品は、劇場版の『がんばれ!!タブチくん!!』シリーズのタブチくん役とか、最高でした。実際の田淵幸一さんは低めの渋い声なので、西田敏行さんのコミカルな声が、いしいひさいち先生のキャラクターにピッタリで。本作、10分弱の短編をオムニバス形式で繋げるマルチラウンド方式で、とにかくもう笑いの短編がドド―っと続く感じで。元々が4コママンガですから、短編の作り方の、お手本のような部分もあって。西田さん、子供の時からの阪神ファンで、演じてて楽しかったでしょう。第三段の主題歌『がんばれば愛』も大ヒットしましたし。ほんと、楽しい作品でした。

2003年に心筋梗塞もやられていて、ベッドから転落しての緊急入院と手術なども、ありました。このときは、腰椎の一部を頸椎に移植する手術を受けて、回復したと思ったら胆嚢炎を起こしと、極地俳優と呼ばれ頑丈なイメージがありましたが、イロイロと病気も多く。福島県出身ですが、養父が薩摩藩士という西田敏行さんが、西郷隆盛と西郷賴母の両方を演じたのも、今となっては感慨深いです。そういえば、御本人は伊集院光さんのラジオで、田中角栄を演じたいと語っておられましたね。人たらしと呼ばれ、今太閤と呼ばれた田中角栄を、秀吉役も演じた西田さんが演じたら……。晩年も含めて、すごい田中角栄を演じたでしょうに。残念です。

【堺正章「みんな天竺へ旅立ちました。私もいずれその旅に…」西遊記で共演した西田敏行さん追悼】日刊スポーツ

俳優西田敏行さんが76歳で亡くなったことを受け、タレント堺正章(78)が所属事務所を通してコメントを発表した。

堺は「西田さん!あの滲み出るような演技を超えた存在感、もう終演なんですね。大きな存在を失いました。猪八戒、沙悟浄(岸部四郎さん、2020年死去)、三蔵法師(夏目雅子さん、1985年死去)もみんな天竺へ旅立ちました。私もいずれその旅に参加します。心よりご冥福をお祈りします」と、追悼をした。

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202410170001122.html#goog_rewarded

子供の時、毎週楽しみだったのが、『西遊記』でした。芸達者な役者が、それぞれの持ち味を発揮し、当時としてはテレビの特撮としては、画期的な内容でしたし。夏目雅子さんの三蔵法師は、眉目秀麗な三蔵法師を女性が演じることで、清潔感ある三蔵法師を印象付け。以降、宮沢りえさんや牧瀬里穂さん、深津絵里さんなど、美人女優が三蔵法師を演じるのが、定番化しました。西田さんはコミカルな猪八戒役で、コメディリリーフとして大活躍。しかし三蔵法師役の夏目雅子さん、沙悟浄役の岸部シローさんに続いて、猪八戒役の西田敏行さんまで。年齢的にも若い順に亡くなってるのが、なんとも……。一行ももう、孫悟空役の堺正章さんのみですか。残念です。

名優・西田敏行さんのご冥福をお祈りします。合掌

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