海外で漫画が人気の理由
◉それはたぶん、ヨーロッパやアメリカなどのキリスト教をベースにした文化、日本の文化とは違うからでしょうね。カトリックかプロテスタントかという違いはあっても、ベースが同じですから。倫理観も文化も違う。でも、イスラムの文化は実は同じユダヤ教の文化がベースなので、部分的に似てるぶん、反発もある。でも地理的に遠く、異文化の日本の文化は、受け入れやすいんでしょうね(編集前の下書きが予約投稿されてしまっていたようです。改めてアップし直しました)。
ヘッダーはMANZEMIのロゴより、平田弘史先生揮毫です。
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■一神教と多神教■
例えば、小泉八雲ことラフカディオ・ハーン。欧米の文化に馴染めなかったハーンは、東洋のハズレの島国・日本に来てこの不思議な文化に魅了されたわけです。一神教と多神教。その形はかなり違うのですから。でも、その文化も暮らしてみると、文化や風土に根ざしたもので、欧米が見下す野蛮な後進国というのとは、違うと思えたわけで。もちろんそれは、日本が近代化する中でどんどん失われたわけですが。東大で英語を教えたラフカディオ・ハーンと夏目漱石が、同じ思いを持っていたというのも興味深いです。
文学にしても、確かにドイツ文学やロシア文学のような骨太さは、日本文学には希薄ですが。でも、1000年前に女流作家が、王朝文学で奔放な性を描いたりもしているのですから。これは欧米の価値観からすれば、かなり異質です。自分を去った母親への思慕の念と恨みの念を持っていたハーンにとって、それは父を殺す恐ろしい雪女と、自分元に嫁いできた雪女という、二面性に描かれるのですが。日本人が思う以上に女性が抑圧された欧米では、ハーンの懊悩は、解決できなかった麺もあるでしょう。
■大陸の端の島国■
ただ思うに、日本は東アジア型専制君主制度の超大国に隣接しながら、司法を海に囲まれたおかげで適度に距離を取り、あまり侵略されることもなく、でも中華文明の恩恵はちゃっかり受け取ってと、島国ゆえの特殊なポジションを生み出しました。これは、ヨーロッパ大陸の端のイギリスが、世界帝国になって覇権を握ったのに、似ています。外国の文化を取り入れるのにあまり躊躇がない日本は、明治維新で欧米の文化に、急速にキャッチアップしていましたし。
その結果、例えば黒澤明の映画を見ると、欧米人は感動する。一見すると異文化に見えるけれど、実はそれはシェイクスピアにチョンマゲと着物を着せた、欧米の物語だと気づくわけで。ところが、ただの猿真似かと思うと、小津安二郎や溝口には、欧米とは違った価値観が見える。それはサーカスと太神楽のように、派手さはないけれど。よく見ると深みがある。大衆文化が世界に通用する、不思議な部分もあるわけで。そういう多様性が、日本の価値なわけです。
■国際化は画一化■
それこそが、多様性でしょうね。ところが、欧米出羽守と呼ばれる人たちが、日本の価値観を欧米に一致させようとする。そんなの、国際化に名を借りたファシズムなんですけどね。『バットマン』や『スーパーマン』など手掛けたアメコミ界の大御所作家チャック・ディクソン氏が「漫画がアメコミを打ちまかした理由」について分析している記事、こっちも貼っておきます。さすがに巨匠、ポリコレによって画一化され、オアk師なことになってるアメリカの状況を、見抜いてられるわけです。
日本の文化は残念ながら、世界の主流にはなれないでしょう。でも、IBM全盛期もMicrosoft全盛期もGoogleが覇権を握りつつある今も、常に無視できない少数派のポジションにいるAppleのような存在には、なれるのかもしれません。そのためには、文化に御上の権威を持ち込まない・持ち込ませない・大衆性を保つ。欧米の基準は取り入れても同化しない。そういう部分が大事でしょうね。ツイフェミの言うようなことは、基本聞かないことが大事なんでしょうね。積極的に無視。その先に、日本のコンテンツビジネスが、あるような気がします。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ
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