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視神経を失った人の視力回復インプラント

◉脳に埋め込まれるブレイン・マシン・インターフェイスを開発する企業Neuralinkは、イーロン・マスク氏が共同設立した会社。何やら、サイバーパンクの未来が実現したような内容なんですが、そこの視力回復用インプラントが、アメリカ食品医薬品局から「画期的デバイス」認定を取得したとのこと。毀誉褒貶はあれど、やはりイーロン・マスク、人類の未来に貢献する男。

【イーロン・マスクのNeuralinkが視神経を失った人でも視力を取り戻すことができるインプラント「Blindsight」でFDAから「画期的デバイス」認定を取得】GIGAZINE

イーロン・マスク氏が共同設立した脳に埋め込まれるブレイン・マシン・インターフェイスを開発するNeuralinkが、同社の開発する視力回復を目的とした実験的なインプラントである「Blindsight」で、アメリカ食品医薬品局(FDA)から「画期的デバイス」認定を取得したことを発表しました。

Musk's Neuralink gets FDA's breakthrough device tag for 'Blindsight' implant | Reuters
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/musks-neuralink-receives-fdas-breakthrough-device-tag-brain-implant-2024-09-17/

https://gigazine.net/news/20240918-elon-musk-neuralink-fda-breakthrough-device-tag-blindsight/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、眼球のイラストです。

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■資格情報の重要性■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。一般に、五感とは視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の事を言いますが。どうも人間は、情報の取り入れに80%ほども視覚に頼る生き物のようで。そういう意味では、失った視覚の再獲得は、大きな意味がありますね。まったく見えない状態と、少しでも形が認識できるだけでも、日常生活は劇的に変わりますし。この研究自体は、とても画期的なもののようで。将来的には聴覚とか、そちらにも応用できそうですね。そういえば、かのスティービー・ワンダー氏は事故で資格を失ったことで知られますが、実は味覚も失ったんだとか。将来的には味覚や触覚の回復とか、可能なのか? 興味深いです。

解剖学者の養老孟司先生が『唯脳論』で語っておられた、脳と神経と感覚器官がワンセットになって、全ては脳が世界を認識するという考えに従えば、この研究は感覚器官と神経を人工物で補い、失われた連携を回復するイメージでしょうか? 脳と一部の神経が残っていれば、すべてを人工物に代替した、それこそ松本零士先生の『銀河鉄道999』の機械伯爵のように、機械化された身体で、永遠の命を得ることにも、つながったりして。まぁ、永遠はともかく、脳細胞だけなら150年とか200年ぐらい生きる未来が、やってきそうです。自分がその時代に間に合うかは、わかりませんが。

■むしろ機能拡張?■

イーロン・マスク氏によれば、〝視覚皮質が無傷であれば、生まれつき目が見えなかった人でも初めて目が見えるようになるでしょう。〟とのこと。なんと、途中で視力を失った人だけでなく、生まれつき見えない人でも、視力を獲得できるとのこと。ただし、脳の側の大脳新皮質の、おそらくは視覚野に問題がなければ、という条件はつくようです。つまり網膜や視神経にはまったく問題がなくても、外傷・脳内出血・脳梗塞などで破壊されると、視力を失うことがあるのですが。その場合だと、回復は難しそうですね。それでも、画期な研究ですね。

共同設立者であるマスク氏は、「NeuralinkのBlindsightにより、両目の視神経を失った人でも視力を取り戻すことができます。視覚皮質が無傷であれば、生まれつき目が見えなかった人でも初めて目が見えるようになるでしょう。期待を正しく設定するために、視覚は最初はAtariグラフィックスのような低解像度のものとなりますが、最終的には自然な視覚よりも優れた、ジョーディ・ラ=フォージのような赤外線や紫外線、レーダー波長も見ることができるものになる可能性があります。本当に感謝しています、FDA!」とポストしました。

極端な話、モノクロでもポリゴン的な画像でも、見えることで得られる情報は大きく。それだけでも、外出の際に盲導犬の助けが不要になりますからね。失われた機能の回復だけでなく、赤外線や紫外線、レーダー波長などこれまでの人間の視覚では、感知できなかったものまで感知できるようになる。まさに、サイバーパンクの世界。亡くなられた寺沢武一先生の『MIDNIGHT EYE ゴクウ』の世界ですね。作中では、赤外線で暗闇の中でも相手の動きを察知できる描写とか、時代を先取りした描写がありました。作品が発表されたのが1987年、37年も前になりますか……。現実がようやく、フィクションに追いついてきましたね。

■安易な文明批判は■

世の中には、科学の発達したいを否定する人がいます。アメリカのアーミッシュのような例はともかく、潜在的に科学に対して憎悪に近い感情や、少なくとも懐疑的な意見を持っている人間は、一定数います。チャップリンの名作『モダン・タイムス』でも、進みすぎた文明への、懐疑が描かれていますね。でも、あの作品の自動給餌器のシーンは、今でも笑えますが。同作は1936年のアメリカ映画。88年も前の作品ですから。現在の目から見ると、進みすぎた、とは言えないレベルなんですよね。でも、そういう警句は江戸時代でさえあり、そういう警句を発したほうが、何やらかっこよさげなんですけどね。『風の谷のナウシカ』の火をちょびっとだけ使うと同じで。

でも、進みすぎたも遅れたも、しょせんは相対的なもの。けっきょく、勧めることで生まれる問題を解決し、さらに進めての繰り返しが、人類の文明ですからね。先天的に聴覚障害がある人が、成人後に手術で聴覚を取り戻した場合、不要な音は聞こえても遮断するという能力を子供の頃に獲得していないため、環境にある音が全部等価に聞こえてきてしまい、取捨選択ができないとか。そういう問題も、科学が進んだからこそ、得られたわけで。そして、新たな研究者が生まれ、未来で解消しようと試みる。 自分は安易な文明批判より、こちらが健全な営為に思えます。


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