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岸田総理の米議会演説雑感

◉コレは凄いですね。アメリカの立場を理解し、寄り添うと明言。
「おやっさんの辛い立場、わしゃようわかっとるけぇ、わしも汗を流しますけぇ、のう」と。日本が矢面に立たされるという人もいますが、アメリカが台湾有事で手を引いたら、日本は否応なく孤軍奮闘せざるを得ないの、解ってます? モンロー主義の共和党からも、評価の声が多いようで。トランプ大統領再選となっても、この評価は無視できませんね。本気で殴り合ったからこそ、恩讐を越えて生まれる友情というアメリカ南部の文化にも通じる、安倍元総理とマケイン議員が示した日米の在り方の、延長線。絶妙なスピーチでした。スピーチライター、かなりの切れ者。

【「米国は独りではない。日本は共にある」 岸田首相が米議会で演説】朝日新聞

 訪米中の岸田文雄首相は11日午前(日本時間12日未明)、ワシントンの米議会上下両院合同会議で演説した。中国やロシアの挑戦を退けるために「米国のリーダーシップは必要不可欠」と強調したうえで、日本を「米国のグローバル・パートナー」と定義。日本が米国と一緒に自由と民主主義を基調とする国際秩序を守る決意を表明した。

 日本の首相が米議会上下両院合同会議で演説するのは2015年の安倍晋三元首相以来、9年ぶりで2人目となる。

 首相は冒頭、「米国は経済力、外交力、軍事力、技術力を通じ、戦後の国際秩序を形づくった」と述べ、「国際秩序は今、新たな挑戦に直面している」と懸念を表明。中国の軍事動向を「これまでにない最大の戦略的挑戦」、北朝鮮の核ミサイル開発を「直接的脅威」、ロシアによるウクライナ侵略に関し「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と指摘した。

https://www.asahi.com/articles/ASS4C46HZS4CUTFK004M.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、アメリカ議会の写真です。

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■ニクソンの国際政治学■

詳しくは、有料ではないサイトでスピーチ全文を、ぜひお読みいただくとして。どうやら、レーガン大統領のスピーチライターに、お願いしたらしいです。レーガン大統領、実はニクソン元大統領に国際政治の舵取りの指南を受け、米ソ冷戦で「戦わずして勝つ」孫子の理想を実現したんですよね。ウォーターゲート事件で評判の悪いニクソン大統領ですが、国際政治の研究者の間では評価が高く、キッシンジャーとは対立しながらも、現実対処的な外交を実践した政治家でした。

このニクソン×キッシンジャー路線は、レーガン・サッチャー・中曽根に代表される新自由主義の雛形になり、日本では佐藤誠三郎東大教授の門下生が、継承しています。門下生では、舛添要一元東京都知事や、安倍内閣の外交ブレーンだった北岡伸一氏らが代表的ですが、立憲民主党の岡田克也議員も教え子です。余談ですが佐藤誠三郎教授の妻は佐藤斤子さんで、評論家で作家でもある佐藤建志氏の父親でもあります。佐藤虎次郎の一族。安倍内閣で長らく、外務大臣だった岸田総理も、基本的にこの流れを継承していますね。

ただし、ニクソンの対中政策は結果的に、権威主義国家中国の台頭を許したので、そういう意味では、クワッドという形での対中国封じ込め政策を提唱した安倍元総理は、ネクストステージを示したから、米英の評価が高いのですが。なので、イランの切り崩しが、遠交近攻の策の、日本のポジショニングです。イランと中国を接近させない、ここの意味を理解できないと、ハマスとイスラエルの対立で日本がG7で唯一足並みを揃えない理由も、見えてこない。G7唯一の有色人種国家という、ポジションは大きいです。

■広島を連発した晩餐会■

さらに、晩餐会のスピーチでは笑いにくるんで、何回「広島」と言ってるか? 日米友好と広島を、同時に登場させる大胆さよ。もちろん、地元支持者へのアピールという、利己的理由もあるのかも知れませんが。広島出身の総理が、広島を織り交ぜてのスピーチは、日米史でも意味が大きいです。ダニエル・イノウエ上院仮議長とか、日系人部隊で右腕を失っても奮戦した、まさに模範的移民の象徴にして英雄ですから。でも、母親が広島出身と言われると、あんがい知らないアメリカ人も多いでしょうから。こういうスピーチは保革共に、訴えるモノがある。

まぁ、野党やその支持者は、ジョークにいちいち突っかかっていますが、その内容の無さで、かえって呆れられています。立憲民主党の泉健太代表とか、酷いもんです。このノート執筆時点で189万インプレッションもありながら、1300イイネにも届いていない、イイネ率が0.1%を大きく割り込んでいます。物価高対策はEUやアメリカに比較してかなりがんばってますし、旧統一教会には解散請求命令、裏金は率先して政倫審に出席し、酒とカネを配った自党の議員に甘い立憲民主党より、よほど厳しく対処しています。イイネ率の低さも、当然です。どれもトンチンカンな批判の上、ブーメラン。

https://x.com/izmkenta/status/1778702026203119899?s=61&t=tcAJZFtthV9PcLEiLOD2MQ

■チェンバレンになるな■

こちらの指摘が、重要ですね。言わば、モンロー主義の共和党への牽制球なんだけど、なだめるでなく脅すでなく、いわんや腐すでもなく。相手に気付かせる、最高の説得。クレーマー対策で言われる、「説得するな、気づかせろ」を実行したと、自分は思っています。「日本とアメリカはイコールパートナーです」と言ったところで、経済力も軍事力も桁違いで、親分子分の関係は変わらない。でも、「親分が先頭立って向こう傷受けてるのは知っちょりますけん、頼りないかもしれんが、背中はわしに任せてつかぁさい」と言うことの方が、大事です。「伯父貴は、第二のチェンバレン首相になる気ですか?」

岸田総理の発音が〜とか、アホな揶揄をしてる連中もいますが。滑らかな英語で言うより、下手だから伝わる言葉があります。映画『ホテル・ルワンダ』のエンドロールで流れる『Million Voices』という曲があります。潰れた声で、消して美声とは言えない。でも、だからこそ争いが絶えないアフリカを嘆くその歌が、心に響くわけで。ルイ・アームストロングの『What a Wonderful World』も、あのダミ声でしか伝わらない良さがあるように。野党や支持者がどう評価しようとも、アメリカの民主党支持者はもちろん、共和党支持者にも伝わった、それは事実と認めるべきかと。


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