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中国軍のミサイルがEEZに着弾

◉北朝鮮のミサイル発射で、だいぶ日本人の感覚が麻痺していますが。排他的経済水域(EEZ)への着弾は、初めてのこと。しかも東シナ海。台湾をペロシ下院議長が訪問したことで、面子を潰された中国としては、こういう形での威嚇行動に出るのは予想の内。中国には国際政治はなく、国内政治の一分野が国際政治。「アメリカに対して弱腰だ!」という内部からの習近平主席批判を抑えるために、強気の態度を見せるしかないんですよね。

【中国ミサイル5発が日本のEEZに落下 日本政府抗議】産経新聞

 中国人民解放軍は4日、台湾周辺で実施すると公表していた「重要軍事演習」を開始した。日本政府は中国軍が発射した弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾したと発表した。岸信夫防衛相によると、中国の弾道ミサイルが日本のEEZに着弾したのは初めてとみられる。外務省の森健良事務次官は4日夜、中国の孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日大使と電話会談を行い、強く抗議するとともに「軍事訓練の即刻中止を求める」と申し入れた。

 台湾の国防部(国防省に相当)によると、弾道ミサイル「東風」計11発が発射されたという。日本政府が確認したミサイルは計9発。EEZに着弾した5発は、沖縄県の波照間島南西沖に中国が設定した訓練海域に落下したと推定される。また、同県の与那国島北北西沖のEEZ外にも落下したとみられる。

https://www.sankei.com/article/20220804-E6TNT6FWB5OYTHKMJZJDUFBUIE/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、与那国島の風景だそうです。

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■中国と米国の腹の中■

そもそも、習近平主席がその地位に付けたのは、この国内政治の延長線上に国際政治がある、中国の特性ゆえ。当時の胡錦濤主席が同じ共青団出身の李克強を後継者に推していたのに、日本の民主党政権の尖閣諸島国有化の悪手を打ったため、これを批判した最長老の1人である宋平が推す習近平が、逆転で主席の座についた面があります。そういう経緯で生まれた習近平政権としては、国内的に強気のポーズを取らざるをえない部分がありますから。

アメリカはアメリカで、バイデン大統領という行政府のトップは訪台に難色を示していますが。でも立法府の議会人が、国交とかない国でも交流するのは、よくある話。それが外交。ちゃんと言い訳を用意しつつ、もしも軍事行動に出るならF-18を90機前後も搭載するミニッツ級正規空母と、F-35Bを20機前後搭載できるアメリカ級強襲揚陸艦を2隻展開。ハッキリ言えば、中華空母は強襲揚陸艦の20機のF-35Bで殲滅できるでしょうけれど、本気度が違いますね。

■浮足立つ日本の大衆■

今朝のTwitterのトレンドに、〝宣戦布告〟が上がっていて、ギョッとしました。もちろん、中国が宣戦布告したわけではなく。「こんなの宣戦布告と同じだ!」と怒っている人が多数いて、トレンド入り。たぶん、先の衆院選や参院選で、維新の会を推した方たちが多いでしょうけれど。Dappiアカウントも、一番推していたのは維新の会の足立康史議員であり、親中派と目される議員は自民党でもボロクソ。逆に、立憲民主党でも松原仁議員には好意的でした。

マスコミには、こういう嫌中嫌韓の有権者の声が出ることは、少ないですが。日本という国は聖徳太子が「日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。恙なきや」云々の書を西暦607年に送ってからこっち、中華王朝の冊封体制から距離を置くのが国是。だから、元号と天皇号と日本国号という、3つの号によってそこを示したわけで。もちろん、表向きは戦争の口実にされますから、隠しましたが。そこはベトナムの丁朝や前黎朝などの歴代王朝も同じですが。

■事大主義と尊皇攘夷■

日本人には、そういう外国に追随したくない、独立自尊の精神がある……と書くと、喜多野土竜はネトウヨだなんだと言われますが。現実問題として、中国的であることが重要とされた半島の歴代王朝とは、違うわけです。現在の韓国や北朝鮮はほとんどが中華風の一字姓ですが、昔の文献を見れば泉蓋蘇文とか鬼室福信とか乙支文徳とか、二字姓が普通にあります。唐王朝の力を借りて半島統一に成功した統一新羅以降、自主的に創氏改名して中華風の漢姓にしたのがわかります。

日本の仮名は奈良時代には原型が生まれ、9世紀後半に竹取物語が、10世紀前半には土佐日記が、11世紀には清少納言や紫式部らが出て、女流文学が隆盛しますが。半島で仮名が生まれたのは1443年と、数百年は遅れています。しかも、独自の文字を持つのは蛮族のすることと、なかなか普及しませんでした。事大主義、つまり大に事《つ》くことが、半島の文化ですからこれは善悪ではなく、事実です。そうでないと、歴代中華王朝に半殺しの目に合いますから。

■超大国と戦う日本国■

自民党の ア ホ な政治家のこの発言も、そういう部分を無意識に踏まえているでしょうね。残念ながら兄でも弟でもなく、赤の他人です。余談ながら、旧統一教会は韓国がアダムで日本がエバの国で、半島の男尊女卑の文化ゆえ妻が夫に尽くすのが当然という教義なわけですから。でも、自民党の議員はたぶん90%以上が韓国を弟というか格下の国だと思ってるでしょうね。それで、旧統一教会による自民党支配とか、苦笑しか出ません。

そもそも日本は、韓国だろうが中国だろうがアメリカだろうが、頭を抑えてくる国が大嫌いなんです。それが、尊王攘夷の言葉に集約されるんですが。だから、こんな小さな国なのに白村江の戦い(唐王朝)・元寇(モンゴル帝国)・朝鮮出兵(明王朝)・日清戦争(清朝)・日露戦争(帝政ロシア)・第一次大戦(ドイツ帝国)・第二次大戦(大英帝国・アメリカ合衆国ほか)という、その時時の超大国と喧嘩してるわけです。善悪ではなく、そういう危うい民族性を、政治家も自覚すべきでしょう。

■大衆の暴走に危機感■

今回の中国のミサイル発射は、日本人の無自覚の攘夷の心に、火をつける危険性があります。それは、日比谷焼き討ち事件に発展したように、下手すると右も左もコントロールできない、危険な部分が。特に右は、それができる可能性が唯一あった安倍晋三元総理が、暗殺されてしまったのですから。中国と、握手しながらナイフを左手にの国際政治ができた、数少ない人間でもありましたが。この弾道ミサイル着弾が、今秋の沖縄知事選でどう動くか、でしょうね。

ハッキリ言えば、沖縄の反基地活動は、イデオローグは左派ですが、大衆はアメリカに対するなんとなくの不満、攘夷の心での反発が奥底にあるので。それが対中に向き、一気に玉城デニー知事の落選となれば、それは危険な徴候。戦前も、総力戦研究所は日米開戦は必敗とシミュレートしていたのに、大衆の反米意識とマスコミに煽られて、真珠湾攻撃に至りました。自分は保守派ですが、そういうポピュリズムや空気《ニューマ》に動かされた政治は危ういと思っていますので。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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喜多野土竜
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