与那国島に行った話
去年の10月からわけあってしばらくだらだらしていたのだが、そのときに一週間超沖縄に滞在していた。せっかくなので行ったことのない離島、とくに日本最西端の与那国島に行くことにした。
そもそも島フェチなのでぽつんと孤立している島のことを考えるとゾクゾクする(南硫黄島のWikipediaは最高)。東西南北端のうち一般人が上陸できる唯一の島が与那国島なので、これはいつか行かねばと思っていた。
あと、偶然知った丸紅さんの沖縄離島の旅行記の同人誌を読んだのが、がぜん響いた。
絵がとても魅力的で、また描かれている与那国島が他の沖縄とだいぶ違うらしいというのに興味を惹かれた。ちなみに、なんの因果かちょうど沖縄行ってる間にコミティアがあって、この次の同人誌は通販で買った。
行き
与那国へは石垣島経由で行った。一応本島からも飛行機出てるけど、石垣空港からの方が本数も多い。ちなみに、石垣着いてから一泊して与那国に向かった。
飛行機はボンバルディアのプロペラ機で興奮した。かなりきれいだったので、新しい機体なのかもしれない。だいたい30分ぐらい着く。
空港に着くと、宿の人が迎えにきていた。
宿
宿は民宿をとった。素泊まり。
朝食に置いてある食パン焼いて食べていいよみたいな感じで、あとは部屋以外が諸々共有な宿だった。
一泊するぐらいだし、全然良かった。
移動手段
レンタカーなどなにも予約せずに行ったら、けっこう危うかった。宿の人に「なんかレンタカー屋ないすか?」って聞いて、お店に連絡したら、「いま返ってきて洗車してないけどそれでも良ければ」って感じで借りれた。
島はそこまで大きくないので、チャリがあればまあ一周はできると思うが、暑かったし、車あると楽。ただ、同じ飛行機で同じ宿泊まった方がロードバイクを輪行してて(前日に石垣で大会があったとおっしゃっていた)、いいなーと思った。
レンタカーを借りて、空港の食堂でそば食って出発。
日本最西端
まずなにはともあれ、日本最西端の碑のある西崎(いりざき)に向かった。宿が久部良という地区に近く、西崎にも近いのでサクッといける。
ここは碑と灯台があるだけなのだが、行くと「なるほど、国境、なんだなあ…」みたいな感慨が湧いてくる(個人差があります)。ごくまれに台湾が見えることがあるらしい。
むしろここは日の入りのタイミングで来るのがいいかもしれない。日本で最後に日没するところなので、夕焼けハンター諸君は実績解除のために行ってください。
馬
最西端の碑を見たあとは島をぐるっと一周ツアーをスタートした。
するといきなり、馬がいる。
与那国島には与那国馬という在来種がいて、保存と繁殖のためにいくつか牧場がある。牧場という名前だが、ざっくり区切ってあるだけっぽいので、ふつうに道路にいたりする。ウンコも落ちてる。
ただ、基本おとなしいので、車で横通ったりちょっと撫でるぐらいだったら全然大丈夫。
そして、馬が集落に迷い込んだりしないように、牧場の端には段差が設けられていて、テキサスゲートというらしい。
車で通るとけっこうガタガタいって怖いし、モノ落としたら絶対取れなそうな気持ちになる。
牛もいた
東崎
ここからはメインどころをざっくりと。
上述したように、最西端の碑があるのが西崎だが、島の一番東側の岬は東崎(あがりざき)という。名前でわかるように、太陽が登るのであがりざき、沈むのでいりざき、ということだ。
東崎は西崎に比べるとけっこうロケーションが良い。
Windowsの壁紙でありそう
緑もあって馬がいて、なかなか爽やかな場所である。
ところで、与那国島はかなり崖がすごい。ここもわりと端まで歩いていけるんだけど、けっこうな高さで怖い。想像される沖縄の島々といえば砂浜があって〜という感じなんだけど(もちろん与那国にもきれいな砂浜はある)、与那国島はそれと比べるとだいぶハードな印象を受ける。むかしは上陸も難しかったとのことで、渡るのが難しいと書いて「渡難(どなん、ドゥナン)」と呼ばれることもある。
祖納とティンダバナ
祖納は島の北側にある、島の中心地。ぶらぶらしたけど、建物の感じとかはあまり本島とかと変わらない印象だった。近くに海があって、やっぱりきれいだった。
祖納を見下ろす位置にティンダバナという名勝があって、ここがまたすごい崖になっている。いい写真がとれなかったのでリンクを見ていただきたいのだが、ほんとにグワッと盛り上がっている感じで、途中まで登るのもけっこう大変だった。この記事のカバー写真がティンダバナから見下ろした祖納の町並みです。
花酒
花酒(はなざけ、はなさき)は与那国だけで生産が許されている泡盛で、アルコール度数が60度もあるやばい酒である。度数が通常の泡盛より高いので、原料用アルコールと記載されている。3つの酒造が作っており、今回は国泉泡盛の「どなん」を買って帰った。花酒だけじゃなく与那国の泡盛はクバの葉で包まれて売ってたりする。
帰ってきてから酒の強い友人と一緒に飲んだ。沖縄の人は基本的に泡盛を水割りで飲むのだが、花酒は水割りよりストレートで飲むのが美味いと感じた。ちびちびいってもめちゃめちゃカーッとくるのだが、香りがすごい良くて、まろやかな喉越しでなかなかクセになる(って池澤夏樹も言ってた)。冷凍庫に入れるとアルコール度数が高すぎて凍らずトロトロになるので、その飲み方もイケる。
その他
写真で振り返り
Dr.コトー診療所
ネコと和解せよ
レンタカーは6時間借りた(気がする)のだが、だらだら走って寄り道したりで、良い感じに島を見て回ることができた。まだまだ見どころはあると思うけど、一泊二日でもけっこう満足度が高い旅ができる。
日が落ちてからは宿で飯(町の商店で買ったカップラーメンと魚の天ぷら)食って、だらだらして寝た。
翌日
次の日は昼ぐらいの便だったので、それまでは洗濯をしたり、久部良から西崎まで歩いたりして過ごした。天気が前日より良くて、海も空も最高だった。
ふと思い立って西崎でポケモンGOを開いたら、ピカチュウがいた。
東京じゃさっぱり見かけなかったのに、こんなとこにいたんかワレェ
天気も良くて、ピカチュウも捕まえられたし、いい締めくくりになった。
帰り
空港について書いてなかった。空港はだいぶ小さいんだけど、売店(お土産屋)がいくつかある。ちょっと入ってみるとおばあちゃんが寝てたりする。
与那国の文化・歴史に興味がある人は空港の売店はチェックしておくとよくて、(ほぼ)ここにしかなさそうな自費出版的な本がたくさんある。那覇のジュンク堂の沖縄本コーナーの充実ぶりは素晴らしいんだけど、与那国空港売店で売っているような本はほとんどなかった気がする。
といいつつも自分も結局買いそびれてしまって、クバ餅買っただけだったんだけど、土産話したら「俺も行く」と言って与那国に飛んでいった父に一冊だけ買ってきてもらった。
装幀が良い
帰りの飛行機は、行きよりも古かった。でもこっちのほうがプロペラ機!って感じがする(?)。
“““国境”””を感じろ
実際はそんなに感じません。
与那国は日本最西端というだけで行く価値があるところだが、それ以外もとても良いところだった。「時間がゆっくり」とかいう感じはないけれど、静かで、落ち着いている。もしかしたら、沖縄の他の島よりも、どこかの地方の町、という感触が近いかもしれない。行ってみれば、「沖縄の観光」とは一味違ったものを味わえると思う。
みなさんも国境でだらだらしましょう。