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ヴァンス副大統領のミュンヘン安全保障会議発言
◉アメリカのジェームズ・デイヴィッド・ヴァンス副大統領の、ミュンヘン安全保障会議での発言が、物議を醸しています。欧州各国が反発し、特にドイツはかなりの反発を示していますね。それを、NHKが報じています。でも、その内容に対して、疑問が出ていました。
【ドイツ首相 米バンス副大統領の極右政党めぐる発言を強く批判】NHKニュース
ドイツのショルツ首相は、アメリカのバンス副大統領が、ヨーロッパの主要政党が極右政党との協力を拒んでいると批判したことを巡り、「部外者が干渉するなら容認しない」と発言を強く批判しました。
アメリカのバンス副大統領は14日、ミュンヘン安全保障会議で演説しヨーロッパの主要政党が極右政党との協力を拒んでいると批判し、演説後には移民や難民に対して排他的な姿勢を掲げ、極右だとされるドイツの右派政党「ドイツのための選択肢」の党首と会談したことも明らかになりました。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。台はありません。
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■マスコミの切り取り?■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。コレに対して、佐々木俊尚氏のポストが、𝕏(旧Twitter)に流れてきました。山形浩生氏の翻訳を紹介されており、どうも、ヴァンス米副大統領発言の発言はマスコミによって切り取られて、誘導された発言にされている可能性が……。山形浩生氏は、ポール・クルーグマンやトマ・ピケティなどの経済書の翻訳を手掛ける翻訳家ですが。元野村総合研究所研究員で、経済がわかっている専門家。経歴を見ると、麻布高等学校卒業・東京大学理科一類入学・東京大学工学部都市工学科卒業・東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士課程を経て、野村総合研究所研究員という、華麗な学歴。
強烈。「アメリカの⺠主主義が、グレタのお説教に十年耐えられたんだから、あなたたちの⺠主主義だってイーロンマスクの数ヶ月ほどで死にやしませんって。しかしあらゆる⺠主主義が死んでしまうやり方があります。それは何百万もの有権者たちに、おまえたちの考えは無効とか無価値とか告げることです」…
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 16, 2025
強烈。「アメリカの⺠主主義が、グレタのお説教に十年耐えられたんだから、あなたたちの⺠主主義だってイーロンマスクの数ヶ月ほどで死にやしませんって。しかしあらゆる⺠主主義が死んでしまうやり方があります。それは何百万もの有権者たちに、おまえたちの考えは無効とか無価値とか告げることです」/山形浩生さん訳によるミュンヘン安全保障会議 ヴァンス米副大統領発言 https://buff.ly/4gHqMHW
翻訳文はかなり長文で、なかなか読みこなすのは大変でしたが、要するにルーマニアの選挙無効などに代表される、ヨーロッパの民主主義の後退や、押し寄せる難民に対してポリコレ棒による知識層の言論の制限など、問題を指摘しています。これは日本でも同じで、マスコミやアカデミズム、法曹界が左重心で、大衆の意見との乖離が進んでいて。ドイツの移民政策も、極右政党(と日本のマスコミは報じていますが)と意見の一致があっても、底に対するヒステリックなマスコミの批判があり、法案にまで至らなかった模様。それに対する反論が、封じられている部分ですね。
反論があれば、エビデンスを付けて論破すればいいのに、お高く止まった左派は、ネトウヨなど相手にするまでもないと無視するか、10%程度の極端な意見を取り上げての一点突破論法や、全体がそうであるかのような藁人形論法ですからね。日本ファクトチェックセンターとか、マスコミのファクトチェックを除外するなど、その典型例ですが。万機公論に決すべし。
■アメリカの真意とは?■
翻訳自体は、山形浩生氏が冒頭にエグゼクティブ・サマリー(ビジネス文書や企画書などの冒頭に配置される要約部分)を付けてくれていて、ヴァンス副大統領発言の重要ポイントが、分かりやすくまとめてあります。ここだけでも読んでほしいので、以下に転載しておきますね。どうも、アメリカ保守系の伝統であるモンロー主義で他国には干渉せず、ウクライナの頭越しにロシアのプーチン大統領と交渉して、ウクライナを見捨てるとか、そういう話ではなく。ヨーロッパ勢の尻を叩いていると言うか、皮肉を交えた指桑罵槐でもありますね。
Executive Summary
ヴァンス米副大統領の、2025 年ミュンヘン安全保障会議での演説。ヨーロッパの防衛では欧州自身が主体的な役割を果たすべきだが、それ以上に外部の脅威よりも、民主的価値観の後退というヨーロッパ内部の問題を懸念。そんな状態ではまともな同盟はおぼつかないと指摘。特に、言論の自由の制限や政府の検閲、選挙の無効化などの動きを批判した。欧米が共有する価値観を守るために、自由な言論や異なる意見の尊重が不可欠であり、特に移民問題が大きく、エリートが国民の声を踏みにじるようではダメだと戒めた。
関連して 2024 年のパネルディスカッションでは以下の点を述べた:
1.ウクライナ支援の限界 – 資金ではなく兵器生産がボトルネック。西側はロシアほどの武器生産能力がない。
2.和平交渉の必要性 – 武器供給が限られている以上、ウクライナ戦争は交渉による解決しかない。
3.アメリカの外交優先順位 – ロシアは脅威だが、アメリカが重視するのは東アジア。
4.ヨーロッパの安全保障の自立 – アメリカは東アジアに注力するからヨーロッパは自分で防衛能力を強化せよ。
5.脱工業化のリスク – 戦争で重要なのは GDP より工業生産力。ヨーロッパは自国の安全保障強化のためにも工業を維持せよ。
https://cruel.org/candybox/JDvanceMunich2025_j.pdf?utm_content=buffer63532&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
ウクライナへの支援で、アメリカにおんぶに抱っこの状況から、もうちょっと欧州各国が当事者意識を持って、銭でも武器援助でも本気にならんかいと、尻を叩いている感じ。アメリカ・ファーストの保守派のトランプ支持層をなだめるためには、ウクライナ支援を減らして、戦費を減らしたい。でも、ウクライナを見捨てる気はなく、欧州各国に「ウクライナが突破されたら、次はオマエらだぞ? わかってるのか? わかってるならもっと本気にならんと。自国が戦場になるより、ウクライナ支援のほうがなんぼカマシだろ、ああん?」と、指桑罵槐しているように見えます。政治的駆け引き。
■本命は…台湾有事か?■
この件に関しては、上念司氏の解説動画も分かりやすいので、参考にリンクしておきますね。アメリカとしてはあくまでも、危機感を持っているのは東アジアの情勢。はっきり言えば、習近平政権による台湾侵攻の方が危険であると、アメリカは考えているようで。それは、バイデン政権を否定しまくっているトランプ政権でありながら、変わらず継承されている政策でもあります。それこそ安倍晋三元総理の時代から、台湾有事に対する基本的な姿勢は日米ともに変化ありません。石破茂総理大臣の首脳会談での態度の変化も、台湾有事に関する何か重要な情報を、アメリカから伝えられた可能性を感じます。
経済評論家上念司が5分で解説!全文読むと報道のおかしさがわかる!!バンス副大統領のミュンヘン安全保障会議における演説、本当はこうだった!!|上念司チャンネル ニュースの虎側
台湾有事となれば、アメリカとしては全力で対峙すべきこと。今回のウクライナ侵攻ではっきり分かったことは、ロシアの実力がさほどでもないということ。無理して兵士を動員していますが、武器の面で良こそあれど質はイマイチで、経済的にも戦時統制経済で回ってはいますが、逆に戦争が終わってしまえば、ウクライナの占領地から得られるリターンは少なく、経済的に破綻してしまう危険性さえも。いうても、韓国以下の経済力ですからね。ならばそちらは、欧州勢に任せて。アメリカに迫る経済力と軍事力を蓄えた中国に、日米韓で備えるのが最優先事項と。
左派マスコミの、切り取りや誘導とは真逆の、アメリカの本音や真意が推察できる、貴重な談話ですね。
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