貧乏神は誰か? 八王子市長選で見えたもの
◉八王子市長選挙、活動家二世として著名な菱山南帆子さんが、連続ツイートで総括しているのですが。「お叱りを受けています」と言われてる形にして、八王子市民を間接的にバカ呼ばわりです。その総括内容も、見当外れと責任転嫁、ひたすらトンチンカン。滝田候補が落選した理由は、菱山さんや旧しばき隊界隈に代表される、他責性と攻撃性が強い活動家に、応援された結果ではないかと思ってしまいました。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。選んだ理由は、菱山さんのツイートを読めば解ります。
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■超党派共闘幻想■
菱山さんのツイートに対する、個人的な感想や、疑義を。まずこちらのツイート。「超党派ではなく超超党派」と、左派が大好きな連帯とか団結とかの言葉の列に、超党派が入ってきている印象なのですが。これって、和を以て貴しとなすの、実に日本的な文化なんですよね。野党共闘も、その文脈で読み解けますが。でも、これがむしろ曲者です。
日本人は揉めると、どちらに理非があるのかを論じるよりも、喧嘩両成敗だと、揉め事が起きることそれ自体を批判し、忌避します。このため、時代の転換期となるような大きな問題が起きると、とにかく団結しようと言い出すわけです。団結しさえすれば、難局を乗り切れると。ところが多くの場合は、失敗します。一時的に団結できても、瓦解します。
■日本人の団結癖■
60年安保の全学連、70年安保の全共闘とか、全●●とかも左派は好きですよね。超党派とか野党共闘なども同じ文脈で捉えることができるでしょう。ご本人たちは、海外からの思想の影響を受け、国際派のつもりなんですが…。実際は、自分の中の純日本人的な部分に、無自覚なんですよね。ここらへんの団結したがる心性は、歴史を見れば分かります。
上の例に加えて、壬申の乱や承久の乱など、実際には国連を二分するほど揉めた場合、もう片方を切り捨てて、大胆な改革をした方が、うまくいく場合が多いんですよね。こちらのnoteにも書きましたが、今や最大の比率となった無党派層に、これら左派は嫌われている。なぜでしょう? それは、左派の言う団結や連帯とは、日本的な心性が混じった、鵺的なファシズムだからです。
ファシズム(fascismo)の語源は、イタリア語のファッショで、これは束とか結束の意味。なので、ファシズムとは結束主義と訳します。ファッショの語源は、ラテン語のファスケス(fasces)。ファスケスとは、斧の回りに短杖を束ねたもので、古代ローマの執政官の権威の象徴。王という漢字も、鉞の象形文字で、古代の王様が罪を認定し、斧で処刑する権力者であったことと同じです。
■他責性と攻撃性■
このようにファシズムとは、全体主義と権威主義が合体した面があるのが、語源からも分かりますね。それは、民主主義とは相容れない存在です。権威主義とは要するに、党首を公選せず、幹部連中が話し合って決める、共産党の民主集中制と同じです。ローマ教皇が信者の投票では選ばれず、枢機卿が集まってのコンクラーベで選ばれるのと、似ています。
ここを読むと自分は、むしろ滝田候補に好感を持ちます。もし八王子市民だったら、投票したくなるぐらいに。同時に、自分たちは被害者ポジションだからやり返して当然、という菱山さんの攻撃性に、嫌悪感を持ちます。日本の活動家には、自身の暴力衝動を正当化するために、政治活動をしているのではと疑ってしまうような人たちが、目立ちます。
10年前の大学院生リンチ事件はもちろん、連合赤軍による総括リンチ人事件(山岳ベース事件)の昔から、この攻撃性は顕著です。そしてその攻撃性は、自分たちは目酷いにあっているから復讐してもいいんだ という、被害者ポジションを免罪符とした、過剰復讐を正当化する論理です。この過剰な復讐は、ユダヤ・キリスト教の千年王国思想の焼き直しです。
■堂々巡りの思考■
厳しい言い方をすれば、四月には35歳になるのに、菱山さんの思考は稚拙です。「向こうが小池百合子を呼ぶのであればこっちも大物国会議員呼びまくって対決だ!」とか、いったい誰を想定しているのか分かりませんが。野党の大物国会議員が、訴求力になると思っている時点で、かなりの権威主義者であることが、図らずも漏れてしまっています。御本人も、自覚があるようですが。
このように、自分たちの攻撃的なスタイル、八王子市政を応援するふりをしながら、実際は国政に絡めて自民党批判をする姿勢に、多少の自責の念は出ているのですが……すぐにまた、いつもの攻撃性が鎌首をもたげます。
時間がなかったとか責任転嫁を始める菱山さん。御本人が別ポストで書かれているように、むしろ序盤は滝田候補が優勢だったのに、選挙スタッフが良い形で進んだいのに、逆転された理由について、時間がないとか妨害されたとか金で負けたとか、エビデンスを示せない逃げでは?
挙げ句に、批判者を攻撃し始める。その攻撃性こそが、無党派層から嫌悪される部分です。無所属の両角穣候補に票が流れた原因でしょうに。野党候補を一本化しても、菱山さんたち攻撃的な支持者を嫌悪し、無党派層の票はやはり第三の候補に流れるでしょう。学生運動が、最初は同情的だった大衆が、連合赤軍のあさま山荘事件や山岳ベース事件、日本赤軍の数々のテロですっかり支持を失ったように。極左のような言動を繰り返せば、中道左派は離れます。その中道左派をネトウヨと呼んで攻撃していますが。
■損切りする時期■
けっきょく、自分たちの手法に疑問を持って、一時的に自省をしても。けっきょくは攻撃性を止められない。そして、けっきょくは分裂と分断工作と、他責に走る。堂々巡りです。群馬県草津町の黒岩信忠町長への名誉毀損裁判で、電子書籍を出版したライターに有罪判決が出たのに、特にコメントを出さないダブルスタンダードも含め、あなたたちこそが健全な野党の成長や拡大を邪魔している、そういう気付きはないのか?
上でも書きましたが、日本は「和を以て貴しとなす」文化ですが、団結だとか言ってかえって傷口を広げるのが常。たぶんこのままでは、解散総選挙となっても、野党共闘は機能しないでしょう。むしろ、立憲協賛者民は得票を減らし、限界系にターゲットを絞っているれ新のみ、増やすでしょう。自民党は微増か微減で、実質現状維持。都市型政党として、維新の会が票を伸ばし。若者層のアンチ自民層は、国民民主党に流れるでしょう。そして、立憲民主党が野党第一党から転げ落ちたら、後は社民党(旧社会党)と同じルート。
野党第一党だからこそ、投票している層は、一気に離れますから。そうなったら、お決まりの分裂と集合離散の繰り返し。21年の衆院選、22年の参院選、23年の東一地方選挙と、野党共闘は敗戦続き。もう、結論は出ていると思いますが、次の衆院選で立憲民主党は野党第一党から滑り落ちたら、党を割って菱山さんらと距離を起き、タイミングを見て国民民主党と合流し、損切りしたほうが良いと思うんですけどね。まぁ、切られる方は必死に抵抗し、攻勢を強めるでしょうけれど。
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