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絶滅危惧種とiPS細胞

◉iPS細胞といえば、どうしても肝臓や心臓や腎臓などの、臓器移植の方に関心が向けられますが。クローン技術と地続きの分野ですからね。人間の場合は、倫理的な問題があるので、クローンは御法度。少なくとも現時点では、コンセンサスは得られていませんね。しかしこれが動物、しかも絶滅危惧種の保存ということになると、倫理的な壁はほぼ無いと言っていいでしょう。

【ライチョウやニホンイヌワシからiPS 研究者「驚きに値する」成果】朝日新聞

 様々な細胞に分化できるiPS細胞を、ライチョウやニホンイヌワシなど国内の絶滅の恐れのある野鳥4種から作り出すことに、国立環境研究所などのチームが成功した。絶滅危惧の鳥での作製は世界初で、生息を脅かしかねない感染症への備えや、保全対策に生かせる成果という。

 他に作製されたのは、沖縄本島北部にのみすむヤンバルクイナと、北海道道東に生息するシマフクロウ。

https://www.asahi.com/articles/ASQB03FQ8QBWPLBJ003.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、北アルプスでお会いした夏毛の雌のライチョウさん、だそうです。水墨画のような美しさ。

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■日本という環境■

ライチョウやイヌワシ、シマフクロウ、ヤンバルクイナなど、日本は意外と絶滅危惧種の鳥類が多いんですよね。ニッポニア・ニッポンことトキは、絶滅してしまいましたし。島国で亜種や固有種が多いというのも、大きいのでしょう。コウノトリの国内のものは絶滅しましたし、丹頂鶴なども江戸時代は、現在の三河島のあたりにも、飛来していたぐらいだったのに。今は釧路湿原などにしかいませんからね。

iPS細胞の場合、どうも人間の研究は進んでいるのですが、動物の研究となるとまた勝手が違うようで。さらに言えば、哺乳類と鳥類では同じ動物と言っても、いろいろ違う面があるようで。両生類や爬虫類では、体の一部を欠損しても、再生する種類もいます。単性生殖をする種類もいたりしますからね。そうなると、緊急はまた一から積み上げていかないといけませんしね。でも、ズーストック計画と同じで、価値がある研究だと思います。

■ライチョウ復活の可能性■

ライチョウといえば、世界中にいる鳥類ではあるのですが。高山の寒冷な気候を好むため、山岳地帯事に孤立しやすく、亜種が多い種類として知られています。羽根の模様などに、違いが出やすいようで。こちらの方は上でリンクした過去noteのように、動物園で人工飼育して数を増やして自然に返す試みが、成果を上げつつあるようです。こんな記事がありました。

【中央アルプスで「絶滅」のライチョウ、80羽以上生存か 復活へ前進】毎日新聞

 中央アルプス(長野・岐阜県)で半世紀前に絶滅したとされるライチョウの環境省による復活計画が8月、動物園で飼育・繁殖した成鳥とヒナ計22羽の野生復帰に成功し、大きく前進した。2020年夏に北アルプス乗鞍岳(長野・岐阜県)から親子19羽を中アに移入して以降、現地で自然繁殖した個体を加えると、80羽以上が生存している可能性があるという。専門家は、24年に100羽程度に増やす目標の達成に自信を見せる。【武田博仁】

https://mainichi.jp/articles/20221101/k00/00m/040/016000c

思った以上に、順調ですね。しつこく書きますが、佐渡島のトキの場合は、自然繁殖にこだわった地元の環境保護団体のせいで、人工繁殖への試みが大きく遅れ、絶滅を早めた面がありますから。化学調味料を毛嫌いする上級国民のようなもので、人工繁殖だろうが自然繁殖だろうが、絶滅させないことが最優先のはずで。手段が目的化してしまっては、まさに本末転倒。iPS細胞の利用も同じでしょう。

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