京アニ放火殺人事件:ループする犯人
◉犯人自身は、瀕死の火傷を負った治療中に、36人が亡くなったという、単独犯の犯行としては最悪の結果と、自分のやらかしたことを理解し、生きる気力をなくしている云々という情報も出てきたのですが……。けっきょくは、粗暴で他罰的な面は、変わらずあるということでしょうね。異常性を際立たせる法廷戦略として、弁護士に言わせられてるとしたら、非常に不愉快ですが。どうも、ナチュラルにそう思っているフシがありますね。あんただいそれた事件を起こしたのは、京都アニメーションに根本的原因があるという、責任転嫁。
ヘッダーは京都アニメーションの傑作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のカットより。
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犯人の中では、自分は作品を京都アニメーションから盗作された被害者で、そのための理由のある復讐(vengeance, approved revenge)という部分は、まったく揺らいでいませんね。でもこの考えに固執するのは、
作品は京アニに盗作されるほど価値があった→自分も価値がある人間
って一縷の望みを維持したいという、自己防衛本能なのでしょう。そうでなければ、なんの才能もない社会の落伍者が、逆恨みから才能も未来もある人の命を大量に奪った、という悲しい現実を認めなければなりませんから。
問題にしたいなら、弁護士に相談し、盗作されたとして京都アニメーションを告訴すればいいだけ。誰も公判を維持できないと、断る可能性が高いですが。本人訴訟だってできます。それをせず、いきなり放火とか、それこそ論外なわけです。放火は、死刑まである大罪です。自分(とその作品)には価値があるという、過大評価の挙げ句に等価でない報復行為に走ったわけです。目を潰されたら相手の目を潰して等価の復讐を容認するのが、近代法のルーツであるハンムラビ法典の、復讐法の原点です。そもそもの放火に、なんの正統性もないんですよ。
やったことは、なんの関係もない小学生を8人も逆恨みというかトバッチリで殺害した、附属池田小事件の犯人と同じ。ただ、あの犯人の4倍以上を氏に追いやってるんですから。だいたい彼が主張する盗作なんて、こんなの、類似シーンがある先行作品の制作者たちを呼び、
「このシーンを京アニが盗作したと思いますか?」
「いいえ、まったく。よくある平凡なシーンです」
ってやり取りを、延々と聞かせ続けるとか? そうやって彼の願望を叩き壊す。結果的に、新宿西口バス放火事件の犯人と同じ結果になるかも知れませんが、仕方ないかも。
闇の人物……ねぇ。けっきょく、それも犯人の妄想であって、自分は闇の人物に狙われるほど、価値がある人間という、夜郎自大。彼がどんな小説を書いたか、だいたい想像がつきますね。小説家の奇想天外や荒唐無稽は、デタラメとは違うんですよね。犯人の書いた小説は多分、既成作品のツギハギだらけで、でもたぶん読んだ小説も観たアニメも偏っていて、それらの作品のパクリだらけになっているでしょう。自分が無意識にパクっているという部分があるから、パクられたと言い募る。よくある話です。自分も10年間、編集者としてそういう苦情電話は、何本も受けましたから。
ぜひ、彼の妄想小説を、死刑後でも良いので公開してほしいです。似たような小説を書いてる予備軍に、最高の警句になりますから。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ