『ゴジラ−1.0』と『君たちはどう生きるか』が米アカデミー賞受賞
◉個人的には、し権威化しすぎたアカデミー賞よりも、ゴールデングローブ賞の方が、自分の好みに合う作品が受賞することが、多いです。それでもやはり、アメリカのアカデミー賞は、映画界最大の権威であることは、動かないわけで。これによって凱旋上映でまた、両作品を上映する映画館が増え、映画業界が潤うことはとても良いことです。頑張ったスタッフたちにも、慰労金を出して欲しいところです。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、オスカー像のイラストです。
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■先ずは雑感■
詳しくは、上記リンク先の全文を、お読みいただくとして。特撮とアニメ、権威主義的な映画業界の方々が馬鹿にし、見下してきたジャンルが同時に権威ある賞を取るというのも、皮肉ですね。映画芸術とか特集でもするんですかね? 特撮であるがアニメであろうがポルノ映画であろうが、傑作は存在しますし。文豪の名作を映画化した作品でも、駄作はいくらでもありますから。
大事なのは 表層に惑わされず、本質を見抜く目でしょうね。松本零士 先生が亡くなった時、TBSテレビのサンデーモーニングに出演していたコメンテーターが、ほとんど 松本先生の作品を読んでいないと知って、呆れ果てました。年齢的には24年組とそう変わらない人たちですから、同世代の才能が台頭した時に、それに気づきもしなかった感性の人たちということですからね。
彼らよりも二回り以上年齢が上の、大正時代生まれの三島由紀夫が、週刊少年マガジンと『あしたのジョー』を愛読し、手塚治虫先生と激しく作品論争をし、平田弘史先生を絶賛していたことに比較すると、あまりにも貧弱な感性と言わざるを得ません。作家というクリエイターであった三島由紀夫と、評論家との差なのでしょうけれど。
■ゴジラ-1.0■
先ずは『ゴジラ-1.0』の視覚効果賞。はっきり言えば ハリウッドの予算規模は日本よりも 桁が1個多くて、今回 プレゼンターを務めた アーノルド・シュワルツネッガーの『ターミネーター2』が制作費1億ドルを突破して以降、CGなどを利用した作品が増え、2億ドルや3億ドルを超える作品が普通になりましたからね。技術的にも日本は、とうてい及ばないジャンルだと思われていただけに、快挙です。
ペケッターで見かけた意見で、ハリウッドは作品の事後変更や修正のためにVFXを多用して、無駄な予算が膨らんでいると。多額の予算はそれで生活するスタッフを潤してくれますが、同時に失敗できない作品作りが求められて、結果的に作品の自由度を狭めてしまう面はあります。ハリウッドにとっては、増大し続ける予算に対する警鐘として、本作は位置付けられるのかもしれませんが。
スタッフが、プロデューサーの阿部秀司氏の小さな遺影を胸に持っている姿もう写されていましたね。このを快挙を見届けてもらえなかったのは残念でしょうけれど、日本の技術が世界に通用したという、金字塔です。円谷英二監督が種をまき、世界を驚かせた特撮が、再びゴジラという作品で認められたというのも、素晴らしいですね。できれば これで日本の映画の予算 ももっと増えるといいのですが。
■君たちはどう生きるか■
そして、宮崎駿監督の長編引退作品。さすがにもう、長編作品は年齢的にも、厳しいと思いますし。ただ 作品作りへの思いが、クリエイターの寿命を延ばすところもありますから。個人的には引退撤回して、次の作品にチャレンジしてもらいたいところではあります。スタジオジブリも日本テレビ傘下になり、制作体制も変わったでしょうけれど、最後まで創作を続けて欲しいです。
個人的には本作は、宮崎駿監督がこれまで ジブリらしさとして評価されてきたものを、あえて否定した部分が多い作品で、個人的にはそれほど高く評価はできません。前回アカデミー賞を受賞した『千と千尋の神隠し』にしても、自分の評価はそれほどでもありません。宮崎駿監督の才能のピーク自体は『未来少年コナン』であって、作品的な集大成は『天空の城ラピュタ』であり、クオリティを維持できた 最後の作品が『もののけ姫』だったと思います。
黒澤明監督の作品に例えるなら、『酔いどれ天使』がコナン、『羅生門』がカリ城、『生きる』がナウシカ、『七人の侍』がラピュタ、『用心棒』がトトロ、『どですかでん』がもののけと。黒沢監督も晩年はだいぶ 困った作品が増えましたが、それでもやはり巨匠は巨匠で、今 改めて見るとその凄さに圧倒されます。富野監督ともども、好きなように作って欲しいと思います。その資格があるだけの実績は残されたのですから。
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