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漁業問題の日諾比較

◉諾は、ノルウェーの簡略表記。ノルウェーの漢字表記が、諾威なので。自分も知りませんでしたが。さて、北欧の高福祉国家として、出羽守が理想の国として語ることも多いノルウェーですが。人口 555万人で北海油田も持つ水力発電が95.3%を占める国と、日本を単純比較はできませんが。むしろ漁業に関しては、日本がお手本にすべき点が多い国として、評価する方も多いですね。今回はそんな記事をご紹介。

【「巨大サバが釣れまくる」ノルウェーと日本の差 沖合で小さなサバまで一網打尽にする日本】東洋経済オンライン

 水産資源管理の進むノルウェーの岸壁で釣りをしてみました。すると最低でも400~500グラムはある立派なサバが釣れました。日本の防波堤などでもサバは釣れます。しかしながら大きなサバが釣れることは少ないのではないでしょうか?
(中略)
 サバに限らずどの魚種も同じで、小さな魚をたくさん獲ってはいけないのです。よく考えれば当たり前のことです。ところがそうなっていないところに、日本で魚が消えていく問題の本質が隠れているのです。

https://toyokeizai.net/articles/-/833330?display=b

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、魚編にブルーと書いて鯖のイラストです。


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■厳格な資源量管理が鍵■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。記事の見出しにもあるように、ノルウェーでは大きなサバが釣れるわけで。漁業が盛んでないから、魚が放置されて大きくなっているわけではなく。むしろ漁業に関しては、スカンディナヴィア半島の西岸に位置しており海岸線が長く、北極海とノルウェー海に面ししており、海岸にはフィヨルドが発達しているため漁獲量が豊富な、漁業国。アトランティックサーモンをノルウェーサーモンとしてブランド化し、大西洋サバなどと併せて日本にも結構な量が輸出されています。漁業文化は、島国の日本と似ており、捕鯨推進国のひとつでもあります。

 大西洋のサバ漁では、EU各国とも漁業者や漁船ごとに厳格に漁獲枠が設定されて、資源管理が効力を発揮してきました。また各国の漁船や生産設備はノルウェー並みに進化しています。その結果、大西洋で漁獲されるサバは全体的に品質が向上しているのです。

ノルウェーの漁業成功の秘密は、非常に厳格な水産資源管理にあります。総量で何万トンみたいな、大雑把な漁獲枠の設定をしている日本と異なり、水産会社ごとや個人の漁師の船ごとに、漁獲枠が設定されているわけですから。ヨーロッパ各国もこれを実行していて、その結果 日本のように「獲れる時に獲っておこう、いつ不漁になるかわからないから」という計画性のない漁業者と、それを説得することもなく 迎合して、捕り尽くしを誘発するような農林水産省と族議員の方針とは、真逆です。

■巻き網モノと釣りモノ■

このような水産資源管理の手法だけでなく、そもそも、漁業の操業方法自体に、日諾には大きな違いがあるようで。日本では、まき網漁業は魚を根こそぎ捕獲し、さらに魚を雑に扱うために、個体が傷ついて品質が落ちるというイメージがあります。だから土佐のカツオの一本釣りや千葉のカジキの突きん棒漁が、日本漁業の名人芸として、称賛されています。理由は、そうやって魚を一匹一匹扱うことで、丁寧な仕事ができるから。それ自体は間違いのない事実なのですが、魚の種類によってはケースバイケースになる、と。

 ちなみに「巻き網もの」と聞くと「釣りもの」より品質が劣るというイメージが一般的かと思います。ところが意外かもしれませんが、ノルウェーではサバの価格が「巻き網」のほうが「釣り」より高いのです。その違いは「品質」です。マグロと異なり、巻き網で網を狭めていく過程で魚が苦しがって打ち身になっていくということはありません。

同上

魚偏にブルーと書く鯖は、日本近海に限ればマサバやゴマサバ、グルクマ、ニジョウサバなどの種類がいます。代表的な鯖であるマサバは、成魚で体長は50センチほどです。その数倍の大きさになるマグロとは、自ずと扱いが変わってくるのは当然かと。マグロは、スズキ目・サバ科・マグロ族・マグロ属に分類され、広い意味でサバの仲間ですが、小型のビンナガマグロでさえ、成魚は140センチにもなりますからね。本マグロとも呼ばれるクロマグロに至っては、全長3メートルにもなる巨大さ。

■水産政策を歪めるモノ■

魚偏にブルーと書く鯖は、冷凍保存技術がなかった江戸の昔は「鯖の生き腐れ」という言葉もあったように、傷みやすい魚の代表で、食中毒になってなくなる人もいました。ノルウェーのサバ は大西洋サバという、日本では取れない種類の鯖ですが。昔は冷凍保存技術がいまいちで、評判も悪かったのですが。2000トン前後の魚を一度に獲って運べる巻き網漁船でも、500トン前後以下に一回の水揚げ量を抑えることで、サバを冷えやすくして、鮮度を保つようにしているとか。またこの記事では、日本とノルウェーの漁業の違いを箇条書きにしてまとめています。その中でも特に重要な部分がここでしょう。

① 科学的根拠に基づく漁獲枠の設定と漁業(巻き網・定置他)ごと、漁船ごとに漁獲枠を設ける。
ノルウェーでは獲り切れない量の「サバの漁獲枠」を設定することはありえません。毎年消化率はほぼ100%です。わが国で行われている漁獲枠がターゲットのようになってしまう漁業には未来はありません。唯一クロマグロが回復傾向にあるのは、外圧により漁獲枠がタイトになったからです。

福島第一原発事故と、それに伴う福島県と福島県民への風評加害に対し、「科学が風評に負けてはいけない」という名言が生まれました。科学というのは再現性があるのが前提であり、再現性がなく検証もできないものは、偽科学です。ところが日本は右も左も、感情論に流されがちです。日本であっても秋田のハタハタの禁漁や、佐渡のエビ漁のように、実際に結果を出しているものはあります。なのに、そのような資源管理には、水産庁は消極的ですね。

理論的な説得に応じない感情的な漁協や漁師に対して、水産庁はとっくに匙を投げていて。好き放題やらせた上で、漁獲量が減って二進も三進も行かなくなり、廃業するのを待っているかのような、そんな邪推をしてしまいます。水産関係は、ウナギのシラスやアワビやサザエなど、反社会的勢力の重要な資金源になっている面もあり、腰が引けてるのかもしれませんが。農林水産業には、自民党の族議員も絡んできて、ずっとこの国の行政をゆがめてきたという印象が、自分にはあります。なので この件に関しては、今後も取り上げていきたいと思います。


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