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TOYOTAのHV車戦略は正しかった?

◉ハイブリッド車――hybrid car、一般的にはhybrid vehicleを略してHV車と表記しますが。欧州が電気自動車――こちらはElectric Vehicleを略してEV車と呼ばれます――を以上に推したのですが、どうやら豊田章男会長のHV車戦略のほうが、正しかったのではないか……という記事です。フランス車のタクシーがほとんど、トヨタのHV車という現実があるようです。

【豊田章男会長の戦略は正しかった…「パリ市内を走るタクシーの大半が日本のハイブリッド車」という衝撃事実】プレジデントオンライン

 10月、パリモーターショーが開催された。現地取材したマーケティング/ブランディングコンサルタントの山崎明さんは「市内を走るタクシーの変化に驚かされた。見た目の印象ではそのうち実に8割程度がトヨタのハイブリッド車なのだ。ここ数年EVシフトを強めてきた欧州メーカーはこれから大変な時期を過ごすことになる」という――。
(中略)
 パリのタクシーといえば、かつてはもちろんプジョーやシトロエンといったフランス車がほとんどだったが、今やフランス車のタクシーはほとんど走っていない。では何が多いのかといえば、現在パリ市内で走っているタクシーのほとんど(見た目の印象では8割ほど)はトヨタのハイブリッド車なのである!

https://president.jp/articles/-/88325?page=1

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、名車TOYOTA2000GT(模型)の写真です。


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■欧州の指桑罵槐?■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。欧州としては、日本のTOYOTAの攻勢に、お得意のルールを自分有利に変える戦法で、締め出しを図ったようで。すなわち、HV車推しのTOYOTAに対して、EV車推しにして各種の排ガス規制とかを押し付けることで、事実上の輸入規制にしようとしたようですが。EV車では、中国の輸出攻勢を逆に招き、かえってダメージを受けてしまったと。なんですかね、ハブを退治するためにマングースを導入したら、夜行性のハブと昼行性のマングースではそもそも出会わず、逆に天然記念物のアマミノクロウサギがマングースに襲われたようなもので。ちょっと違いますか? いずれにしろ、思惑は外れたわけで。

TOYOTAという会社は、言霊に無自覚に縛られる我が国の呪術文化にあって、理知的に判断ができる、珍しい会社なんですよね。平家・海軍・国際派が出世できない、日本の問題点があまりない。で、そのTOYOTAが将来的にはともかく、内燃機関のガソリン車やディーゼル車はいきなりは貼らせない、ハイブリッド車で段階的にというのが、出した結論ですからね。現実問題、HV車で各種データを採る中で、一足飛びのEV者への転換は難しい、という判断があったのでしょうね。けっきょく、欧州の自動車メーカーの経営トップたちには、そういう判断ができなかった、ということなんでしょうね。

■TOYOTAとHONDA■

もっともTOYOTA自体は、EV者の方もちゃんと開発していて、さすがに会社の体力があるがゆえの、強みも見せていますが。でもTOYOTA、HV車の次はEV車と考えているかというと、そうでもなく。このnoteでも何回か書いていますが、水素エンジン車なんですよね、本命は。地球温暖化を考えれば、二酸化炭素が出ないEV車か水素エンジン車か、二択になりますね。水素は酸素と燃焼すると、水になるのは、小学校の理科で習うことですが。TOYOTAがすごいのは、水素エンジン車普及のために、自社の研究成果を推しげもなく公表していること、なんですよね。なんというか、心技体揃った横綱というか……。

パリ市内で走ってるタクシーの(筆者の感覚で)80%がトヨタのハイブリッド車だそうです
で、肝心なのは所謂
「ストロングハイブリッド」
システムをまともに組めるのは
実質、トヨタ、ホンダ
の2社だけ
ヨーロッパのメーカーは48vのマイルドハイブリッドが精々
いやはや…

https://x.com/uimontyo/status/1860163888135963027

自分は自動車は詳しくないのですが、なるほど欧州には、そもそもHV車を開発して売りたくても、その基本的な技術がなく、エンジンを電気モーターに換えるEV車しか、TOYOTAに勝てる選択肢がなかったんですね……。個人的には、TOYOTAという会社とHONDAには、好感をもっているのですが。両社とも、お金儲け以外の別の何かを、未来を見つめている感じがして。まぁ、こうやって褒めると、アンチTOYOTAやアンチHONDAの方々が、ここがダメあそこがダメと、批判してくるのですが。では、そのTOYOTAやHONDAより、優れた体制や理念がある会社、何処なんですかと?

■高温ガス炉と水素車■

思うに、核融合発電が実現し、電気の供給が豊富になったとしても、EV車はどこまで普及するのか、自分には疑問に思う部分があります。やはり、バッテリーを用いる電気自動車は、極度の暑さと寒さに弱く。特に寒さでは、急速に電力が低下しますので。高緯度にある欧州では、そもそも不利なんですよね。そして、核融合で発電した潤沢な電力は、水素やアンモニア、エタノールという形で、貯蔵しておくに越したことはないんですよね。電気を大規模にためておく技術はまだありませんが、そういう形での「エネルギーの貯蔵」は可能ですから。けっきょくは、そちらの方向に向かうと思うのです。電池の技術自体は、画期的なブレイクスルーがあるかもしれませんが。そこは不可知。

現実的には、核融合発電はまだ、商用路の目処は立っていませんし。不確定要素が多すぎます。であるならば、安全性が高い第四世代原子炉の中の、高温ガス炉で安定的に発電し、その高温を利用しての水素生成とか、そっちに向かうのが妥当に思うんですよね。そもそも、核融合発電が現実になったとして、アメリカがそのノウハウを国外にホイホイくれるとも思えませんしね。一昨年には中国が商用実証炉の臨界に達し、2029年には商用路の稼働を米英が目標とする高温ガス炉が、もっとも可能性があります。そこで水素を作って、自動車や船舶は水素エンジン化を進める。真っ当な戦略ですね。

日本は、無能な方の菅元総理が、高温工学試験研究炉まで止めてしまって、研究が10年遅れてしまいましたが。10年後を目処に、頑張ってほしいです。

■追記:トヨタの戦略■

コメント欄に、TOYOTAの戦略についてとても貴重な意見がありましたので、転載して広く共有したいと思います。

あるくむ
2024年11月27日 08:13
間違っている訳ではないですが、誤解を招く典型的な伝え方だと思います。
トヨタはHEVが勝ちだとか水素に収斂されると受け取られるような表現を慎重に避けています。謙遜や本音隠しではなく、本気でそう考えていないのだと思います。周りがそういう印象を抱くだけで。

トヨタとてプリウス初代は全くの赤字で散々。MIRAIは二代目現行すら同じ。ホンダはFCEV販売をやめました。トヨタはあくまで全方位戦略を貫き、その中のHEVが今当たってるだけ。次に何が来るかにも備えているだけです。本当にすごいのは当てたことではなく、後者です。

一方の欧州はHEVを過渡期技術と踏み、BEVや燃料電池に選択と集中。時代が追いつくまで、低回転ターボやクリーンディーゼルなどで場凌ぎしたが、最後は排ガス不正しなければクリアできないほど規制を強め、自ら首を絞めた。

欧州の誤算(日本の誤解)は、炭素こそトヨタが先駆者だった点。プリウスが生まれた頃、欧州はまだSOxやNOxやPM、すなわち光化学スモッグや酸性雨や呼吸器疾患に苦しんでいた。欧州の仕掛けた罠は、むしろトヨタが仕掛けた罠だったということかも知れません。

全方位外交で、色んな可能性を排除せず、保険をかけている……という感じでしょうかね、要約すると。実際、EV車もきっちり開発していましたし。HV車にEV車に水素エンジン車にと、本文でも書きましたが、横綱ゆえの全方位戦略。でもこれは、資金力とマンパワーに優れたTOYOTAゆえに可能な戦略でもありますが。選択と集中をせず、分散していくのもまたひとつの生き残り哲学。ノーベル賞級の研究も、選択と集中よりも、広く薄く研究費をばらまいたほうが、出やすいと言われますしね。今後の参考にさせていただきますm(_ _)m


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