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陳建一さん死去

◉フジテレビの人気番組『料理の鉄人』が始まったのは1993年、もう30年も前になるんですね。和食やフレンチの鉄人は代替わりしましたが、中華の鉄人である陳建一さんは最後まで務めた、まさにミスター鉄人でした。番組開始当初は37歳ですから、本当に若いですね。最初はちょっと勝率が悪かった感じでしたが、中盤から連戦連勝だった印象があります。67歳は、現在の平均寿命を考えると早すぎます。

【「中華の鉄人」陳建一さん死去、67歳…四川飯店グループ会長】読売新聞

 人気テレビ番組「料理の鉄人」の「中華の鉄人」として知られる料理人で、四川飯店グループ会長の陳建一(ちん・けんいち、本名・東建一=あずま・けんいち)さんが11日、間質性肺炎のため、死去した。67歳だった。葬儀は近親者で行われた。後日、お別れの会を開く予定。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230314-OYT1T50121/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、麻婆豆腐の写真です。

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父親である陳建民さんは、それまで日本にはあまり馴染みがなかった四川料理を、全国的な人気料理にした中華料理界の巨星。その父親の跡を継いだわけですから、二代目ならではのプレッシャーも大きかったでしょうね。日本人が大好きな外来の料理といえば、ラーメンとカレーがツートップなのは疑いないでしょう。まさに国民食。これに対し第三の外来国民食を選ぶならば、間違いなく麻婆豆腐が加わるでしょうね。

ひき肉と豆腐と言う、日本人がもともと好きな食材が、山椒のピリリと辛い味わいで統合され、家庭ではもちろん中華料理店でも定番中の定番の人気メニューに。本場の四川料理の麻婆豆腐はかなり辛く、辛いものはかなり強い自分でも辛いなと感じたほどですから。陳建民さんが日本人向けにアレンジしたからこそ、ここまで普及した面はあるでしょうね。他にも、トマトケチャップを用いたエビチリや、キャベツを用いた回鍋肉など定番の料理を紹介。

その偉大な父の跡を受け、四川飯店グループを率いたのですから。四川料理の調理風景を動画などでも発表されておられましたが、鮮やかな包丁さばきと鍋、分かりやすい説明と、さすがの一言でした。中華料理は包丁とまな板と中華鍋のシンプルな道具で、千変万化する料理を作り上げる。フレンチのルーツはイタリアンで、イタリアンのルーツはマルコポーロたちの時代にモンゴル帝国から伝わった中華料理です。食は中華にあり。

気がつけば麻婆豆腐はすっかり日本人に愛され、麻婆茄子や麻婆春雨など様々なバリエーションを生み出し、まさに国民食に。料理の鉄人は世界各国でばかうけし、アメリカではアイアンシェフの名で、今も放映されています。自分は職人の多い一族の生まれなので、やはりプロの技術は見てるだけで楽しいです。その意味では料理の鉄人は本当に好きな番組でした。調理がエンターテイメント足り得ると、示した画期的な番組でした。

ミスター鉄人・陳建一さんのご冥福をお祈りします。合掌

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