アンモニアの常温常圧合成に東大が成功
◉これは、すごいことですね。現在のアンモニア合成は、ハーバー・ボッシュ法が主流で、この化学反応技術は画期的であったため、開発者のフリッツ・ハーバー博士とカール・ボッシュ博士は、共にノーベル化学賞を受賞したほど。でも、ハーバー・ボッシュ法は高圧高温下で起きるため、昔は爆発事故が起きたようで。ところが、東京大学の西林仁昭教授らは、常温常圧でアンモニアを安価に合成する技術を開発したとのこと。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、田植えのイラストです。
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■アンモニアの有用性■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。高温高圧下でのアンモニア合成が、常温常圧下でできるなら、安全性も高まりますし、費用対効果もかなり良くなりますからね。アンモニアを原料とした、化学肥料が現在の地球人口を支えている部分があり。もし化学肥料がなくなれば、日本と世界の農業生産は激減し、日本の人口は江戸時代ぐらいしか養えないという計算もあるほど。そういう意味でも、この研究は素晴らしいと言えます。加えて、アンモニアはいろんな使い道があるんですよね。このnoteでも何度か書いていますが、アンモニアは化学式がNH3で、窒素原子(N)1個と水素原子(H)3個の構造で、それ自体が燃えます。
ただし、石油精製の各種燃料とか純粋な水素のようには、燃えませんが。でも、火力発電所ではアンモニアを混焼して、燃料として研究する実権が盛んに行われています。それ自体が、火力発電所の燃料として有用。加えて、水素分子が3つもついており、水素キャリアとしても優秀なんですよね。水素は、飛行船ヒンデンブルク号の火災事故で知られるように、とても燃えやすいですし、気体だとものすごく堆積が大きく、液体だとものすごく温度が低い状態でないと難しく。しかも、容器をすり抜けるという、ちょっと変わった性質があります。なので、別の形で保存・運搬する必要があるんですよね。
■モリブデン系の触媒■
なので、エタノールなど常温で液体の物質にすることで、水素を保存や運搬がしやすいようにします。水もH2Oで、水素が含まれるように、あんがい水素はいろんな物質に含まれているんですよね。で、アンモニアも常温で液体ですし、そもそも古代エジプトのアモン神殿の近くでアンモニウム塩が吹き出していて、命名の由来になったほど、昔からある物質ですからね。生物の尿にも含まれていますし。刺激臭と毒素はありますが、とりあえず扱いはある程度確立された物質ですから。そういう意味でも、使い勝手が良いようで。
日本は、昔からべ化学関係が強く、こういう素材開発は今でも世界でトップクラスですしね。次のノーベル賞はカーボンナノチューブではないかと言われるぐらいには、研究も進んでいて。ここらへんは、超伝導物質の開発競争などで、いろんな知見も加わって、さらに磨かれた面も。日本は終わった終わったといいたがる尾張守や、欧米ではといいたがる出羽守とか、基本は文系で科学的な部分はわかっていない人間が多く、こういう部分での比較はほとんどしませんが。こういう研究が出てくるのは、まだまだ強いなと。
■窒素循環社会へ■
ただ、画期的なこの手法も、問題もあって。現時点では、大型化はまだ難しいようです。大型プラントで大量生産、とは行かないようで。でも、製造コストが約100分の1に抑えられるなら、充分なメリットが期待できますね。それだけ安ければ、それこそ火力発電所に併設して、混焼するためのアンモニアを生産するとか、原発に併設して夜間電力で生産とか、イロイロと動きが取れそうです。それこそ、化学肥料やジェット機の推進剤とか、用途が広いのがアンモニア。地産地消を推進して、新たな産業の生態系が出来たりして。今後の研究に機体です。
窒素循環社会。一時期、マグネシウム循環社会が提唱されましたが。あんがい、昔から在るアンモニアが、循環社会の切り札になるかもしれない。このnoteでも何度か言及したことはありますが、まさか日本の研究で、こんな画期的な手法が研究されていたとは。もちろん、まだラボレベルで、大規模な実用化は、様々な検証の先ですが。期待したいですね。
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