次期戦闘機のエンジン開発にIHIが参画
◉株式会社IHI、旧商号は石川島播磨重工業株式会社。自分らには、こちらのほうがピンときますが。Ishikawajima-Harima Heavy Industries Co., Ltd.の略号としてIHIが使われていたのですが、今は正式名称に。もともとはタンカーなど造船の会社として有名でしたが、ジェットエンジンの研究開発でも、名を知られるようになりましたね。それが、日本・イギリス・イタリアが共同で開発する、次期戦闘機のエンジンの開発にも参画するということで。これは、イギリスのロールスロイス社などの技術を学ぶ機会にもなるので、当然ですね。防衛ということを考えれば、エンジンの自国開発は、必須ですし。
ヘッダーは防衛省が出してきた、次期戦闘機F-3のイメージ画像です。
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■ハイロー・ミックス戦略■
FNNは「現在保有している最新鋭戦闘機「F-35」の性能を超える戦闘機の開発を目指す」なんてトチ狂ったことを書いていますが。開発するのはあくまでも、F-2戦闘機の後継機。F-2は昔は支援戦闘機と言っていましたが。メインの戦闘機の、補助的な役割ですね。高性能だが高額な戦闘機と、性能はそこそこだが比較的安価な戦闘機の、2種類を用意するのは各国が採用している戦略。ハイローミックスと呼びますが。昔ならF-4とF-5や、F-15とF-16の組み合わせがそれ。アメリカだと、F-22とF-35の組み合わせ。でも、F-22は他国への輸出が議会で拒否されましたからね。アメリカの同盟国は、F-35をハイとした組み合わせが必須。
なので、部分的にはF-35を超える能力があったとしても、基本的には比較的安くてそこそこの能力の戦闘機、ハッキリ言えばステルス版F-16が開発されるということです。ただ、日本やイギリス、イタリアのように領海と排他的経済水域が広い島国や半島国家は、双発エンジンで片方が故障してももう片方でなんとか帰還できるとか、スピードはイマイチでも長距離を飛行できるとか、機動性がよく小回りがきくとか、対艦ミサイルを多めに搭載できるとか、そういう部分ではF-35以上の性能はあるかもしれません。でもまぁ、全体的にはそこまでの高性能はないでしょう。マルチロール機ではあるでしょうけれど。
■日本はまだ幼稚園児■
もう一点、トランプ前大統領の営業力で、F-35はだいぶ値段が下がりましたが。それでも、発展途上国には高額な戦闘機なのも事実です。それでも昔は、アメリカ軍がF-5とか安価な戦闘機を開発していたんですが、利幅は薄くなりますしね。アメリカとしてはF-22の後継機である、第6世代戦闘機の開発に集中したいでしょうし。でも、日本とかまだまだ航空産業が育ちきっていない国には、経験を積みつつ輸出産業として育てたい向きには、良い市場です。エンジンも、自国で開発できるなら、イギリス仕様とか日本仕様と、特徴を出してセールスポイントにもできるでしょう。
フジテレビ系列のFNNとしては、国粋主義的なことを言いたいのでしょうけれど。そういう夜郎自大が、日本を滅ぼしかけた過去を忘れてはいけませんね。日本は、MRJでも味噌をつけたように、アメリカとは大きな差があるのは認めないと。もっと言えば、イギリスやフランスと比較しても、航空産業はかなり劣っているのですから。石原慎太郎氏など、F-2は国産で素晴らしい戦闘機が開発できたのに、アメリカの横槍で成果を奪われたという神話を信じていたようですが。んな訳ないんです。日本はHondaJetがようやく世界に認められたレベル。三菱ですら、ゼロ戦の栄光は遠い過去のもの。謙虚にやらないと。
■国家百年の計として■
確かに戦前の日本の零戦は優れた性能を部分的には思っていましたが。それは現在にも続く人命軽視の思想と、エンジンパワーの不足という部分が、ずっと付きまとっていますからね。その弱点がバレてしまったら、割と簡単に撃墜されてしまったのが現実。F-15が未だに名機とされるのは、大出力のエンジンパワーと基本設計の良さ。そこは謙虚に認めて、学ぶ姿勢がないと。こちらは、IHIの公式プレスリリース。意気込みを語っていますが、期待したいところですね。
XF9-1は、F-22の水力に匹敵する数字を出しましたが。あちらは30年以上前に達成した数字。機体とのバランスで、別にそれ以上のハイパワーにす必要がなかっただけで。30年以上の差があるのは確実です。アメリカがあれだけ莫大な軍事費を掛け、ノーベル賞級の学者の数がそもそも日本と桁が違うわけで。自分は保守派ですが、ゆがんだ国粋主義は、誠実なリベラルより嫌いです。100年後を見据えて、航空産業復活を見守りましょう。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ