ポリコレは脳の認知機能を低下させる
◉なかなかに刺激的なタイトルですが、アメリカのテキサスA&M大学(TAMU)が、2022年に報告した研究とのことです。ペケッター上では、ポリコレを巡る言い争いが絶えませんが、政治的な正しさ(ポリティカル・コレクトネス)ってのは、時代によって容易に変わるものですからね。そう簡単に決着はつきません。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。
◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉
◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉
■自己検閲のストレス■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。個人的には、時代の変化に合わせて、政治的な配慮は変化して然るべきだ、と思っています。しかし、現在のポリコレは、ある意味で相手の粗探しをしたり、揚げ足を取り相手にマウントを取るための、道具に成り下がってしまっている部分があります。そのような悪意に対して、人々を常に自分の発言に対する「自己検閲」状態にしてしまい、脳に大きな負荷をかけ、精神的な疲弊を引き起こしているという指摘は、とても納得できます。無料の注意力を要求しているのですから、ストレスにならない方がおかしいです。
このような研究は、それまでほとんどなかったようですね。ポリコレ棒を振りかざす人たちは、メリットの部分だけを強調しますが。そのような一種の圧力は、必ずどこかに反動を生み出し、歪みを生じさせ、どこかに負担を負わせているのは間違いないわけで。もちろん、ポリコレ棒を振り回す人たちは、自分たちが正義だと思っていて、正義に反対するのは悪だと、無慈悲に攻撃してきます。しかし繰り返しますが、政治的な正しさなんて、時代によって変化します。宗教じゃあるまいし、絶対的な真理なんて、そうそうありません。
■政治的正しさの問題■
例えば、悪名高き優生保護法も、当時はむしろ進歩的な考え方として、左派が推進していました。戦前から産児制限運動を主導していた加藤シヅエは、産児制限普及会を創設し、羽仁説子・宮本百合子・佐多稲子・山室民子・山本杉・赤松常子・松岡洋子らそうそうたるメンバーが呼びかけ人となって、婦人民主クラブを1946年に創立。同年には衆議院議員総選挙で当選。日本社会党の代議士となり、1947年に優生保護法案を提出しています。社会党も共産党も自民党も、その当時は正しい思想として、産児制限運動を推薦していたわけです。
チャールズ・チャップリンは映画『モダンタイムス』で、進みすぎた機械文明が、人間の精神を蝕む姿を描いています。いつまでも続く単純作業に耐えられなくなった、チャップリン演じる主人公は、精神的に変調をきたし会社の外でもトラブルを起こし、ついには精神病院送りになってしまうのですが。この作品に影響を受けたのか、高畑勲監督や宮崎駿監督の作品には、文明批判的な色調のものが多いですが。人間の心を追い込むのは、機械や文明ではなく人間です。文明が発達しようがしまいが、人類は常に他者を抑圧してきましたから。
■集団の規範が抑圧?■
人間という存在は、生物として弱いんですから。爪も牙もそれほど鋭くはなく、体格だって元々は、現在の日本猿ぐらいしか、ありませんでしたしね。おそらくは、チンパンジーと共通の祖先の時代から、森で集団で生活し、その非力な部分を、数の力でカバーしてきました。草原に出て、直立二足歩行を始める頃には、集団の重要性は、より増したでしょう。でも、そういう集団生活は強いリーダーシップや規範が必要。でも必ず、そのような集団の規範からはみ出す個体が、出現します。チンパンジーでも、集団の基本を生み出す個体は、群れのボスから制裁を受けたりしますから。
確かに、ご指摘の通りですね。全体主義社会で個人が抑圧されたり、密告社会での相互監視は、同じように人間性を阻害します。宗教というのは本来、そのような抑圧から逃れて、心の拠り所を求めたわけで。おそらくキリスト教の源流と思われる、ユダヤ教エッセネ派は、世俗や家族と距離を置き、集団生活を行うという形で、小さな組織の中で安心立命するという、現在のカルト集団にも通じるような部分を抱えており。でもそのような小集団でも、支配する側と支配される側は、生じるんですよね。連合赤軍は総括リンチ殺人事件で、16人もの仲間を殺害しました。
映画『翔んで埼玉』は、そういうポリコレ 疲れした人間たちに受けて、大ヒットした面があります。しかし、ポリコレ棒を振り回す人々の一部に、他者を苛烈に批判しながら、自分自身の瑕疵に対してはスルーという、ダブルスタンダードを恥ない人がいます。こういう人たちが、ストレスをさらに高める面があります。理解を進めることよりもまず、ポリコレ棒を振り回す人たちが、自分たちの凶暴性を自覚し、もう少し穏やかな言葉で説明するのを心がける方が、問題解決の近道ではないでしょうかね? 知らんけど。
◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉
◉…▲▼▲インフォメーション▲▼▲…◉
noteの内容が気に入った方は、サポートでの投げ銭をお願いします。
あるいは、下記リンクの拙著&共著などをお買い上げくださいませ。
そのお気持ちが、note執筆の励みになります。
MANZEMI文章表現講座① ニュアンスを伝える・感じる・創る
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ