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ポリコレは脳の認知機能を低下させる

◉なかなかに刺激的なタイトルですが、アメリカのテキサスA&M大学(TAMU)が、2022年に報告した研究とのことです。ペケッター上では、ポリコレを巡る言い争いが絶えませんが、政治的な正しさ(ポリティカル・コレクトネス)ってのは、時代によって容易に変わるものですからね。そう簡単に決着はつきません。

【ポリコレは脳の認知機能を低下させると判明!】ナゾロジー

ポリコレは脳の認知機能を低下させるようです。

米国のテキサスA&M大学(TAMU)が2022年に報告した研究によれば、人間がポリコレ(特定の人々に不快感を与えないための配慮)に基づいた言動を行った場合、脳の認知機能が低下し、私生活の質が棄損される可能性が示されました。

本来、ポリコレは差別や偏見を社会から無くすことを目指していますが、現在では過剰な配慮を求めることが常態化しています。

こうした過剰な配慮の要求が、人々を常に自分の発言に対する「自己検閲」状態にしてしまい、脳に大きな負荷をかけ、精神的な疲弊を引き起こしているというのです。

研究内容の詳細は2022年5月23日に『APA PsyNet』にて掲載されています。

https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/112247

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。


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■自己検閲のストレス■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。個人的には、時代の変化に合わせて、政治的な配慮は変化して然るべきだ、と思っています。しかし、現在のポリコレは、ある意味で相手の粗探しをしたり、揚げ足を取り相手にマウントを取るための、道具に成り下がってしまっている部分があります。そのような悪意に対して、人々を常に自分の発言に対する「自己検閲」状態にしてしまい、脳に大きな負荷をかけ、精神的な疲弊を引き起こしているという指摘は、とても納得できます。無料の注意力を要求しているのですから、ストレスにならない方がおかしいです。

一方で、これまでポリコレが社会にもたらす利益について多くの研究がなされてきましたが、人間の脳機能や配偶者との関係など、私生活に及ぼす影響については、ほとんど調べられていませんでした。

そこで今回、テキサスA&M大学の研究者たちは職場など公的な場で実行されたポリコレ運動が、人間の脳機能や、職場から離れた私生活に与える影響を調べることにしました。

このような研究は、それまでほとんどなかったようですね。ポリコレ棒を振りかざす人たちは、メリットの部分だけを強調しますが。そのような一種の圧力は、必ずどこかに反動を生み出し、歪みを生じさせ、どこかに負担を負わせているのは間違いないわけで。もちろん、ポリコレ棒を振り回す人たちは、自分たちが正義だと思っていて、正義に反対するのは悪だと、無慈悲に攻撃してきます。しかし繰り返しますが、政治的な正しさなんて、時代によって変化します。宗教じゃあるまいし、絶対的な真理なんて、そうそうありません。

■政治的正しさの問題■

例えば、悪名高き優生保護法も、当時はむしろ進歩的な考え方として、左派が推進していました。戦前から産児制限運動を主導していた加藤シヅエは、産児制限普及会を創設し、羽仁説子・宮本百合子・佐多稲子・山室民子・山本杉・赤松常子・松岡洋子らそうそうたるメンバーが呼びかけ人となって、婦人民主クラブを1946年に創立。同年には衆議院議員総選挙で当選。日本社会党の代議士となり、1947年に優生保護法案を提出しています。社会党も共産党も自民党も、その当時は正しい思想として、産児制限運動を推薦していたわけです。

結果ポリコレを強制されたグループでは他のグループと比べて、反応速度が低下しており、答えるまでにより長い時間を必要とする傾向にあることが判明しました。

研究者たちはこの結果からポリコレを強制されることは、人間の認知資源を枯渇させ集中力や注意力を低下させると結論しました。

しかしより深刻な影響は、私生活のほうに現れていました。

チャールズ・チャップリンは映画『モダンタイムス』で、進みすぎた機械文明が、人間の精神を蝕む姿を描いています。いつまでも続く単純作業に耐えられなくなった、チャップリン演じる主人公は、精神的に変調をきたし会社の外でもトラブルを起こし、ついには精神病院送りになってしまうのですが。この作品に影響を受けたのか、高畑勲監督や宮崎駿監督の作品には、文明批判的な色調のものが多いですが。人間の心を追い込むのは、機械や文明ではなく人間です。文明が発達しようがしまいが、人類は常に他者を抑圧してきましたから。

■集団の規範が抑圧?■

人間という存在は、生物として弱いんですから。爪も牙もそれほど鋭くはなく、体格だって元々は、現在の日本猿ぐらいしか、ありませんでしたしね。おそらくは、チンパンジーと共通の祖先の時代から、森で集団で生活し、その非力な部分を、数の力でカバーしてきました。草原に出て、直立二足歩行を始める頃には、集団の重要性は、より増したでしょう。でも、そういう集団生活は強いリーダーシップや規範が必要。でも必ず、そのような集団の規範からはみ出す個体が、出現します。チンパンジーでも、集団の基本を生み出す個体は、群れのボスから制裁を受けたりしますから。

スゴイ角度の研究きたな…
ポリコレが悪い…というよりは、「言動への厳しい検閲は脳の認知リソースを吸い取る」という感じか。
たぶん恐怖政治や密告社会などの超規範的社会でも、同じような性能低下が起こりそう

reading… ポリコレは脳の認知機能を低下させると判明! -

https://x.com/fladdict/status/1845623451438219461

確かに、ご指摘の通りですね。全体主義社会で個人が抑圧されたり、密告社会での相互監視は、同じように人間性を阻害します。宗教というのは本来、そのような抑圧から逃れて、心の拠り所を求めたわけで。おそらくキリスト教の源流と思われる、ユダヤ教エッセネ派は、世俗や家族と距離を置き、集団生活を行うという形で、小さな組織の中で安心立命するという、現在のカルト集団にも通じるような部分を抱えており。でもそのような小集団でも、支配する側と支配される側は、生じるんですよね。連合赤軍は総括リンチ殺人事件で、16人もの仲間を殺害しました。

研究者たちは最後に「今回の研究目的はポリコレがもたらす利益を否定することや、中止を提言するものではなく、ポリコレの理解を進めることである」と述べています。

映画『翔んで埼玉』は、そういうポリコレ 疲れした人間たちに受けて、大ヒットした面があります。しかし、ポリコレ棒を振り回す人々の一部に、他者を苛烈に批判しながら、自分自身の瑕疵に対してはスルーという、ダブルスタンダードを恥ない人がいます。こういう人たちが、ストレスをさらに高める面があります。理解を進めることよりもまず、ポリコレ棒を振り回す人たちが、自分たちの凶暴性を自覚し、もう少し穏やかな言葉で説明するのを心がける方が、問題解決の近道ではないでしょうかね? 知らんけど。


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