「日本が一人当たりの名目GDPでイタリアに抜かれG7最下位」のカラクリ
◉2022年の一人あたりの名目国内総生産(GDP)が3万4064ドルとなり、イタリアに抜かれG7最下位に転落したと、日本経済新聞が報じています。これ、10月の末にも似たような報道があって、騒いでいた記憶があるのですが……。しつこいですね。はっきり言って、政府批判や自民党批判をやりたい人たちが、必ず持ち出すのが一人当たりの名目GDPですから。そこには、ちゃんと理由があります。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ドルで検索したら、ちょうど良い感じのイラストが出てきました。
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■悪夢の民主党政権■
X(旧Twitter)の日経新聞の公式アカウントが、有料部分で掲載されているであろう折れ線グラフを、ポストしています。この折れ線グラフを見れば、あることに気づきます。悪夢の民主党政権だった 2010年から2012年の間、折れ線グラフはドイツと並走しており、5万ドルに届く勢いでした。ところが、2012年末の総選挙で自民党が政権を奪還する、選挙の前段階で民主党政権が倒れそうだとなった途端、株価は上がり。
ついでに、画像も転載。
アベノミクスの超円高是正が効いて、国内経済は一気に息を吹き返したのは周知の通り。でも、一人当たりの名目GDPは5万ドル目前のレベルから、2015年には 3万5000ドル近くまで落ち込んでおり。その後も4万ドル 前後をうろうろしています。でも、有効求人倍率にしろ、経済の立て直しははっきりと効果が出ていましたから。一人当たりの名目GDPが数字のマジックであるのは、ここからも分かります。
■数字のマジック?■
最近も、ドル建ての一人当たりの名目GDPを引っ張り出して、民主党政権時代は良かったと、大嘘をこいている人がワラワラと出現して、たちまち ツッコミを食らいまくっています。一人当たりの名目GDPって、以前からよく使われる詐術なのですが。この件に関しては、文化放送の『おはよう寺ちゃん活動中』のレギュラーメンバーである、イタリア在住のヴィズマーラ恵子さんが、的確なツッコミをされています。
ヴィズマーラ恵子さんは、デジタルインボイス制度を導入したおかげで、イタリアの税収が上がったカラクリにも以前言及されていましたが。そこを受けてのポストという面もありますので(下記note参照)。元々日本とイタリアでは経済規模が異なるため、為替の変動が大きな数字になりますから。急に民主党政権は良かったとか言い出した人たちも、このニュースと合わせて 民主党政権時代を美化したかったのでしょう。
■1ドル79円ならば■
民主党政権の時は、菅直人総理大臣 時代には1ドル79 円まで円高が進み、逆に安倍政権では1ドル121円まで、円安が進みました。これがどういうことかと言うと、例えば今年の557兆2495.1億円が、現在のレート1ドル142.404円なら、3兆9105.4億ドル。これが1ドル79円なら7兆0537.9億ドル。1.8倍も増えちゃいます。逆に言えば、55%に目減りするのですから。
これは、日経新聞が報じた日本の一人当たりの名目GDP3万4064ドルが、民主党政権時代なら 6.13152万ドルに跳ね上がる計算になります。イタリア どころか、5万ドルを割ったドイツでさえ楽勝で追い抜き、ダントツ1位のアメリカに唯一対抗できる数字になります。まさに、数字のマジック。これが、1ドル110円になれば4万4097ドルになり、ドイツに肉薄します。
いい加減こういう、大衆を煽るような報道は、やめてほしいものです。ちなみに、中国の一人あたりの名目国民総所得(GNI)は 、1万2608ドルです。
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