クルド人騒動雑感
◉埼玉県川口市で、クルド系トルコ人が騒動を起こしており、それが問題になっているのですが。ギュンゲン駐日トルコ大使が、産経新聞のインタビューで、イロイロと発言しているのですが……移民問題の難しさですね。自分は、移民自体には三世ですが、その場合には一箇所にまとめない・日本文化への理解と尊重を徹底するなど、条件が付きます。アメリカ合衆国も移民の国ですが、移民が出身国で固まらないよう、かなり気をつけて移民管理をしていましたからね。それと同じです。日本でも、一箇所に固まると、どうかを拒否しますから。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、トルコのイスタンブールの写真です。
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■国家なき最大の民族■
そもそも、クルド人というのは、国家を持たない最大の民族とされます。人口は3500万~4800万人といわれ、トルコに2480万人ほどいますが、イランやイラクにも400万人から660万人ほどいて、かなりの勢力。4800万人はスペインの4600万人やアルゼンチンの4400万人よりも多いのですから、逆になぜ国家を持てなかったのが不思議です。北欧のスウェーデンとか1035万人と、東京都の人口より少なくても国家として存在するわけですから、クルド人の立場は微妙ですね。島国という利点があるとは言え、ナウルとかパラオとかツバルは、1万人台の人口でも国として存在しますから。
民族としては多くても、組織を作れるような形でまとまれなかったのでしょう。もともと、イラン系山岳民族がルーツで、イスラム教徒が多いですが、キリスト教徒やユダヤ教徒もいます。そういう意味では、宗教が紐帯となりづらかった麺もあるのでしょう。イランのシーア派は、元々ペルシア文明の地で、そこがイスラム化する過程で、独自の宗教としてのシーア派を形成した面があります。クルド人は逆に言えば、宗教が紐帯になり得なかった面も。安彦良和先生の『クルドの星』でも、クルド人は描かれていますが。多分に、左派の康彦先生らしい視点が入っていますね。
■クルド人は難民ではない■
しかし、そういう民族問題と、違法行為は別の話。クルド人が日本にビザなしでやってきて、ビザが切れたら難民申請とか、そういうコンボはダメでしょう。そして、それを支援する日本の反政府・反自民の方々が支援という名の反政府活動をする。バカバカしいですね。確かにクルド人の民族問題に関しては、非合法武装組織である、クルド労働者党(PKK)の問題はあります。しかし、そこを利用して難民申請とか、問題のすり替えです。ウィシュマさん問題でも指摘された、外国人を利用するサヨクの問題です。この件に関して、ギュンゲン駐日トルコ大使も明言されています。
そもそも、難民でもなんでもない実態を、産経新聞が報じています。
現実には、経済的な利益を求めて日本にやってきた、という点では、済州島四三事件で日本に逃げてきた韓国人や、蛇頭の不法入国者と、本質は変わりません。入国は合法的だが、その後に違法な手段で居座っているという点では、ほぼ同じですね。もちろん、半島からの人間は、結果的に合法化しましたし、それどころか特別永住許可という、戦前の徴用とは関係ないところで、他の国政の外国人に比較して優遇を得たりしていますが。居座り続ければ日本側が折れる、という成功体験を与えては、日本人にとって不利益を被ることになるでしょう。真面目に暮らす大多数の外国人に対しても、不平等です。
■イスラム差別にすり替え■
ただこの話題、クルド人問題にかこつけて、イスラム憎悪を煽る人がいますね。戦国時代のフランシスコ・ザビエルの布教から、明治時代の禁教の廃止、戦後のアメリカ文化の流入と、長い長い歴史を重ね、かなり好意的なイメージのあるキリスト教徒でさえも信者は1%の日本で、すぐにでも国内にムスリムの治外法権地域が広がるような不安煽りは、やり過ぎです。日本には、欧米のイスラームに対する偏見を、そのまま受けつでいる人が昔から多いんですが。明治以降の、欧米に追いつき追い越せで、文化を接種したのですから、仕方ない面がありますが。
個人的には、妥当な提言だと思います。アラブ人もペルシア人も、似たようなもんだと考える人にとっては、クルド人はイスラム教徒という、雑な思考なんでしょうけれど。前日のように、ムスリムもいればキリスト教徒もいて、ユダヤ教徒さえいます。トルコ自体が、イスラム教が主流の国の中では、かなり宗教的な縛りがゆるく、ラク酒というお酒が見物なぐらいですからね。クルド人にも酒飲みは多いようですし、いわんや故郷を離れて旅の途中のイスラム教徒は、けっこう例外規定が多く適用されます。断食月のラマダンを避けるため、旅行に出かけるムスリムもいますしね。
そういう状況のクルド人を、イスラム原理主義者(これもアメリカが自国のキリスト教原理主義者のイスラム版という感じで、勝手にイメージして付けた名称)のように日本を文化侵食するかのような煽りには、自分は与しません。だいたい、実際のムスリムは原理主義者と聞くと、クルアーン(コーラン)やシャリーア(イスラム法)やムハンマドが残した言行録(ハディース)に忠実に生きる、宗教人のイメージのようで。長く続いた宗教は、それなりに世俗と妥協する理論武装をしています。ですが同時に、キリスト教系で人民寺院が、仏教系でオウム真理教が生まれたりして、反社会的な行動を起こすもの。
しかし、そういう暴走を許容しないことと、信教の自由は両立することを理解できない、理解できているがイスラム教徒への偏見や恐怖心から、過剰に不安を煽るなと、そういう話です。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ