シニア猫のFIP①
皆様はFIP(猫伝染性腹膜炎)という病気をご存知だろうか?
FIPは猫コロナウイルスによる病気で、発症するのは幼猫が多い病気である。この猫コロナウイルスは、多くの猫が保菌しているウイルスなのだが、これが突然変異を起こして強毒化することがある。これがFIPウイルスと呼ばれ、体力の無い子猫などは致死率が高くなる。ちなみにコロナというと今、人間で流行っているコロナが思い浮かんでしまうだろうが、また別のコロナウイルスなので、猫と人の間では感染しないので安心していただきたい。
上記した通り、発症するのはほぼ子猫のFIP。それなのに、当店看板娘のなびす子(10歳)が発症してしまったのだ。シニア猫の発症事例はなかなか見当たらない。情報を探している方の目に止まればと思い、この記事を書かせていただく。
ただ、これだけは先に言わせていただきたい。FIPは致死率100%ではない。助かっている子もたくさんいるという事実も知っておいてもらいたい。
症状
一般的にFIPでまず出てくる症状が「元気がない」「食欲がない」「下痢」「腹水がたまる」といった辺りかと思う。体力のない子猫などはこの時点で耐えられず亡くなってしまう子も多いようだ。
なびす子さんの場合は症状が軽かったのか、腹水のみだった。元々、年齢的にもバタバタはしてないし、食も細かった。とはいえ、確かに体重も500gほど減ってはいた。
なびす子さんの時系列
12月、たまたま健康診断に・・・と血液検査をしていた。その時点では体重は減っていたものの、特に気になるという程の数値は無かった。
1月、年明け頃からなんだかお腹がぽっこりしてるような・・・最近よく食べてるからかなぁ・・・と思いつつ、ちょうどワクチンの月だったので、月の中頃ワクチンに。その時に相談したが「上腹部なのでよく食べてるなら、多分、ご飯が残ってるからだと思いますよ〜」とのことで、その日はワクチンのみで帰宅。
2月、前よりお腹ぽっこりしてるような・・・?やっぱりおかしい、と再度病院へ。レントゲンをとってもらうと腹水と判明。腹水ということはどちらにせよ、大したことないな〜と済ませられる病気ではないことは確定だな、と思った。この日は血液検査と注射、それから腹水を抜いて、一晩入院。FIPの場合、腹水は黄色く、粘性が高い。なびさんの出した腹水を見ると、ほぼ無色、粘性もそこまで高くないためFIPの可能性は低いと先生も考えていたようだ。
次の日お迎えに行くと、ご飯はそれなりに食べており、その日も血液検査とエコーをしたそうで、先生的には心臓か、肝臓じゃないかと思ってるけど、FIPの可能性もまだ捨てきれないし、血液と腹水を外注に出して、詳しく調べることになった。お迎えに行ったのに、結局、念には念を、ともう一晩入院。実はこの時、腹水を大量に抜いた為、突然死のリスクもあったので、私としてももう一晩入院は安心だった。ちなみに猫は急に栄養(今回は腹水=タンパク質)が無くなると場合によっては死んでしまうこともある為、愛猫が24時間ご飯を食べなかったら病院へGOだ。
外注に出した検査は10日程で結果が戻る。それまでステロイドと抗炎症剤、利尿剤を貰い、毎日一回飲ませていた。
この時点で少なくとも一ヶ月は経過。本来であれば、もっと状態は悪くなっているはず。元気も食欲も割と普段通り、腹水も一回しか溜まってない、先生としてもFIPだとすると不可解な状況だったようだが、戻ってきた結果はFIPだった。
治療法
その病院では対症療法で上記した薬を飲ませて様子を見ていくというスタイルだった。看護師さんに聞いたところ、それで助かっている子も半々くらい・・・それなりにいるとのこと。最初に書いたように100%死んでしまう病気ではない。
2022年4月現在、国内で認可されている有効な薬は無い。
国内で未承認ながら効果があるとされているメジャーな薬はMUTIAN。米国の会社が特許をとっているFIPに有効とされる成分GS-441524、この物質を中国の企業が独自製法で調整したというものがMUTIAN。悪い言い方をすれば超高いパクリ商品である。
FIPだったら高価だろうが、パクリ商品使うのが癪だろうが、MUTIAN使おう!と覚悟していた。なびさんはまだ10歳。まだまだ一緒にいてもらわないといけない。
今、乱立しているFIP治療のクラウドファンディングはだいたいこれを使っての治療だろうと思う。
ちなみに未承認薬を販売・譲渡・広告することは違法行為となる。無診療でのネット販売や、個人間での薬の譲渡、クラウドファンディングやSNSで効能を広告することも違法行為となるので要注意。詳しくはこちら。
長くなりそうなので②に続く。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!戴いたサポートは猫のために使わせていただきます🐈